著者 : 小林祥子
フェイス!(上)フェイス!(上)
今年の夏は暑くなりそうだ。まだ5月の末なのに、海水温が27度もあるのだ。ここはプエルトリコの東400マイル。毎年数多くのハリケーンが誕生する場所である。この知らせを受けた若き気象予報官コナーズは、いやな予感を覚えていた。彼を取材したニューヨークの雑誌記者ジョセフィーンは、仕事に情熱を燃やす彼に強い印象を受けた。しかしそのときには、まさか彼女の家族がハリケーンの犠牲者になろうとは、夢想だにしていなかった。
フェイス!(下)フェイス!(下)
ジョセフィーンの家族に地獄の苦しみを味わわせたハリケーン〈フェイス〉は、そのあと東の海に去って行くかと思われた。しかし、気象予報官コナーズは、片時も気を緩めなかった。〈フェイス〉が再び針路を西に変えないとも限らない…。そして彼の危惧は的中した。〈フェイス〉は、時速180マイルという驚異的な暴風と、高さ40フィートにもおよぶ高波を伴って、ニューヨークを直撃したのである。迫真のディザスター・ノヴェル登場。
夜の海辺の町で夜の海辺の町で
わたしは河口のただ中に立ちつくし、猛烈な罪悪感に襲われていた。落ち着きがなく、何やら相談ありげだった昨夜のスヴェン。その不安を、自分は受けとめてやることができなかった。結果、老人は死体となって、今、目の前にいる。事故か自殺として処理されそうな雲行きに、わたしはひとり捜査を開始したが…。開発に揺れるカリフォーニアの町。そこに展開する哀しい人間ドラマ。
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