著者 : 坂岡真
江戸府内で若い娘が次々に姿を消した。将軍の毒味役、御膳奉行の矢背蔵人介にそう教えてくれたのは勘定奉行の遠山左衛門尉景元だった。そして、蔵人介までが姿を消す。蔵人介が連れていかれたのは、娘たちが囚われている場所。そこには「地獄」が待っていた。はたして蔵人介は脱出できるのか。著者渾身の剣戟シーン満載!人気沸騰中の鬼役シリーズ、驚愕の第十五弾。
将軍家毒味役を務める矢背蔵人介の息子・鐵太郎は知人の勧めで海外渡航の企てに参加しようとする。しかし、その企ては何者かによって阻止され、参加しようとした者は鐵太郎の眼前で斬殺される。鐵太郎に捕り方たちが忍び寄る。はたして、鐵太郎、蔵人介、そして矢背家の人々の運命はー。蔵人介に最大の試練!人気上昇中の鬼役シリーズ、慟哭必至の第十四弾。
将軍家毒味役を務める矢背蔵人介は、矢背家の隣人の払方、卯木家当主の卯左衛門から、三男坊に「毒味」を仕込んでほしいと頼まれる。面食らった蔵人介だったが、その卯左衛門が突然失踪する。その後、卯木家の実情が次第に明らかになり、卯左衛門が再び現れたとき、さる幕臣の悪事が発覚する。「鬼役」蔵人介が奸臣を断つ!人気沸騰の鬼役シリーズ、待望の第十三弾。文庫書下ろし長編時代小説。
将軍家毒味役を務める矢背蔵人介。いまやその剣の腕は幕臣一といわれるが、いまから二十五年ほど前、道場で鎬を削った友・小暮清志郎がいた。火盗改同心にまで出世し順風満帆だった小暮はなぜか突然、上士を斬って出奔した。はたして何があったのか。調べ始めた蔵人介の前に、とんでもない「悪事」が浮かび始める。人気爆発の鬼役シリーズ上、かつてない衝撃の第十二弾。
毒を啖うて死なば本望と心得よー将軍家の毒味役を務める矢背蔵人介の目の前で、老中水野越前守忠邦の駕篭が襲われた。手練の刺客の前に立ち塞がった蔵人介は、そのことで恨みをかうことになる。そして、蔵人介にも危機が迫る!「誇りさえあれば、虚しいことなどひとつもない」という思いを胸に蔵人介は悪に立ち向かう。大好評「鬼役」シリーズ、爽快感抜群の第九弾。
初雪の降った霜月、初孫が生まれた勘兵衛。めでたく祖父となって三月が経った今日、人形を揃えんと勇んで向かった雛市で、仕事最中の老いた男に出会した。伝説の掏摸と呼ばれし初音の仙蔵が、なんと、手管を仕込んだ倅娘とぐるになっているではないか。仏の顔も三度までと、此度ばかりは見逃してやったものの、別れ際に物言いたげな仙蔵を質しもせず、後にしたのがいけなかった…。
いぼ俣軍兵衛と名乗る、疫病神のような男。風貌、性格ともに憎めない男だが、彼に金を貸した後家貸しの奈津が斬殺され、奈津の亡夫の秘密を握る男も川に浮いた。さらに北町奉行所与力の葛篭桃之進にも、鎌槍を持つ凄腕の刺客が迫る。やがて、いぼ俣も殺されるに至り、幕府の御用金をめぐる壮大な陰謀が判明。役立たずの“のうらく侍”桃之進が、怒りの剣を揮う。
謎の失踪から二十年余り、ふいに勘兵衛の許へ帰ってきたお静。事情も訊かずに迎え入れ、医者仁徳と三人、恙無い一年半が過ぎ行きた。今では、定町廻り鯉四郎に嫁いだ一人娘、綾乃の腹に孫が宿る幸せも、しかし何故か、ふと居たたまれなくなる勘兵衛は、忙しい探索の合間にも、おふうの幻に縋ろうと、独りでに浮瀬へと足が向く…。慈愛と悲哀に、喜楽と憤怒を織り込んだ、傑作風流捕物帖。
霊岸島が炎に包まれた。北町の与力・葛篭桃之進は、赤子を火焔から救う褌姿の侍に目を瞠った。この男、「鼻紙も買えぬ百石手鼻の貧乏侍」と自嘲する幕臣で、桃之進はその人柄に惚れ込む。しかし、男には破落戸殺しの嫌疑がかかり、その裏に火事の利権を貪る悪党の姿が!役立たずののうらく者と揶揄される桃之進が正義の剣で悪を討つ。傑作時代小説、第二弾。
その死体を見た途端、葛篭桃之進は「ほう」と嘆声した。左脛がスッパリと斬られていたのだ。無気力な無能者、つまり「のうらく者」と烙印を押され、勘定方から町奉行所へ左遷された桃之進だが、かつては御前試合で優勝したほどの辣腕。そんな桃之進と辻斬り事件をつなぐ奇妙な因縁とは?奉行所の腐敗を目の当たりにした桃之進が、剣客として再び目覚める傑作時代小説。
男手ひとつで育てあげた愛娘の恋、長く行方の知れぬ愛妻の影ー指折り数えずにはいられぬ星霜に、ふと胸に過ぎるは哀切ばかり。儚い雪降る年の瀬は、独り法師のうぽっぽに、一体なにを連れてくる。自ずと頬を濡らすのは、悲喜交々、滂沱の涙。
江戸町奉行所に“うぽっぽ同心”二人在り。南町に長尾勘兵衛、北町に占部誠一郎。顔も姿も、まこと瓜ふたつにて、違いといえば、眉間の黒子ほどのもの。その“北町うぽっぽ”、妊婦が大八車に轢かれた一件を預かることになったのだが…。
芝居町も知らん振りできぬほど、大入り人気で江戸を騒がす緒川佐保之丞一座。ちょいとした縁のある勘兵衛は、役目ついでに女だけの芝居小屋へ足を運ぶ道すがら、大橋の欄干から身を乗りだしている若衆髷の少年に目を惹きつけられて…。
天は照々として誠を照らすー貧乏籤を引き、斬首に立ちあうこととなった勘兵衛は、盗みを働いた医者の丹唇を読んでしまう。近在の者に慕われていたという罪人の刑死に、まんじりともしない勘兵衛だったが。粋に裁いて、意地で斬る。
大店の箱入り娘と咲くことのない恋に落ちた手代が、妾殺しの濡れ衣を着せられた…。暢気同心の長尾勘兵衛は手代を救うことが出来るのか?町人と武士との間に、人情という橋を架けて渡る同心の生き様を、情緒ある筆致で巧みに描く。
両国から浅草、吉原と数日の間に夜鷹(街娼)が斬殺される事件が相ついだ。いずれも辻斬りの仕業と思われ、被害者は袈裟懸けで一刀のもとに殺られていた。本所吉田町で夜鷹の会所を営む菰の十蔵に、用心棒として雇われている馬庭念流の剣客・鳴海九重郎は、ある夜、偶然にも辻斬りを目撃した。遠い暗がりで刀を揮ったのは、同じ会所の用心棒、小野川頼母に似ている侍だった。友への疑念を打ち消した九重郎だったが、その頼母は姿を消し、首には賞金がかかろうとしていた…。