著者 : 堺谷ますみ
さようなら、皇太子さま……。 恋人だったこの夜を、私は忘れない。 買い物に出た両親が事故で帰らぬ人となり、ビアンカは茫然自失に陥った。 そんな彼女を、さらなる衝撃が襲うーー母が遺した日記によると、 ビアンカは父の実の子ではないかもしれないというのだ。 出自がわからなくなり、足元が崩れるような不安に苛まれながらも、 ビアンカはウエディングプランナーの仕事に打ち込もうとする。 そんななか出逢った、さる王国のレオことレオポルド皇太子に雇われ、 彼の妹の結婚式を手がけることになった。準備に明け暮れるうち、 黒髪と神秘的な瞳が魅力的なレオに日ごとに惹かれ、 ある夜、ビアンカはとうとう彼に一夜の愛を捧げてしまう。 やがて一国の王となるレオとの恋に、未来などないというのに……。 ロマンティックなシンデレラ・ストーリーを得意とする作家、J・フェイ。ビアンカは身分違いを理由に、愛するレオとの恋から立ち去ろうとします。一方のレオも、妹の結婚式の翌日には、母の選んだ妻候補の中から婚約者を発表することを約束させられていて……。
エリーは、国を追われた元大公の父のもとに駆けつけた。だが父が家族と身を寄せているのはロンドンの最高級ホテルで、エリーは訝しんだ。いま父は無一文のはずなのに、なぜ?妹によると、ギリシアの富豪レオン・デュカリスが賄っており、見返りとして、妹との結婚をほのめかしているらしい。元王女を妻にすることで、自らの成功を誇示しようというの?妹に、そんな愛のない結婚をさせるわけにはいかないー憤慨したエリーはレオンに直訴するが、彼は傲然と言い放った。「妹には興味がないよ。僕が結婚したいのは君なんだ」夜ごとの晩餐会や諸国の王族との会合で、完璧な妻を演じるー。偽りの結婚なのに、レオンの優しさや情熱を知るにつれ、エリーは次第に夫を愛し始めてしまい……。
ベスは決心した。亡き妹の娘を引き取って1年近く、不運続きの人生にようやくかすかな光が見えてきた。白血病とわかった姪の命が、ひょっとしたら助かるかもしれない。独りで子育てをしていた妹の日記に、姪の父親とおぼしき、アダムという名の医師の連絡先をついに見つけたのだ。姪を邪魔者扱いしたフィアンセとも別れ、ベスは看護師として田舎町の診療所に転職し、その2階に姪と住める部屋も見つけた。あとはアダムが娘を認知して、骨髄ドナーになってくれれば…。妹との約束とはいえ、彼に娘がいると知らせなかった私の頼みを、はたして聞いてもらえるのだろうか。電話を取るベスの手が、震えたー。
おなかの赤ちゃんは妹夫婦のもの。 彼と私の愛の結晶ではない。 ついにアイオナは意を決した。 どうしても赤ちゃんができない妹夫婦のためには、 ドナーを探して私が代理母になるしかないわ! そんな折に出会ったのは、同じ病院の凄腕医師ジョー。 吸いこまれそうなほど明るいブルーの神秘的な瞳の持ち主だ。 ジョーに魅せられた彼女は代理母になろうとしていることを彼に告げる。 すると、彼はアイオナの決意を危ぶみながらも、 最終的には協力を約束してくれたーー妊娠すれば終わる関係として。 悲惨な離婚を経験しているジョーが誰かを愛することなど二度とない。 それでもアイオナの彼への想いは募る一方で……。 アイオナはジョーと甘く熱い一夜を過ごし、人生で最高の喜びを経験します。やがて待望の妊娠が判明しますが、思いがけない事態が起きて……。お互い愛に傷ついた過去を持つ主人公たちの感情の揺れが繊細に描かれたC・アンダーソンの感動作をご堪能ください。
孤児のマリーは里親家庭をたらい回しにされながら、奨学金で大学を卒業し、今は自らが支援を受けた慈善団体で働いている。ある日、マリーに思わぬ転機が訪れた。カンヌにある本部に呼ばれ、慈善イベントのマネージャーに抜擢されたのだ。一緒に仕事をする裕福な支援者ザンダーが現れた瞬間、優雅で自信に満ちたハンサムな彼を見て、マリーは息をのんだ。さる公国の王子で、亡き姉の幼い娘を後見する彼は慈悲深くもあった。好きにならずにいられない…でも、身分の違いを忘れてはだめよ。そんなマリーの気も知らず、ザンダーは彼女に豪華なドレスを着させ、“同僚”として次々と上流階級のパーティに連れ歩くのだった…。
