著者 : 国東ジュン
メモリーメモリー
“きみのキスや愛情で、僕は息がつまりそうだった”6年前、夫のラスが別れ際に言い放ったその言葉を、アプリルは車を走らせながら、今日も思いだしていた。彼との結婚は18歳で天涯孤独の彼女が初めて知った幸せだった。だがラスに妻の愛は重すぎて、ある日突然去っていったのだ。そのときだったーアプリルの車にトラックが突っ込み、目覚めると病院のベッド。彼女は頭を打って記憶を失っていた。そこへ知人だというハンサムな男性が現れる。私を迎えに来てくれたの?アプリルは疑いもしなかった。まさかその知人が、かつて自分を捨てた最愛の夫だとは。
昨日にさよなら昨日にさよなら
マリーサは幼い息子を連れて散歩に出かけていた。その途中、わずかな隙に息子が乳母車ごと消え失せてしまう。大富豪ガブリエルに見初められての身分違いの結婚だったが、所有欲の強い夫に耐えられず、逃げだしたあとに妊娠が発覚。一人で子供を産み育てていた矢先の出来事だった。だからどんなに問いただされようと、夫の名を言うつもりはない。ところが事件が報道されたために、彼に見つかってしまったのだ。また戻る、籠の鳥の人生へー絶望するマリーサの視界に、近寄りがたいほど端整な美貌の夫の姿が、近づいてきて…。
メモリーメモリー
“君のキスや愛情で、僕は息がつまりそうだ…”6年前、愛する夫ラスが別れぎわに言い放った言葉を、今日もアプリルは胸の痛みとともに思い出していた。天涯孤独の彼女にとって、結婚生活は初めて知った幸福だった。それなのにラスにはその愛は重く、若い彼女をおいて去ったのだ。物思いに耽るアプリルの前に、そのときトラックが飛び出しー頭を強打した彼女は、目覚めると記憶の一部を失っていた。やがて病室に、知人だという、見知らぬハンサムな男性が現れる。アプリルは彼を見つめた。まさか自分を捨てた夫だとは思わずに。
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