著者 : 外山恵理
仕事を失ったうえ恋人にも裏切られ、キティの心はぼろぼろだった。そんななか、友人と立ち上げた引っ越し会社に思わぬ依頼がー依頼人は由緒正しき准男爵家の新当主セバスチャン・デルフォント。ロンドンの高級住宅街にある屋敷へ移り住むのだという。黒髪に精悍な顔だち、たくましくて長身の彼を一目見た瞬間、キティは心を奪われてしまった!そして丁寧な仕事ぶりが認められたのか、爵位の継承を広く知らせるための仕事もすることになる。6週間の契約でセバスチャンが催すパーティを手伝ううち、いつしかキティは彼の“恋人”として寄り添える日を夢見るように…。
造園家のミアは大規模ホテル建設の仕事に精を出していたが、オーナーの妹である責任者が突然失踪し、建設が中断してしまう。そんなある日、オーナーのマックスが妹と親しいミアのもとを訪れた。「妹の居場所を教えないというなら、衝が僕の直属の部下になるんだ」しかたなく従うミアだったが、彼はさらに途方もない命令を下す。プライベートジェットでの視察旅行に同行しろというのだ。仕事とはいえ、4日間もふたりきりで過ごすなんて危険すぎるー罪深いほど、意地悪なほどセクシーなこの男性と。マックスの圧倒的な権力と魅力を前に、ミアはなすすべもなく従った。涼しい顔の下に、千々に乱れる心を押し隠して。
「ジェームス…」パリのホテルの一室で、クロエは思わずつぶやいた。同級生だった彼と激しい恋に落ち、17歳で妊娠。娘は奪い去られ、ふたりで築くはずだったささやかな幸せは粉々に打ち砕かれた。失意のどん底から這い上がったクロエは父親が決めた縁談を拒み、清掃員とウエイトレスを掛け持ちしてもなお極貧にあえでいる。かたやジェームスは成功者だーこんな贅沢なホテルに泊まれるほどの。記憶のなかの少年よりもずっとたくましく魅惑的な彼を前に、クロエは動揺と恥ずかしさのあまり逃げ出した。かつてジェームスに贈られた銀のヘアピンを落としたことにも、彼が長年クロエを捜していたことにも気づかずに。
ハビエルは1年半ぶりに、この世の楽園と呼ばれる場所を訪れた。資金を投じて建設したホテルのオープニングを見届けるためだ。前のときは赤毛の美女エミーと出会い、一夜の情事を楽しんだ。翌朝目覚めたとき姿を消していた彼女は、今どうしているのか?雑貨店で働くエミーは、ある日、店に現れた男性を見て驚愕した。生後9カ月の息子の父親、ハビエル・トレスがなぜここに?飾らない彼に惹かれ一夜をともにして純潔を捧げたけれど、悪名高い億万長者の投資家だと知り、連絡を避けていたのに…。
ロンドンの小学校教師エリーは、亡父の借金返済のため昼夜働き、美しい妹とは対照的に堅実に生きてきた。ある日、公園で迷子の男の子を見つけ、家まで送っていくと、ブロンズ色の肌と、夜の闇のような漆黒の瞳を持つ男性の姿が。なんてゴージャスなの!それに罪深いほどセクシーだわ。親戚の少年の世話に手を焼くそのスペインの放蕩富豪ルカに、突然、破格の報酬で住み込みのベビーシッターの職を提示され、彼女は承諾した。“この人は危険よ”と囁く心の声に蓋をして。だがその後、遭遇した彼の元恋人にでたらめな情報を流されて恋人同士と誤解され、ルカの別荘に身を隠すことになって…。美しい妹の陰でひっそり人生を歩んできたヒロインの前に、夢のように舞い降りた魅惑の男性。愛には興味がないと明言する彼に惹かれまいとするけれど、氷のように冷たい億万長者だと思っていた彼は実は…。ピュアなヒロイン像が光る感動作!
ギリシアの大富豪アンドレアス・カレリスは、エーゲ海の島にある別荘に現れた女性に目を見張った。かつて父のロンドンの屋敷で家政婦をしていたアイラ。不覚にも彼女の魅力に屈し、一夜をともにしてしまった…。アイラは久しぶりに会うアンドレアスに心をかき乱された。1年前ずっと守ってきたバージンを彼に捧げて妊娠したのに、財産めあてと罵倒されたうえ、DNA鑑定まで要求された。彼女は屈辱に耐えきれず、アンドレアスの前から姿を消したのだ。でも彼とそっくりの青い瞳をした息子を連れてきて見せたら?
学費を稼ぐため清掃員をしていた世間知らずの少女シエナは、雇い主の大富豪ニコと恋に落ち、なすすべもなく純潔を捧げた。愛する彼の子を授かり、夢見心地で結婚したが、流産の末に破局を迎え、その後はずっと独りで生きてきた。そして今、子爵となった彼と再会したシエナは戸惑いながらも抗いがたい情熱に身を焦がすー無上の喜びに我を忘れ、小さな命を授かるほどに。だが医師が妊娠の診断を下すとなぜかニコは激怒して、情け容赦なく言い放った。「僕の前から消えてくれ。もう二度と君の顔は見たくない」
幼稚園で働くアニーは、素行の悪い弟に手を焼いていた。そんなアニーのもとに、弟の勤め先の社長で、“全米で最も冷酷な経営者”と悪名高いダンカンが訪れる。彼はアニーの弟が会社の金を横領したと告げ、彼女に金を肩代わりするだけの経済力がないと知ると、罪を見逃す代わりに、ある取り引きを持ちかけてきた。冷徹すぎるという、社会的に不利な汚名を返上するため、クリスマスまでの1カ月、愛情深い恋人役を演じてほしいというのだ。もし引き受けなければ家を担保にもらい、弟は刑務所に入れるーそう脅されては、もはやアニーに選択の余地などあるはずがなかった。