自分が住む田舎町に医師のベンが現れて、看護師のエミリーは驚いた。3年前の夏、わたしはベンに熱烈な恋をして、赤ちゃんを授かった。なのに、パリに住む彼に伝えに行くと、嘘をつくなと追い返され、ただの都合のいい遊び相手だったのだと思い知らされた。ところが、再会したベンはエミリーの子を見るなり、顔色を変えた。なんという運命のいたずらか、息子はベンにそっくりだったから。エミリーは、わが子ともども拒絶されたことを忘れてはいなかった。だが、ベンが過去に癌を患い、子どもは持てないと宣告されたと聞き、もう一度彼に愛されたいと願うようになる。たとえベンが、エミリーのいない人生を望んでいても。
あなたの記憶が戻る前に、 この愛が本物だと伝えたい。 エレナは意を決し、スペイン富豪カレブの会社を訪れた。 カレブとは大学時代に出会い、激しく惹かれ合いながらも、 予測不能で奔放な彼との恋が一時の情熱で終わると思うと、 怖くなって自分のほうから逃げ出してしまったのだった。 この心は、あれからもずっとカレブを求めてきた……。 そして今、仕事の協力を願いにやってきたが、 再会したカレブは取りつくしまもなく、彼女の望みを拒絶した。 その直後、あきらめず会社の前に立つエレナに気づき、 追い払おうと道路に踏み出した瞬間、彼はバイクにはねられてしまう。 病院で目を覚ましたカレブは、エレナとのすべての記憶を失っていた! 付き添いのエレナが誰かもわからないまま、カレブは本能に導かれるように彼女の唇をむさぼります。一縷の望みを抱いたエレナは、精いっぱい看護することで愛と真心を伝え、彼が自分との記憶を取り戻したときに、気持ちまで変えてくれることを願いますが……。
愛のかけらもない結婚。 それでも私は、彼の真心が欲しい。 生まれながらに次期国王の許嫁と決められたジョハラは、 父によって適齢期までフランスの片田舎に幽閉されて育った。 そしてついに、王位継承者アジムとの対面のときがやってきた。 ところが彼は挨拶すらせず、結婚式は1週間後と宣言するばかり。 こんなに冷たい人と、生涯をともにするなんて……。 恐怖のあまり、ジョハラはフランスへと逃げ帰ってしまう。 行くあてもなく、街をさまよったすえにたどり着いたカフェで ウェイトレスの職を得たジョハラは、すぐにそこが売春宿だと知る。 汚い男の手が伸び、万事休すーーそのとき、深みのある声が響いた。 「手を離せ。売約済だ」威厳あるアジムの姿が、そこにあった。 ヒロインの心情をしっとり描いて人気のケイト・ヒューイットが、政略結婚の物語を描きました。冷淡で、妻に無関心な次期国王の夫。心を開いてほしくて、けなげに振る舞う苦労人ヒロインが印象的です。好評をいただいた『まぼろしのローマ』の関連作でもあります。
仕事も、家も、幼子の世話も一緒。 でもこの胸の想いだけ、一方通行……。 シャーロットは大病院の救急科の新入り看護師。 母が急に家を売って恋人のもとに身を寄せたため、 路頭に迷った彼女は、住みこみの子守りの求人広告にすがった。 訳あって無一文の今、雨露をしのげるだけでも助かるのだ。 運よく面接者の女性にひと目で気に入られるが、話を聞くうち、 なんとそこが、同じ病院の敏腕医師ヘイミッシュの家だとわかる! 女性は彼の妹で、職場復帰が決まったので子守りを募集したらしい。 シャーロットはその日の朝に、病院でヘイミッシュと初めて会い、 魅力的だが気難しい彼が、皆に畏怖される存在と知ったばかりだ。 そんな彼の同意もないまま、ひとつ屋根の下に暮らすなんて……。 あらゆるタイプのストーリーや登場人物を変幻自在に描き分ける、大スター作家キャロル・モーティマーがお好きな方におすすめ! キャロル・マリネッリの涙なしには読めない感動作をお届けします。明るさの下に切ない感情を隠す、けなげなヒロインにご声援を。
