著者 : 大門剛明
裁判員裁判で死刑評決を受けた、犯行当時十九歳の死刑囚に死刑が執行される。綾川冤罪裁判を闘った弁護士・松岡千紗が量刑不服として再審請求する矢先だった。直後、死刑を支持した元裁判員が容疑者となる新たな殺人事件が勃発、千紗は敢然と法廷に立つ。人が人を裁く難しさを問う、『完全無罪』に続くシリーズ第2作。文庫書下ろし。
捜査一課の刑事・柴崎の娘が刺殺体で見つかった。懸命な捜査にもかかわらず、事件は迷宮入りとなった。十五年後、後輩刑事の川澄は犯人と目される男の身元を特定。だが逮捕を目前に、男は殺害されたー。殺したのは柴崎なのか。これは解いてはいけない迷宮だったのか。事件の裏に隠された、慟哭の真実とは?
21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢された期待の女性弁護士・松岡千紗。しかし、千紗はその事件で監禁された少女の一人だった。間一髪で自分を殺めたかも知れない容疑者に千紗は敢然と対峙する。罪を作り出す罪、「冤罪」法廷が迎える衝撃の結末。大ベストセラー『雪冤』を超える傑作。
大手人材派遣会社社長・原沢は、弱者を社会のゴミ呼ばわりする発言が反感を買っていた。生活困窮者の自立を支援するジョブトレーナーの沖田は就労生たちを金で誘い原沢の娘を誘拐するが、釈放の条件はむしろ原沢を困惑させる。社会の底辺からの掟破りのリベンジは、果たして成功するか?
手には大型ナイフ、血まみれの着衣。殺人現場付近の監視カメラは敏腕検事・田島の衝撃の姿を捉えていた。絶対的な証拠が揃う中、彼は無実を訴えたきり口を閉ざす。田島の下で働いていた検察事務官・星利菜は、真相を明らかにするために彼と法廷で対峙するが…。ドラマ原作にもなった傑作ミステリー。
41歳の黒崎竜司は元敏腕刑事で、訳あって探偵に転職した。事務所ではハードボイルドを気取っているが、実は女性とまともに付き合ったことがない草食系なのだ。結婚相談所のアドバイザー・城戸まどかは親身にサポートしてくれる。しかし、妙にマジメな性格が災いしてか、誤解あり、判断ミスあり、運はナシで、道のりは険しく…。竜司の婚活に未来はあるのか!?
父から継いだ製鎖工場で女社長を務める翔子は、倒産した製鉄所の連帯保証債務を押し付けられ、自己破産の危機に追い込まれていた。翔子に想いを寄せるどろ焼き屋の店主・鳴川は金策に走るが、債権者の長山には相手にもされない。その矢先、長山が死体となって発見された。捜査に乗り出した刑事・池内は、殺人犯の他に死体を移動させた共犯者がいると推理するがー。情の鎖がすべてを繋ぐ、社会派ミステリの旗手による傑作長編。
「赤落ちを始める。みんなドンドン賭けてくれ」有罪判決を受けた被告人が控訴するか否かを賭けの対象にするギャンブル“赤落ち”。腐敗した刑務官たちの姿に戸惑う新米刑務官の良太だったが、賭けに勝つために解き明かされた予想を裏切る真実に心動かされー(「赤落ち」)。受刑者との結婚を望む女性、刑務官を挑発するような脱獄計画。不可思議な出来事を解き明かすうち、良太は刑務所の闇に迫っていく。傑作社会派ミステリ。
時効成立を待っての自首。法によって裁かれない殺人犯は、世間を騒がせた後、何者かに殺害されたー。警察は当の平成七年一家惨殺事件において一人生き残った、小岩井薫に疑いの目を向けた。一方、妻を殺され、自身も被害者遺族である原村俊介は、気にかける薫の心の奥底が見えず、行動を起こす。それが更に己を苦しめるとも知らず…。妻を巡る真相のみならず、予想外の衝撃が俊介を襲う。遺された者の生き様が、熱くせつなく肺腑を衝く劇的ミステリー。
