私はかかってしまったのだ、「百文字病」なるものに。「百文字病」を患った作家が病膏肓に入り、錬成し続けたのは、二百篇の「三行」幻想譚。著者初の魅惑のショートショート集。
時空や他己の隔たりを超えて紡がれる、懐古と眩惑に彩られた幻想譚6篇を収録。
宵闇の四つ辻、季節はずれの祭囃子、遠い記憶の手触りー奇妙でノスタルジックな幻想譚6篇を収録。
絵が現れ出た瞬間、時の船は過去へと遡行して、耳奥に残った紙のざわめきが、舳先の切り進む波の音に聞こえた。日常のなかに仄めく幽かな異界との交感。夢と現、幻視と写実が交錯する、無気味で不思議な味わいの幻想譚6篇を収録。