著者 : 富岡多惠子
雑誌『群像』は1946年10月号を創刊号とし、2016年10月号で創刊70年を迎えました。これを記念し、永久保存版と銘打って発売された号には戦後を代表する短篇として54作品が収録され、大きな話題を呼びました。このたびそれを文庫三分冊とし、さらに多くの読者にお届けいたします。第二弾は経済の繁栄、社会構造の激変と「戦後文学」の変容を示す18篇を収録。 1946年10月号を創刊号とし、2016年10月号で創刊70年を迎えた文芸誌「群像」。 創刊70周年記念に永久保存版と銘打って発売された号には戦後を代表する短篇として54作品が収録され大きな話題を呼び、即完売となった。このたびそれを文庫三分冊とし、さらに多くの読者にお届けいたします。第二弾は経済の繁栄、社会構造の激変と「戦後文学」の変容を示す18篇を収める。 三浦哲郎「拳銃」 吉村 昭「メロンと鳩」 富岡多惠子「立切れ」 林 京子「空罐」 藤枝静男「悲しいだけ」 小島信夫「返信」 大江健三郎「無垢の歌、経験の歌」 後藤明生「ピラミッドトーク」 大庭みな子「鮭苺の入江」 丸谷才一「樹影譚」 津島佑子「ジャッカ・ドフニーー夏の家」 色川武大「路上」 山田詠美「唇から蝶」 多和田葉子「ゴットハルト鉄道」 笙野頼子「使い魔の日記」 小川国夫「星月夜」 稲葉真弓「七千日」 保坂和志「生きる歓び」
濃密な血の呪縛、中上文学の出発点「岬」(芥川賞)。男と女と日常の不穏な揺らめき「髪の環」。不幸の犠牲で成り立つもの「幸福」。流される僕の挫折と成長「僕って何」(芥川賞)。言葉以前の祈りの異言「ポロポロ」。垢の玉と生死の難問「玉、砕ける」。少年を襲う怪異の空間「遠い座敷」。文学は何を書き試み、如何に表現を切り拓いてきたのか。シリーズ第一巻。
新史料・津田三蔵書簡を読み解きながら、津田の内面を描きつつ、大津事件(一八九一年)の謎に迫る異色作。津田三蔵巡査がロシア皇太子を襲撃した動機とは何か。著者は一人の青年の西南戦争での体験を重視し、同時にその煩悶を見つめながら、明治期社会の深淵の中で事件をとらえなおす。幾多の文学作品で描かれた大津事件像とは異質の視点から、事件を描き、明治期社会の闇とともに現代の闇にも迫る。