著者 : 夏川草介
幸崎ナナミは十三歳の中学二年生である。喘息の持病があるため、あちこち遊びに出かけるわけにもいかず学校が終わるとひとりで図書館に足を運ぶ生活を送っている。その図書館で、最近本がなくなっているらしい。館内の探索を始めたナナミは、青白く輝いている書棚の前で、翡翠の色の目をした猫と出会う。
雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かろうとした頃、最愛の妹が若くしてこの世を去り、一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが…。数多の命を看取った現役の医師でもある著者が、人の幸せの在り方に迫る感動の物語。
人は、神様が書いたカルテをそれぞれ持っている。それを書き換えることは、人間にはできないー。信州松本平にある本庄病院は、なぜ「二十四時間、三百六十五日対応」の看板を掲げるようになったのか?(「彼岸過ぎまで」)。夏目漱石を敬愛し、悲しむことの苦手な内科医・栗原一止の学生時代(「有明」)と研修医時代(「神様のカルテ」)、その妻となる榛名の常念岳山行(「冬山記」)を描いた、「神様のカルテ」シリーズ初の短編集。二度の映画化と二度の本屋大賞ノミネートを経て、物語は原点へ。日本中を温かい心にする大ベストセラー最新作!
高校生の夏木林太郎は、祖父を突然亡くした。祖父が営んでいた古書店『夏木書店』をたたみ、叔母に引き取られることになった林太郎の前に、人間の言葉を話すトラネコが現れる。21世紀版『銀河鉄道の夜』!
病院とは24時間365日、困った人がいれば手を差し伸べてくれる場所。この病院では、奇蹟が起きる。二度の映画化、二度の本屋大賞ノミネートを経て、一止とハルさんの物語は原点へ。
「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、信じられない偽善者よ」。美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。切磋琢磨する仲間。温かい夫婦の絆。青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機。
神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべての心を温かくする、新たなベストセラー。第十回小学館文庫小説賞受賞。