著者 : 城駿一郎
夜来の雨夜来の雨
駿河真壁藩の藩主とお世継ぎの鶴丸が、不慮の災いによって相次いで世を去った。藩主の座は、残された唯一の血筋である側室お万の方の一子、主水介のものと思われたが、土壇場でもう一人の藩主の血を引く存在が明らかにされた。本書にある紫道場の食客、三木兵庫が面倒を見ている新之助がそのお世継ぎである。やむなくお家騒動に巻き込まれた兵庫は、武士の矜持を胸に権謀術数渦巻く駿河の地へと旅立つ。
大江戸殺法陣紅き炎大江戸殺法陣紅き炎
将軍家斉の逆鱗に触れ、掛川十七万石の藩主たる本郷大和守は、信州の小藩へ転封となった。怨み骨髄に達し、将軍弑逆を目論んだ大和守は、凄まじい威力をもった大砲を作り上げた。大目付の乾官兵衛は、参勤交代を利用し江戸府中に大砲を運び込む大和守の陰謀を察知したが、ひとりではいかんともしがたい。官兵衛の脳裏をよぎった男の横顔。三木兵庫の剛剣が、私利私欲にまみれた亡者どもを冥府に堕とす。
大江戸殺法陣斬る大江戸殺法陣斬る
道場破りを見事打ち負かし、懇願されるままに小野派一刀流柴道場の師範代となった素浪人・三木兵庫だが、その矢先、道場主の娘・千草の恋人であった友吉が、何者かによって斬殺されてしまった。逆袈裟に一刀両断されていた切り口から、江戸府内で続けざまに起こっている通り魔の仕業と思われた。正義のため、千草のためと下手人を追う兵庫だが、その前にはさらなる謎と思いもかけぬ強敵が…。非情の邪剣に正義の白刃が煌めく。
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