著者 : 陸秋槎
ネット・スマホ依存症対策条例が施行された近未来の香川県。全未成年者たちは例外なく、液晶画面を通じたネットへの視覚的なアクセスを遮断する特殊眼鏡「ガーンズバックV」を着用することを義務付けられていた。そんな香川から、女子高生の美優が大阪へやってきた目的とはー?大阪観光サイバーパンクの表題作をはじめ、創作と道徳をめぐる脳科学SF「サンクチュアリ」、ボルヘスとカルヴィーノの影響を受けて書かれた吟遊詩人ファンタジー「物語の歌い手」、スマホゲーム開発をめぐる知的遊戯「開かれた世界から有限宇宙へ」、さらに百合SFアンソロジーや『異常論文』といった日本の書籍のために書き下ろされた傑作など、全8篇を収録。『元年春之祭』『文学少女対数学少女』華文ミステリ作家・陸秋槎、初のSF作品集!
冬の朝の学生寮で、少女が死体で発見された。白い雪に覆われた地面には足跡がなく、警察は自殺として処理する。5年後、生徒会長の馮露葵は、寮委員の顧千千の相談を受ける。いじめ騒動をきっかけに過去の事件の噂が校内に広がっているのだ。真相を探るべく、彼女は図書室司書の姚漱寒と調査を始める。明らかになる、少女に関わった者たちの苦い過去。そんな折、新たな殺人事件が寮で発生する。しかもその現場は5年前と酷似した“雪密室”だった…冷徹なロジックと青春の痛みが織りなす華文本格ミステリの新境地。
前漢時代の中国。かつて国の祭祀を担った名家、観一族は、春の祭儀を準備していた。その折、当主の妹が何者かに殺されてしまう。しかも現場に通じる道には人の目があったというのに、その犯人はどこかに消えてしまったのだ。古礼の見聞を深めるため観家に滞在していた豪族の娘、於陵葵は、その才気で解決に挑む。連続する事件と、四年前の前当主一家惨殺との関係は?漢籍から宗教学まで、あらゆる知識を駆使した推理合戦の果てに少女は悲劇の全貌を見出すー気鋭の中国人作家が読者に挑戦する華文本格ミステリ。