刑事だった父は、本当に冤罪を生んだのかー。京都府警捜査一課の川上祐介は、妻を殺したと自白しながら、黙秘に転じた被疑者に手を焼いていた。そこへ、京都地検から「不起訴」の連絡が届く。それを決めた担当検事は、父が違法捜査を疑われて失職した際に別の家の養子となった弟の真佐人だった。不起訴に怒る祐介に、真佐人は意外な一言を返す。刑事と検事の信念がぶつかる連作ミステリー。文庫書き下ろし。
正岡周平は、自然エネルギーとして注目される潮流発電の研究者だ。地元企業の社長・羽藤の協力を得て、水車イカロスの発電実験を成功させた。そんな中、研究仲間・七海の自殺の真相を知った周平は、ある人物への復讐を決意する。周平が思いついたのは、おそらく人類史上誰も考えつかない殺人計画だった。瀬戸内海を舞台に、一途な研究者の完全犯罪劇が幕を開ける。
「このおっさんが父さんを殺したんだ!」広島でおきた殺人事件の裁判、被害者の息子の叫びもむなしく、被告人は無罪となった。14年後、当時の裁判長が判決を誤ったと告白して殺害され、事態は再び動き出す。真実を追い求める女性弁護士、政界進出を目指す予備校講師、司法官僚の娘、14年前の被害者の息子。事件の関係者は広島に集い、衝撃の真相が明らかになる。司法格差の闇をあばく、本格社会派ミステリー!
ギャンブル、脱獄、いじめ、偽装結婚ー鉄条網に覆われた刑務所の内部では、外からは窺い知れない様々な事件が起こっている…。新米刑務官・武島良太が見た、塀の中の真実。横溝賞作家が放つ、傑作社会派ミステリー!
市役所に勤める、生活保護担当のケースワーカー・石坂壮馬は、一向に自立しない者や、保護費を詐取しようとする者たちの存在に、制度の矛盾を強く感じていた。そんな中、あくどく稼いでいると評判の者から金を盗み、貧しい人々に金を配る「現代のねずみ小僧」が話題に。ねずみ小僧のやり方に複雑な思いを抱く壮馬だったが、ある日、彼の担当する被保護者が殺されて…。衝撃の真相が胸を打つ長編ミステリー。
東日本大震災と原発クライシスをきっかけに、クリーンエネルギーへの注目が高まっている日本。海流を利用する「潮流発電」も、世界に先駆けて、実用化が近づきつつあった。第一人者である正岡周平は、真摯に愚直に、研究と実験に没頭している。しかし、彼の心には、資金難による研究の行き詰まりで自ら命を絶った、ひとりの女性の面影が棲み続けていた。彼女の死の本当の原因がわかったとき、哀しみと怒りが塗り込められた、驚くべき犯罪計画が動き始める…。
レトルト食品工場に勤める若宮は鬱屈を感じていた。花火大会の夜、少女・花歩を殺めてしまう。花歩は母・理絵とともに、被害者が加害者と向き合う修復的司法に携わり、犯罪被害者支援にかかわっていた。13歳の娘を殺された理絵のもとに、犯人逮捕の知らせがもたらされる。しかし容疑者の供述内容を知った理絵は真犯人は別にいると確信。かつて理絵の教え子であった若宮は、殺人を告白しようとするが…。驚愕のラスト、社会派ミステリー。
15年前、京都。男子学生と十九歳の女性が殺され、一人の男が逮捕された。元弁護士の八木沼悦史は、死刑囚となった息子・慎一の冤罪を信じ、一人活動をしていた。だが、息子は面会を拒絶、弁護士に無罪を訴える手記を手渡す。一方、殺された女性の妹・菜摘に、真犯人を名乗る人物・メロスから電話が。メロスは悦史に自首の代償として五千万円を要求するがー。驚愕のラスト、横溝正史ミステリ大賞の傑作・社会派ミステリ。