ジョーは姉妹同然に育った親友の死に思いを馳せ、摩天楼を見上げた。わが子のように思う親友の忘れ形見を養女にしようと、ニューヨークにオフィスを構える親友の兄キャメロンを訪ねたのだ。養子縁組をするには、キャメロンの同意が必要なのだが、敏腕弁護士である彼は、おいそれと署名をしない。それどころか、自分の予定にジョーをつき合わせたあげく、明日会社で署名するからと、今夜は彼女を自宅に泊めると言いだした。わたしが養母にふさわしいか見極めるため?それとも…?最高級住宅街にあるキャメロンの自宅へ向かうエレベーターの中、ジョーは急上昇する脈拍を無視しようと、ぎゅっとまぶたを閉じた。
ロザリーは、ポルトガル沖の島ヴォース・ド・マールへやってきた。島の領主ドゥアルテ・アルド公爵の娘の家庭教師として、小宮殿と呼ばれる屋敷に住み込みで働くためだ。初めて会った公爵は見上げるほど背が高く威圧的で、聞けば、6年前に悲劇的な事故で妻を亡くしたという。ロザリーは、彼の謎めいた黒い瞳に見つめられるのが苦手だった。なぜか落ち着かない気分になり、つい生意気なことを言ってしまうのだ。馴染みのない感情をもてあまし、ロザリーはひとりピアノを弾いた。夕闇の中、公爵がじっと耳を傾けていることに気づいたとき、彼が言った。「誰か、愛する男を思って弾いていたのだろう?」
差し出されたガラスの靴を、 履いてはいけないシンデレラ……。 ツアーガイドのフェイスは、異国で貧しくも自由な生活を送っていた。 だがある日突然、会社が倒産して仕事も家も失い、 母国イギリスに戻る金さえなくて空港で途方に暮れていたとき、 偶然知り合った富豪貴族のドミニクに、臨時ガイドとして雇われる。 救世主である彼の役に立とうと懸命に働くフェイスだったが、 彼女は出自にまつわる重大な秘密を抱えていたーー 本当はドミニクと同じ上流階級に生まれながら、なじめず失踪したのだ。 フェイスはそれを伝えられないまま、優しくて魅力的な彼に誘われ、 せめてひと晩だけの思い出として親密な夜を過ごしてしまう。 その直後、彼に正体を知られ、悪鬼のごとき怒りに触れるとも知らず。 困窮してもなお、もといた場所には戻りたくないと願うフェイス。いつしかドミニクを愛するようになってしまいますが、皮肉にも、彼は自分が逃げ出してきた世界の中心に生きる人物でした。やがて終止符を打たなければならない、せつない恋の結末やいかに?
パートタイム従業員のケイティは社長室に呼ばれた。会社の情報を、彼女を騙した元恋人に漏らしたと疑われたのだ。彼ほど不実な人のために、そんなことをするわけがないのに!潔白を訴えるケイティに、冷徹な実業家の社長ルーカスは言った。「大事な取り引きが終わるまでの2週間、君を監禁する」豪華なクルーザーに、監視役のルーカスと二人きり…。熱く燃える黒い瞳に見つめられ、無垢なケイティは身をすくめた。一方のルーカスは、大きな誤解のもと、こう思っていたー美しい顔で男に取り入る女だ、僕以外では手に負えなかろう、と。
持参金も、まともな服さえもない私に、 値打ちなんてあるはずがないけれど……。 屋敷と財産を賭博で失った父が蒸発し、シーアは独り取り残された。 父は最後にサー・デヴリンなる貴族を相手に大負けして、 彼女の花嫁持参金まで巻き上げられていた。 路頭に迷ったシーアは苦渋の選択でサー・デヴリンの館を訪れ、 切なる願いを申し出たーー私をもらってください、と。 デヴリンは突如現れたみすぼらしい身なりの女性の言葉に驚きつつも、 理想の花婿と見るやつきまとってくる貪欲な令嬢たちを退けられ、 跡継ぎも手に入るなら好都合と、彼女の願いを叶えてやることにする。 半年前に見かけた瞬間から彼に恋していたシーアは舞い上がるが、 初夜を迎えた翌日から、夫は急に冷たく無口になってしまい……。 貧しい姿に隠されたシーアの魅力を見抜き、一度は彼女を妻としたデヴリンでしたが、思うところがあって婚姻無効の申請をしようと心に決めます。そうとは知らないシーアは、情熱的だった次の瞬間には冷たくなるという彼の気まぐれな態度に大いに翻弄されて……。
