著者 : 安部龍太郎
日本「国」の礎を築くため、遣唐使に託された密命とは。阿倍仲麻呂と吉備真備。彼らはなぜ後世に名を残したのか。緊迫する東アジアで、日本は古代中国の大帝国にどう対峙したのか。直木賞『等伯』から10年、日経連載から新たな代表作が誕生した!
阿倍仲麻呂はなぜ、日本に帰らなかったのか。玄宗皇帝と楊貴妃に近侍する高級官僚・仲麻呂は、日本の朝廷の密命を帯びていた。唐を揺るがす動乱が、彼の運命を翻弄する。ユーラシアから日本を見る、壮大なスケールで日中関係の淵源に迫る!
幕府に従い利をとるか、朝廷につき義を果たすか。舞台は鎌倉末期の奥州、蝦夷。身の丈六尺三寸の青年・安藤新九郎が大太刀を振るい、アイヌと力を合わせ切り拓く、真に進むべき道とはー。日本史最大の謎に迫る!圧倒的スケールで描く安部版「太平記」シリーズ、始動!
倒幕の機運が高まる鎌倉末期。新田義貞は、壱岐に流されていた後醍醐天皇方として挙兵し、大塔宮護良親王、楠木正成、足利尊氏らとともに、ついに鎌倉幕府を滅ぼした。しかし、天皇新政もつかの間、反旗を翻し始めた足利氏の追討のため、義貞は自らの義に従って出陣するが…。帝に忠節を尽くし続けた義貞。歴史の表舞台を駆け抜けた太平記の雄の劇的な生涯を描ききった安部版「太平記」第2弾。
時は鎌倉末期。後醍醐天皇率いる軍勢が挙兵し、倒幕の機運が高まっている。強い者につく変節漢としてののしられても己の道を貫いた「バサラ大名」佐々木道誉。そして、天皇への忠節を貫いて華々しく散り、愛国の士としてもてはやされる「悪党」楠木正成。この国の未来を案じ、乱世を治めるべく闘った両雄の行く末はー。この国の礎が築かれた南北朝史に熱き一石を投じる大シリーズ、堂々開幕!!
結婚が政略であり、嫁入りが高度な外交であった戦国時代。各々の方法で城を守ろうとした四人の女城主がいた。美濃国・岩村城を守る信長の叔母珠子。能登国・七尾城で息子・畠山義隆とともに上杉と戦う佐代。そして、筑後国・柳川城で夫・立花宗茂の留守を守る〓(ぎん)千代など時代に翻弄される四人を描く歴史小説。
時は推古天皇の御世。混乱を極めた大陸に統一国家“隋”が誕生。朝鮮半島は分裂したままだが、東アジアは大きく変わろうとし始めた。聖徳太子は“隋”と国交を結ぶことでアジアの安定化を目論む。そのため、九州の海の民宗像の一族にその橋渡しを密かに命じる。果たして宗像一族は使命を果たせるのか?
明治維新そのものが持つ思想と制度の欠陥に根本原因があるのではないかー1932年、イェール大学で歴史学を研究する朝河貫一は、日露戦争後から軍国主義に傾倒していく日本を憂えていた。そのとき、亡父から託された柳行李を思い出す。中に入っていたのは、二本松藩士として戊辰戦争を戦った父が残した手記だった。貫一はそれをもとに、破滅への道を転げ落ちていく日本の病根を見出そうとする。明治維新の闇に迫った歴史小説。
小田原の北条氏を滅ぼし、天下統一の総仕上げとして奥州北端の九戸城を囲んだ秀吉軍。その兵力はなんと15万。わずか3千の城兵を相手に何故かほどの大軍を擁するのか。その真意に気づいた城主九戸政実は、秀吉軍の謀略を逆手に取り罠をしかける。あとは雪深い冬を待つのみー。跳梁する間者、飛び交う密書、疑心暗鬼、そして裏切り。戦国最後にして最大の謀略「奥州仕置き」を描く歴史長編。
戦国時代、朝廷から金掘り御免の認可を得ていた三島家は石見銀山から莫大な収益をあげていたが、近隣勢力によって家を滅ぼされる。危ういところで難を逃れ、都で剣の腕を磨いた嫡子・清十郎は、お家の再興を目指し、海商・王直の知遇を得て貿易商人として才覚を見せ始める。なかでも鉄砲の威力にいち早く着目、原材料の流通を押さえる一方で、その製法や扱い方、さらに戦術をも会得していく。足利十三代将軍義輝、毛利元就、若き織田信長らとの交流を経て戦国武将として成長。絶体絶命の危機を何度も乗り越えて、夢に近づいてゆく。
織田信長に見出されて娘婿となり、その薫陶を受けて成長した蒲生氏郷。世界とわたり合うために天下統一を急ぐ信長の下、活躍を続ける氏郷だったが、長島一向一揆での惨劇を目にして心が大きく揺らぎ始めた。そして本能寺の変が…。茶人やキリシタンとしても知られる氏郷には、その器量を畏れた秀吉が毒を盛ったとの説も。死の謎に迫るとともに、グローバルな視点から蒲生氏郷の人生を骨太の筆致で描く長編小説。
能登・七尾で武士の家に生まれた信春は、長谷川家の養子となり絵仏師として名声を得ていた。都に出て天下一の絵師になるという野望を持っていた彼だが、主家の内紛に巻き込まれて養父母を失い、妻子とともに故郷を追われる。戦国の世に翻弄されながらも、己の信念を貫かんとした絵師・等伯の誕生を描く傑作長編。直木賞受賞。
敵対していた信長が没して不安から解放された等伯だが、その後も永徳を頭とする狩野派との対立、心の師・千利休の自刃、息子の死など、たび重なる悲劇に見舞われる。窮地に立たされながら、それでも己の道を信じた彼が、最後にたどりついた境地とはー。直木賞受賞、長谷川等伯の生涯を骨太に描いた傑作長編。