著者 : 宝樹
第41回 日本SF大賞 特別賞を受賞した立原透耶編纂の中華SFアンソロジーがついに発売。 『時のきざはし 現代中華SF傑作選』に続き、掲載作家は『三体』の著者劉慈欣と並び称される、王晋康や韓松、何夕といったベテランをはじめ、梁清散、陳楸帆、宝樹など、中堅・新人の全15人。陸秋槎氏の新作「杞憂」の初邦訳作品をはじめ、20年前にこのコロナ禍を予言したかのような「死神の口づけ」(潭楷)ほか、SFから幻想譚まで豊富な内容で、表題作「宇宙の果ての本屋」(江波)は本好きなら誰もが感動する一編となっている。
異星種属・三体文明の太陽系侵略に対抗する「階梯計画」。それは、敵艦隊の懐に、人類のスパイをひとり送るという奇策だった。航空宇宙エンジニアの程心(チェン・シン)はその船の推進方法を考案。船に搭載されたのは彼女の元同級生・雲天明(ユン・ティエンミン)の脳だった…。太陽系が潰滅したのち、青色惑星(プラネット・ブルー)で程心の親友・艾(アイ)AAと二人ぼっちになった天明は、秘めた過去を語り出す。三体艦隊に囚われていた間に何があったのか?『三体3 死神永生』の背後に隠された驚愕の真相が明かされる第一部「時の内側の過去」。和服姿の智子が意外なかたちで再登場する第二部「茶の湯会談」。太陽系を滅ぼした“歌い手”文明の壮大な死闘を描く第三部「天蕚」。そしてー。“三体”熱狂的ファンの著者・宝樹は、第三部『死神永生』を読み終えた直後、喪失感に耐えかね、三体宇宙の空白を埋める物語を勝手に執筆。ネットに投稿したところ絶大な反響を呼び、“三体”著者・劉慈欣の公認を得て“三体”の版元から刊行された。ファンなら誰もが知りたかった裏側が描かれる衝撃の公式外伝(スピンオフ)。
突然の事故をきっかけに、俺は人生のあらゆる瞬間に意識を移すことができるようになった。俺が叶えたいことはたったひとつ、子供のころに病院で出会った運命の少女のことだけだ…。自在に時を飛ぶ“時間の王”となった主人公の冒険と苦難を描く表題作、古代の蜀の都市・成都で、謎の女により不老不死にされた王が悠久の時をめぐる「成都往事」、店の名誉を守るため、三国時代の魏の曹操にラーメンを食べさせようとタイムトラベルした一行の奮闘を描く「三国献麺記」など、時間SFテーマの全七篇を収録。中国SFの超新星にして時間SFの名手が贈る、新時代の超絶エンタテインメント短篇集。