著者 : 小宮由
名作「怪談」の新訳版。小泉八雲氏が妻セツから聞いた日本各地に伝わる幽霊話を再話し、独自の解釈を加えた情緒豊かな作品。翻訳家・小宮由氏が10篇をセレクトし、朗読に適した美しい日本語訳でお届けします。
『怪談』『知られぬ日本の面影』『日本ーー一つの試論』。日本人も気づいていなかった日本文化の魅力・価値に気づき、世界に広めた人物、小泉八雲。自身の生い立ちに由来するコンプレックス、葛藤にもがいていた「ラフカディオ・ハーン」は、諸国遍歴のすえに日本へ渡り、日本人の生き方や文化、そして妻となる女性、小泉セツに出会う。日本人「小泉八雲」となった彼の人生は、ヤゴが羽化してトンボとなって飛び立つがごとく変わっていくーー。アイルランド出身の著者が描く、空想と史実が織りなす魂の伝記小説。 本書は、アイルランド出身の脚本家、ジーン・パスリー氏が 2021 年に刊行した長編小説、“Black Dragonfly”の日本語翻訳版。 主人公は「雪女」「耳なし芳一」「ろくろ首」など、日本に古くから伝わる民話・伝承を再話した『怪談』を出版し、日本の文化を世界に紹介した人物、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。物語はハーンの幼少期からはじまり、アイルランド人とギリシャ人の血をひく彼は、その出自や外見、幼いころに両親と生き別れた経験などから、つねに劣等感と孤独感を抱えていた。世界各地を経巡ったハーンが新たな居場所を求めて渡ったのが、明治期の日本だった。仏教や神道、精霊信仰、先祖崇拝といった日本の精神文化に触れるハーン。松江への旅、英語教師として学生たちと過ごす日々、元士族の娘・小泉セツとの結婚、息子一雄の誕生、日本への帰化と改名ーー。〈日本〉との出会いによって、その人生と人生観は大きく変わっていく。 小泉八雲の生涯を描いた唯一の邦訳小説である本書は、史実と仮構を織り交ぜることで、一人の人間としての小泉八雲を浮き彫りにする。母への思慕や過去の後悔、自己存在への葛藤を抱えながらも、人生の歩みを進めていくハーンの人生が、「〈自分〉を引き受けて生きていくとはどういうことか」を、わたしたちに投げかける。 翻訳は、『さかさ町』『イワンの馬鹿』『キプリング童話集』など、児童文学の翻訳をおもに手掛ける小宮由氏が担い、50 余年のハーンの生涯に寄り添って訳出。小泉八雲没後 120 年、『怪談』出版 120 年の節目である 2024 年、『黒い蜻蛉ーー小説 小泉八雲ーー』として発刊する。
140年以上前に誕生した、ロシアの文豪トルストイの名作。強欲な兄や悪魔の誘惑に負けずに、ひょうひょうと自らの体と手を使って生活するイワンの物語。名作にハンス・フィッシャーの挿絵、翻訳家・小宮由氏の新訳で現代に贈る、子どもも大人も読んでほしい作品です。