著者 : 坂本あおい
スウェーデン、夏。湖畔のコテージ。9歳のベンヤミンは三兄弟の真ん中で、弟のピエールは7歳、兄のニルスは13歳。湖で水泳競争をしたり、白樺の森を探検したり、黄金のひとときを過ごしていたー両親の機嫌を損ねないようにしながら。そして、ある日を境にコテージを訪れることはなくなった。20年後、三兄弟は母親の骨壺を持ってコテージに戻ってくる。目を背け、沈黙に覆われてきたあの夏の真実と対峙するためにースウェーデンを代表する作家が、少年時代の「過去」と、時間に逆行して語られる「現在」を巧みに交差させて描く家族の物語。
抑圧的な父親のもとで育ち、苦しんだセオ。自分と似た境遇の人々を救いたいと願う彼は、心理療法士になった。順調にキャリアを重ねるうち、彼はずっと気になっていた六年前の殺人事件の犯人ー夫を射殺した画家ーを収容する施設の求人広告を目にする。事件以降ずっと沈黙している彼女の口を開かせることができるのは、僕しかいない。そう思ったセオは彼女の担当に志願するが…。“ニューヨーク・タイムズ”ベストセラー・リストに連続23週ランクイン。巧みなプロットと戦慄のラストに圧倒される傑作ミステリ。
63歳のブリット=マリーはとてつもないきれい好き。長年にわたり自宅を完璧に磨き上げていたが、このたび浮気した夫を置いて家を出た。数十年ぶりに見つけた外での仕事は、さびれた田舎町にある閉鎖予定のユースセンターの管理人。持ち前の頑固さで住民たちとぶつかりつつも、ブリット=マリーはなぜか子供たちにサッカーチームのコーチになるよう頼まれて…。『幸せなひとりぼっち』著者による新たな感動作!
エルサは7歳。おばあちゃんは77歳。大胆不敵なおばあちゃんは、ずっとエルサの友達だったー「変わった子」と言われるエルサの、ただ一人の、強い味方だった。でも、おばあちゃんは亡くなった。おばあちゃんから託された謝罪の手紙を、エルサは代わりに届けはじめる。宛先は、よく知っている人も、あまり知らない人もいて…『幸せなひとりぼっち』の作家が、変わった子だった大人たちにおくる物語。
その患者には名前以外、過去の記録が一切なかったー。メリーランド州の精神科医療施設メナカー。犯罪をおかした心神喪失者を多く収容するこの病院にジェイソンという謎めいた患者が送られてくる。彼の担当医になったリーサは青年の語る妄想とは思えない過去の断片を繋ぎ合わせるうち、悲劇的な事件に隠された闇に肉薄する。だがその頃から、リーサは何者かにつけ狙われるようになり…。