小説むすび | 著者 : 土屋京子

著者 : 土屋京子

部屋 上・インサイド部屋 上・インサイド

5歳になったジャックはママと部屋に住んでいます。鍵付きのドアに天窓のある部屋。ごはんも、テレビも、字のおけいこも。いつもママがいっしょです。そして、この部屋だけが「世界のほんと」だと思っていましたーーママが外の世界があることを教えてくれるまでは。誘拐され、監禁された少女に、子供ができてしまったら…。極限状況を生き抜こうとする人間の勇気と気高さ。「部屋の中」の天真爛漫なジャックの声が切なく聞こえる。 今日はジャックの5歳の誕生日。 ジャックはママと「部屋」に住んでいます。鍵付きのドアに天窓のある部屋。 ママとシリアルを100こ数えて牛乳をどぼどぼかける朝ごはん。 ママといっしょに見るアニメ(ドーラ大好き!)。 ママに読んでもらう『ぼくにげちゃうよ』(自分でだって読めるけど)。 ママが教えてくれる字のおけいこ。 ジャックは幸せです。だって、ここにママがいるから。 「オールドニック」に見つかりさえしなければ。 そして、この部屋だけが「世界のほんと」だと思っています。 いや、そう思っていましたーーママが外の世界があることを教えてくれるまでは。 誘拐され、監禁された少女に、子供ができてしまったら……。 極限状況を生き抜こうとする人間の勇気と気高さ。 「部屋の中」の天真爛漫なジャックの声が、切なく聞こえてきます。

部屋 下・アウトサイド部屋 下・アウトサイド

「部屋」の中で産まれ、部屋の中で育ち、一歩も「外」に出たことがなかったジャック。外は楽しいってママから聞いたのに、ママも苦しそうだし、ぼくもあの鍵のかかった、天窓のある「部屋」に帰りたいと思ってしまうーー。7年間、たった一人で密室にいて、5年間ジャックを育ててきた「ママ」の苦悩と、それを超えるための、人間の決意。世界で絶賛されたベストセラー。ジャックの素直な声は、人類の救いです。 「部屋」の中で産まれ、部屋の中で育ち、5歳になるまで一歩も「外」に出たことがなかったジャック。ジャックは「外」に「世界」があることすら知らないままに育ちました。だから、「脱出」に成功しても、すべてが初めてのことです。 初めて会ったおばあちゃん、おじいちゃん。 初めて食べるたくさんの食べ物(だからちょっとうんちが出なくなっちゃった)。 初めて感じる風(飛ばされそう!)。 初めての遊具(どうやって使うの?) 初めて会う、ママをいじめる嫌な人たち(どうしてママを泣かせるの?)。 外は楽しいってママから聞いたのに、なんでこうなっちゃうんだろう。 だから、ちょっとだけ、あの鍵のかかった、天窓のある「部屋」に帰りたいと思ってしまうのですーー。 7年間、たった一人で密室にいて、5年間ジャックを育ててきた「ママ」の孤独。そして彼女の選択。 極限状態から「解放」されたはずの人間のさらなる苦悩と、再生のための、人間の決意。大きな救いを感じる、世界で絶賛されたベストセラー。

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