著者 : 大谷真弓
推理作家E・A・スミスの生前の記憶や感情を備えた複生体のE・A・スミス。彼は図書館に収蔵され、書架に住む“蔵者”である。このたびスミスは、図書館間相互貸借の制度によって、海沿いの村の図書館に送られた。そこで母親と暮らす少女チャンドラに借り出された彼は、何年も前に姿を消した彼女の父親探しを頼まれる。解剖学教授の父親は革装の本を残しており、その本には極寒の氷穴がある“死体の島”の地図が貼りつけられていた…。そんななか、スミスは図書館で自身の古い“版”の死体を発見するが!?巨匠ウルフの未完の遺作となった、『書架の探偵』続篇のSFミステリ。
ヴィクトリア朝、ロンドン。父に続いて母を亡くした令嬢メアリ・ジキルは、母が「ハイド」という人物に毎月送金をしていたことを知る。ハイドというのは殺人容疑で追われているあの不気味な男のことだろうか?メアリは名探偵シャーロック・ホームズと相棒ワトスンの力を借りて探り始めるが、背後には謎の集団“錬金術師協会”の企みがあった。調査するうちメアリが出会ったのは、ハイドの娘、ラパチーニの娘、モロー博士の娘、フランケンシュタインの娘といった“モンスター娘”たち。彼女たちは力をあわせ、謎を解き明かすことができるのか?さまざまな古典名作を下敷きに、一癖も二癖もある令嬢たちの冒険を描くローカス賞受賞作。
国家のエネルギー政策に携わる男は、ある晩、奇妙な電話を受ける。彼のことを詳しく知る電話の男は、人類と地球の絶望的な未来について語り、彼にそれを防ぐ処方箋を提示するが…。『三体』著者である劉慈欣の真骨頂たる表題作など、現代の北京でSNS産業のエリートのひとりとして生きる主人公の狂乱を描いた、『荒潮』著者の陳楸帆による「開光」、春節の帰省シーズンに突如消えた列車とその乗客の謎を追う、「折りたたみ北京」著者の〓景芳による「正月列車」など、14作家による現代最先端の中国SF16篇を収録。短篇小説の名手、ケン・リュウ編による綺羅星のごときアンソロジー第2弾。
我が名誉と、我が命と、我が翡翠にかけて。翡翠の力を飼い慣らし、抗争に明け暮れる男たちの血塗られた戦いに勝ち残るのは、誰かー異形の城市を舞台に展開するSFアジアン・ノワール!世界幻想文学大賞受賞。
天の秘密は円のなかにあるー円周率の中に不老不死の秘密があると聞かされた秦の始皇帝は、五年以内に十万桁まで円周率を求めよと命じた。学者の荊軻は始皇帝の三百万の軍隊を用いた驚異の人間計算機を編みだす。劉慈欣『三体』抜粋改作にして星雲賞受賞作「円」、貧富の差で分断された異形の三層都市を描いたヒューゴー賞受賞作「折りたたみ北京」など、ケン・リュウが精選した7作家13篇を収録の傑作アンソロジー。
わたしは過去の自分を捨て、生まれ変わった…。地球に到来した異星の訪問者トウニン人と共生することになった人類は、大いなる代償と引きかえに、悪しき記憶を切除して新しい自分に「生まれ変わる」道を選ぶことが可能になった。トウニン人のパートナーをもつ特別捜査官の男がトウニン人殺害テロの謎を追う表題作、アジアの田舎の靴工場で女工として働く少女の数奇な運命を描く「ランニング・シューズ」、謎の僧に見出され殺し屋としての人生を生きることになった唐の将軍の娘の物語「隠娘」など、短篇小説の名手ケン・リュウが描く、20篇を収録した日本オリジナル短篇集第三弾。
トム・ハザードは約400年ぶりにロンドンへ還ってきた。歴史教師として。以前に彼がロンドンで暮らしていたのは16世紀末ー彼は400年以上生きている「遅老症」なのだ。思い出のこの地でトムはこれまでの人生を回顧する。生まれた地での魔女狩り、シェイクスピアとの出会い、ペスト流行、太平洋航海、-そして遅老症の人々による謎の組織「アルバトロス・ソサエティ」への加入。この組織に加入させられてから、トムの状況は一変した。ある秘密の責務を負うこととなったのだ。自身の安全と、生き別れの娘マリオンに会う代償として…。悠久のごとく長い時間を生きる男の孤独と愛を描いた物語。
奇妙なこどもたち(ピキューリア)の魂を喰らおうとする非情な敵・コールの魔の手から逃れたジェイコブとエマ。満身創痍のなか、コールに連れ去られた仲間とミス・ペレグリンを追跡して、敵の要塞のあるタイムループへ潜入する。しかしそこで二人が目にしたものは、この世のものとは思えない荒廃したピキューリアの巣窟だった。
再び捕らわれの身となったジェイコブとエマは、コールの最後の陰謀を知り愕然とする。コールは、古いタイムループに存在する「魂の図書館」を探し出し、保管されている古代の強力なピキューリアの魂を手に入れようとしていたのだ。世界の支配を目論むコールと、ジェイコブとエマの最終決戦がついに始まる。そして二人の未来の行方は?
北京、異形の都市。この街は貧富の差により三層のスペースに分割され、24時間ごとに世界が回転・交替し、建物は空間に折りたたまれていく。緻密にして巨大なルービックキューブ型都市の社会と文化に翻弄される男の冒険を描いた〓(かく)景芳によるヒューゴー賞受賞の表題作、秦の始皇帝指揮下3百万の軍隊を用いた驚異の人間計算機の顛末が語られる劉慈欣「円」(ヒューゴー賞受賞作『三体』抜粋)、遺伝子改造鼠を倒すべく歩を進める隊列の闇を描いた陳楸帆「鼠年」など、7人の作家の13作品を、短篇の名手ケン・リュウが精選し英訳。いま最注目の中国SF、その最前線を奔る作家たちが放つアンソロジー。
祖父の死の謎を解いたジェイコブは、特殊能力をもつ「奇妙なこどもたち」とともに、ハヤブサに変身したまま人間の姿に戻れなくなってしまったミス・ペレグリンを助けようと、ウェールズの小島から小さな船に乗って英国本土へとめざす。しかし彼らには、怪物たちの魔の手が次から次へと襲いかかる…。
怪物たちの攻撃を危機一髪で切り抜けた「奇妙なこどもたち」は、ついにロンドンにたどりつく。しかしロンドンもことごとく彼らに襲撃され、もはや「虚ろな街」と化していた。ミス・ペレグリンははたして人間の姿に戻れるのか。そして、奇妙なこどもたちの運命は…?ファンタジーノベルの金字塔、待望の第2巻が日本上陸!
フロリダに住む孤独な少年ジェイコブ。彼の唯一の理解者が、古い写真とともに「おとぎ話」を聞かせてくれた祖父だった。ある日、祖父が「何か」に襲われ、凄惨な死を遂げる。ジェイコブは彼の最期の言葉に従い、ウェールズの島を訪れる。そこには「おとぎ話」通りに“同じ時間”を生きる奇妙なこどもたちと不思議な女性ミス・ペレグリンがいた。
ウェールズにある小さな島で、不思議な力を持つこどもたちと時間を操る女性ミス・ペレグリンに出会ったジェイコブ。彼女たちとの楽しい“時間”の中で、祖父もこの不思議な世界「ループ」で暮らし、愛を育んでいたことを知る。そして自分に「力」があることもー。そんな彼の背後に、祖父を殺したものと同じ黒い影が忍び寄っていた。