私にはもう、限られた時間しかない。 だから、最後で最高のクリスマスを。 「ここで子供たちのお世話をするのが本当に楽しみです」 青白い顔のエマがほほえむと、医師のアダムは冷ややかにうなずいた。 3年前の12月に妻に先立たれて以来、この時季はいつも不機嫌らしい。 おかげで幼い双子は家族でクリスマスを祝ったことがないという。 そんな彼らの屋敷に住み込みのナニーとして雇われたエマは、 実は難病の治療が一段落したところで、密かに死を覚悟していた。 全力で双子を愛し、懸命に楽しいクリスマスを贈ろうとするエマに 怒りを見せるアダムだったが、やがて彼女の優しさに癒やされていく。 これが私の人生最後のクリスマスなら、最高のものにしたい。 そう強く心に願ったエマは、彼に無私の愛を捧げるが……。 心を閉ざしたアダムにもう一度生きる喜びを感じてほしいというエマの思いが実り、一家は幸せに包まれます。しかしほどなくエマの病気の治療結果が明らかになり……。クリスマスの小さな奇跡を集めて美しい光を灯したような、可憐なシンデレラストーリーです。
富と美貌に恵まれた彼がなぜ、 白鳥になれない私を選んだの? 「僕と結婚してほしい」大富豪のラファエルから突然求婚され、 彼の経営するホテルで働くコーラは我が耳を疑った。 頼みたい新しい仕事があるからとスペインへ連れてこられたけれど、 鷲を思わせる、危ういほど美しい彼からまさか妻に指名されるとは……。 彼は土地買収の必要条件として便宜的に結婚したいのだと言い、 せいぜい数週間で結婚は解消され、莫大な報酬も約束されるらしい。 兄や姉と違い、どじで美しくもないコーラは両親に愛されずに育ち、 先日も大事な家宝を他人に騙し盗られて叱責されたばかりだった。 その損失を補って両親に認めてもらいたい一心で彼女は申し出を受ける。 心の隅で、なぜ醜いあひるの子の自分が選ばれたのか、いぶかりながら。 美しい姉や才能ある兄の陰に隠れるように生きてきたコーラですが、大人になった今なお両親に愛されようとけなげに頑張ります。一方、公爵家の血を引きながら一族の禍根に懊悩するラファエルは、ある目的を胸に彼女に近づいて……。最後に感動が待ち受ける珠玉作!
この胸の奥にしまったはずの、 秘密が、愛が、いま溢れ出す……。 フェイスは恋人クインと医学を志し、卒業後は結婚しようと誓っていた。 だが大学進学を前に、彼女は理由も告げず、突然彼の前から姿を消した。 あれから17年。亡き母の葬儀で帰郷したフェイスは、 医師となって母の最期を看取ってくれたクインと再会を果たす。 「フェイス?」以前より深みが増した彼の声を聞いた瞬間、 なつかしさと、やるせない悲しみの涙が、彼女の頬を伝った。 ああ、彼への想いは、あの頃と少しも変わっていない。でも……。 一方、クインは彼女に寄り添っている若者に敵意を向けた。 不穏な空気を察したフェイスは、いとまを告げてその場を後にしたーー 付き添いの青年の、17年前のクインとよく似た声に促されながら。 遠い昔、ヒロインが最愛のヒーローの人生から忽然といなくなった理由はいったい……? 秘密と真実が明かされる瞬間、涙が止まらなくなる“愛のドラマ”をお贈りします。編集者も太鼓判を押す、読まないともったいないほどの逸作です!
“そもそも君に近づいたのは、金のためだった”ある日突然、ロウィーナは心変わりした元婚約者から婚約破棄された。評判とプライドを粉々に打ち砕かれた彼女は心に決めるーたった20ポンドを手に、よその国で出自を隠して働き、家柄や財産とは関係なく生きていこう、と。やがて、目の不自由な老婦人のつき添いの仕事を見つけ、ロウィーナは故郷イギリスからはるばる海外へ渡った。雇い主の老婦人がいい人だとわかって安心したのもつかの間、その甥で広大な地所を相続するフォレストが、会って早々に言い放った。「これまでのつき添いのように、僕の妻の座を狙っても無駄だぞ!」