著者 : 小嶋陽太郎
恋人との別れ話を見ていてー幼馴染に頼まれた僕に訪れた出会い(「ポケット」加藤シゲアキ)。私の家に毎夜違う知らない「友達」がやってくる。ある時から、同じ人が何度も現れるようになり(「コンピレーション」住野よる)。加藤シゲアキ、阿川せんり、渡辺優、小嶋陽太郎、奥田亜希子、住野よるが夢の競演。誰だって「行きたくない」時がある。そんな所在なさにそっと寄り添う、一瞬のきらめきを切り取った書き下ろし短編集。
「林ちゃん、なにか護身術習えば?」そう提案されるがままに、私はパルコの屋上にいる「蹴り男」に会いに行く。「空に飛び蹴り」気になる人ができたかも。新学期、クラス替えした教室で、私は原田幹雄に出会う。クラスでひと際目立つ原田の存在が、私を悩ませる。「怒る泣く笑う女子」学校を舞台に、10代特有の初期衝動を描く連作5編。
中学1年生になったさと子が入部したのは“なぎなた部”。部員不足によりさっそく廃部の危機にさらされたが、不安しかないメンバーが揃いなんとか回避。だけど部長の朝子さんから告げられた部の目標は、「剣道部を倒す」ことでー!?13歳、部活も人生も、いざ真剣勝負!
生まれ育った松本から出ることのないまま大学生になった僕は、附属図書館のくたびれたソファで寝るか、数少ない友人の広崎と吉岡さんと慣れないビールを飲んで時間をつぶす毎日を送っていた。季節とともにまわりはどんどん変わっていくのに、あの日のことを忘れられない僕は、ずっと動けずにいてー。友情、淡い恋心、ちぐはぐな心とからだー胸をかきむしるほどの切なさで青春の喪失と再生をみずみずしく描ききった、著者入魂の新境地!
「私、火星人なの」-必死なまなざしでそう語り続ける佐伯さんに、僕は恋をした。夏休みの数学の補習を一緒に受けながら毎日彼女のいる火星の白昼夢を見るほど、気持ちはつのるばかり。誰もいない校舎で、夜のグラウンドで、ゲームセンターで、佐伯さんとの距離はだんだん近づいていったが、彼女は自分の家のことを決して話そうとしないまま、別れの時が迫っていた。行き場のない想いを抱えた高校生たちの青春小説。
女子高生のきよ子が公園で出くわしたのは、地面に首まですっぽり埋まったおじさんだった。「人生の小路に潜む、落とし穴にはまり…」と間抜けな格好で嘆く男。きよ子は助け出そうとするも、途中で車にはねられ病院へ。その後、目を覚ましたきよ子の前に、なんとあの男が現れた。「私、死んじゃったんですよ」そう、幽霊となってー七三分けの気弱な幽霊と今どき女子高生の奇妙な交流を描く、切なく不思議な新感覚の青春小説。
入社一年目、ザ・文学少女山田友梨が配属されたのはなんと、青年漫画誌「ヤングビート」。大物作家を激怒させ、長寿連載「解決屋一平」はまさかの終了。童貞が主人公のエッチ漫画「いまだ、できず」の人気は急降下。雑誌を牽引する大ヒット作「キヨのひらく箱」には激しく心を動かされるが、作者とは一回も会えない。イタくて深い、新感覚!青春感動物語。25歳の新鋭が放つノンストップストーリー。
女子高生のきよ子が公園で出会ったのは、地面に空いた穴に首までぴっちりと収まった“おじさん”だった…男は、なぜおとなしくしっぽり穴に収まっているのか!?きよ子は男を助けるために奔走するが、その途中運悪く車にはねられ病院へ。そして意識を取り戻した彼女の前に、公園で埋まっていたあの男が突然現れた。「私、死んじゃったんですよ」そう、男は幽霊となっていた!?髪をピタッと七三に分けた、“シチサン”と名乗るどこか気弱な幽霊と、今どき女子高生の奇妙な日々が始まったー。第16回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。