著者 : 小嶋陽太郎
「ひとりで行きなよ」「いやなの、ねぇ条介お願い、ついてきて」 高校生の僕は幼馴染のアンから、恋人と別れるところを見ていてほしいと頼まれる。 バイトを休んで渋々ながら彼女についていった僕が目にしたのはーー。(『ポケット』加藤シゲアキ) 朝起きてぼうっと生きていたらいつの間にか時間が過ぎ去っている。仕事から帰宅すると、毎日違う知らない友達が家にいる。 そんなある日、一人の友達だけが何度も家に来ることに気がついてーー。(『コンピレーション』住野よる) 誰に何を言われようと行きたくない場所もあれば、なんとなく気持ちがのらない朝だってある。 ふとしたきっかけでサボってしまうかもしれないし、人生を変えるような決意で回れ右をすることもあるかもしれない。 ひとはいつでも「行きたくない」気持ちを抱えている。 僕たちのそんな所在なさをそっと掬い上げる、刹那のきらめきを切り取った物語。
クラスでひと際目立つ、快活で光のような存在の原田に憧れを持つ私だったが──「怒る泣く笑う女子」。10代特有の初期衝動を描く、青春連作短編集。どんな人生を歩んでも、きっと誰か味方はいる。
中学1年生になったさと子が入部したのは“なぎなた部”。部員不足によりさっそく廃部の危機にさらされたが、不安しかないメンバーが揃いなんとか回避。だけど部長の朝子さんから告げられた部の目標は、「剣道部を倒す」ことでー!?13歳、部活も人生も、いざ真剣勝負!
生まれ育った松本から出ることのないまま大学生になった僕は、 附属図書館のくたびれたソファで寝るか、 数少ない友人の広崎と吉岡さんと慣れないビールを飲んで 時間をつぶす毎日を送っていた。 季節とともにまわりはどんどん変わっていくのに、 あの日のことを忘れられない僕は、ずっと動けずにいてーー 友情、淡い恋心、ちぐはぐな心とからだーー 痛みと絶望の先に差すかすかな光のまぶしさに胸がひりつく、著者新境地の青春小説!
「私、火星人なの」 ーー必死なまなざしでそう語り続ける佐伯さんに、僕は恋をした。 夏休みの数学の補修を一緒に受けながら 毎日彼女のいる火星の白昼夢を見るほど、気持ちはつのるばかり。 誰もいない校舎で、夜のグラウンドで、ゲームセンターで、 佐伯さんとの距離はだんだん近づいていったが、 彼女は自分の家のことを決して話そうとしないまま、別れの時が迫っていた。 行き場のない想いを抱えた高校生たちの青春小説。(単行本『火星の話』改題)
女子高生のきよ子が公園で出会ったのは地面に首まですっぽり埋まったおじさんでしたーー「私、死んじゃったんですよ」“シチサン”と名乗る悩みを抱える気弱な幽霊と今どき女子高生の奇妙な日々が始まった。
入社一年目、ザ・文学少女山田友梨が配属されたのはなんと、青年漫画誌「ヤングビート」。大物作家を激怒させ、長寿連載「解決屋一平」はまさかの終了。童貞が主人公のエッチ漫画「いまだ、できず」の人気は急降下。雑誌を牽引する大ヒット作「キヨのひらく箱」には激しく心を動かされるが、作者とは一回も会えない。イタくて深い、新感覚!青春感動物語。25歳の新鋭が放つノンストップストーリー。
女子高生のきよ子が公園で出会ったのは、地面に空いた穴に首までぴっちりと収まった“おじさん”だった…男は、なぜおとなしくしっぽり穴に収まっているのか!?きよ子は男を助けるために奔走するが、その途中運悪く車にはねられ病院へ。そして意識を取り戻した彼女の前に、公園で埋まっていたあの男が突然現れた。「私、死んじゃったんですよ」そう、男は幽霊となっていた!?髪をピタッと七三に分けた、“シチサン”と名乗るどこか気弱な幽霊と、今どき女子高生の奇妙な日々が始まったー。第16回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。