著者 : 宵マチ
暗殺者の凶刃に倒れ六十年の生涯を閉じたオーストリア皇妃エリザベート。ところが、一回目の人生の記憶そのままに、六歳の少女時代へ逆戻り!?二度と不幸な人生は歩みたくないと、運命の分岐点だったフランツ・ヨーゼフとの出会いを回避し、見初められることのないようガリ勉少女に変貌を遂げるのだが…。転生エリザベートと堅物皇帝フランツ・ヨーゼフの二度目の出会いと恋を描く、甘く瑞々しい歴史ファンタジー。
私はいつまで、こんなところにいるのだろう?その問いに答えはないまま、私は今日も、婚約者と妹が惹かれあう姿を見つめる。ある日、一人中庭で昼食をとっているところに、見知らぬ男性が現れた。「ねぇ、想い合う二人を引き裂くのはどんな気分?」今までとは違う登場人物、覚えのない展開。そうして運命の輪は回りだす。これまでとは、少しずつ違う方向へー。
私の可愛い妹を見つめる、私の婚約者。出逢った瞬間恋に落ちていく二人を見たとき、私は既視感に襲われた。ああ、またか。かつての人生でも、婚約者は私の妹に恋をした。私はその光景を、ただ成す術もなく見つめるだけだった。-どうして、私だけが同じ時を繰り返すのだろう。抗いきれぬ運命。巡る時の中で、それでも私は彼を好きになる…。
夜見坂少年が営む金物屋は、副業で「まじない屋」も営んでいる。不本意ながら「まじない屋」のほうが繁盛しているらしい。ある日、夜見坂は、法律上やむを得ず、夜見坂の甥になってしまった刑事・静から人身売買事件の噂を聞き付ける。興味を惹かれた夜見坂は、以前、別の事件で知り合った男爵家の令息で医学生の千尋を強引に誘い、旅行気分で怪しい屋敷に乗り込むが…!?
夜見坂少年の生業は、鍋や薬缶を売る金物屋だ。去年他界した先代から引き継いだ店である。そして、そもうひとつ引き継いだのが「まじない屋」。不本意ながら、こちらの方が繁盛している。ある日、賀川男爵家の家令を名乗る男に屋敷へ連れて行かれた夜見坂は、男爵から息子・千尋にかかった呪いを解くよう命じられる。大学を休み、離れで寝込む千尋に会った夜見坂は…?