著者 : 城山三郎
出世コースからはずされ、鬱々とした毎日を送る太平製鉄不動産の津秋に、うまい話がころがりこんだ。アメリカ系資本の石油会社がガソリン・スタンドの経営者を集めているというのだ。激烈な競争の末、津秋は海岸沿いに設置されたサービス・ステーションのマネージャーに選ばれるがー。ただ一度の人生に賭け、脱サラを目指す男とそれに立ちはだかる組織の厚い壁!サラリーマンの抱えている夢と挫折を描いた会心の長編小説。
戦前から続く紡績会社。次期社長の呼び声が高い専務・恩地は検査入院中に社長らが仕組んだ緊急重役会によって平取締役に降格される。社長の椅子へ執念を燃やす恩地がはまった、さらなる組織の罠とはー(表題作)。高度成長期を舞台にしながら、現在に通じる日本の組織人の欲望を描いた傑作企業小説集を復刊。
証券会社の辣腕営業マン・伊地岡勇と電機メーカーの窓際送・野呂久作は高校の同級生。正反対の性格ながらなぜか気が合う二人が、ベッド会社のセールスマンに揃って転職。学歴・経験・年齢、一切不問のシビアな世界で生き残るには何が必要か?経済小説の巨星がユーモラスに活写する傑作サラリーマン小説。
爆撃機特攻隊の先導を務めながら生還した二式大艇パイロットの苦悩を描いた「死の誘導機」など、大戦中に活躍した軍用機をテーマとした八篇からなる表題作ほか三篇を収録。全六巻、堂々完結。
太平洋戦争末期、米軍の新鋭機に制空権を奪われた日本が、起死回生の祈りをこめて投入した新型戦闘機「紫電改」。この傑作機の開発プロジェクトを丹念に取材し、男たちの不屈の闘志を描ききった表題作ほか四篇。
海軍特別幹部練習生として入隊した少年の日記に綴られる、上官によるいじめ、同輩の衰弱死、特攻死への恐怖、そして原爆のキノコ雲……。著者の戦争体験を色濃く反映した表題作ほか五篇を収録。好評第四回配本。
比類なき戦争文学全集(全六巻)、第三回配本。東京裁判でA級戦犯として絞首刑を宣告された元総理・外相の広田弘毅は、開戦に反対の立場を貫きながら、なぜ処刑されたか。表題作のほか「幻の虎」を収録。
城山文学の到達点を示す戦争文学全集(全六巻)、第二回配本。海軍兵学校の同期生だった二人の青年将校は、くしくも最初と最後の特攻に散った。人間の尊厳を深く問いかける表題作ほか「友情 力あり」を収録。
太平洋戦争末期の激戦に散った一人の騎兵将校、開戦に反対の立場を貫きながらも、東京裁判でA級戦犯として絞首刑を宣告された元総理・外相の広田弘毅……城山文学の到達点を示す戦争文学全集、全6巻。
十歳にして、赤貧から志を持って家出。銀行、鉄道、紡績、ビール会社など、次々と創業し、“西の渋沢栄一”と言われた松本重太郎。関西実業界の帝王として名をはせた彼だったが、その後、倒産で私財をことごとく手放すことになる。常に走りつづけた男の、潔い生涯と、次の世代に受け継がれたその精神を描いた傑作長篇。
途中、何事か起こって中道で斃れるようなことがあっても、もとより男子として本懐である-。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、首相・浜口雄幸と蔵相・井上準之助は金解禁を断行した。性格も境遇も正反対の二人の男を軸に人間の生きがいとは何かを静かに問いかける、城山文学の真骨頂。歴史の教訓によって現代を照らし出す新装版。
銀行員・今田大六はいつか一発あててやるぞと、闘志だけは満々だが、うだつのあがらぬ毎日。ある日、大六に一千万円紛失の疑いが。退職に追い込まれた彼を、以前から不思議な縁のあったカリスマ相場師・根岸が拾う。彼の驚くべき仕事振りを目にして、大六の人生は大きく変わっていくー。異色の風刺小説“新装版”。
石坂泰三ー第一生命、東芝社長を歴任、高度成長期に長年、経団連会長を務め、“日本の陰の総理”“財界総理”と謳われた、気骨ある財界人の生涯を描いた長篇小説。
戦国の争乱期、南蛮貿易で栄える堺は、今井宗久や千利休らによって自治が守られていた。その財に目をつけた織田信長は堺衆と緊密な関係に。今井家の小僧助左衛門は信長に憧れ貿易業を志す。しかし信長の死後、豊臣秀吉の圧政で堺は血に塗れる。自らの自も危機に瀕した助左衛門は、全てを捨てルソンへー。財力を以て為政者と対峙し、海外に雄飛していった男の気概と夢を描く歴史長編。