著者 : 小泉まや
彼の期待に応えたい。 一生懸命になるうち、いつしか恋を……。 弟の学費を稼ぐため、イゾベルは個人宅に派遣される看護師として、 私生活の時間を犠牲にしながら仕事に励んでいる。 今度の雇い主は、壮大な屋敷に住むハンサムなドクター・ウィンターで、 彼の養育係だった脚の不自由な老婦人をイギリスに呼び寄せたいという。 ところが、ドクターはイゾベルを一目見て顔をしかめると、 若すぎて不適格だと決めつけ、年配の経験豊富な看護師がいいと言った! 私は弟のために、どうしても働かなくてはならないのに……。 断られる覚悟をしたイゾベルに、ドクターが憂鬱そうに告げた。 「紹介所に相談したが、代わりはいないらしい……君を雇うしかないな」 後悔はさせませんと応えた彼女とは対照的に、彼は硬い表情のままで……。 老婦人を迎えに行く途中、スウェーデンを観光する機会に恵まれますが、ドクターは依然としてイゾベルにつっけんどんな態度をとります。けれど、絵葉書を買うお金がない彼女に代金を差し出してくれたり、湖をゆっくり眺めていてもせかさずにいてくれたり……。
恋が実る日はこなくても、 あなたのそばにいられれば、それでいいの。 ギリシアの海運王、サキスの有能な秘書ブリアナ。 ロボットのように黙々とボスの命令に従いながら、 じつは彼への恋心を胸の奥に秘めている。 だがサキスに熱いまなざしを向けられるたび、彼女はおびえた。 いくら興味を持たれたからといって、恋に目がくらんではだめ。 愛なんてなくても生きていけるはずよ。 名前を変えるほどの事件が起きた過去を彼に知られたら、 私は生きていけない。ああ、もっと早く彼に出会えていたら。 だから今は秘書としてそばにいられればそれだけでいい……。 傲慢なヒーロー像とダイナミックな作風でHQロマンスの大人気作家となったマヤ・ブレイク。今作では、過去の出来事のせいで傷つき心を閉ざすヒロインの、せつない片想いを描きます。関連作『喪服の愛人』もあわせてお楽しみください。
派遣社員のダーシーはある日、書類の配達を頼まれてホテルへ向かった。だが指定された部屋にいたのは不穏な表情をした屈強な男2人で、中に引きずりこまれた彼女は、恐怖のあまり気を失ってしまう。次に目覚めたとき、ダーシーはネーヴという名の見知らぬ大富豪が住む豪邸に連れてこられていた。先ほどの男たちは彼の用心棒だった。ダーシーをなぜか脅迫犯と誤解したネーヴは彼女を囚われの身にしたのだ。一瞬だけ情熱的なキスをされたとき以外、冷徹な態度の彼に恐怖を覚え、彼女は隙をついてどうにかこうにか自宅へ逃げ帰った。その翌週、新しい派遣先で念願の秘書として働くことが決まり、喜んだのもつかの間、ダーシーは社長の顔を見て驚愕するーネーヴ!
家名のために男の子が欲しい億万長者。 その非情な求婚を、愛と誤解したなんて。 振り向いたエミーは、ふくらみかけた自分のおなかに手をあてた。 一夜をともにしたマルコが、ニューヨークの大富豪だったなんて! マルコは彼女の職場に突然現れ、自分に子供ができたと知ると、 家族が欲しいと言って結婚を申しこんできた。 私がイギリスから引っ越さなければならなくても、 彼は贅沢な生活をちらつかせれば問題ないと思っている。 それでもマルコの父が病気と聞くと、エミーは婚約を受け入れた。 この再会は運命で、彼がくれた婚約指輪を愛の証と信じられたら。 だがマルコは男児の誕生を願い、彼女を利用する気でいて……。 R・トーマスは“日常の中の非日常”を描くのが巧みな作家です。平凡な毎日を送るヒロインの前に、いきなり大富豪のヒーローが現れ、夢のようなプロポーズーーけれど引き換えに、彼女は大切な家族や仕事を捨て、見知らぬ街で暮らすことを迫られるのでした。
私は駆け落ちした妹の身代わり。 ベールの奥の素顔は誰にも見せない。 まさか、船が動いている! ヴィヴェカは窓の外を見て慌てた。 ここは豪華なクルーザーの船内、持ち主はミコラス・ペトライデス。 今日、妹が政略結婚するはずだったギリシアの大富豪だ。 ヴィヴェカは不憫な妹のために、花嫁になりすまして祭壇に立ち、 妹が恋人と逃げおおせるまでの時間稼ぎをする予定だった。 ところがすぐにミコラスに見破られ、この船に連れてこられた。 密室で男性と二人きりになり、無垢なヴィヴェカの体がこわばる。 それを知ってか知らずか、ミコラスは傲慢な口調で宣言した。 「代わりに僕と結婚してもらう。寝室に移ろう」 『イタリア富豪の孤独な妻』『愛を宿した個人秘書』の関連2部作が大好評だったD・コリンズの作品。合併相手に娘がもう一人いると知り、政略結婚の矛先を切り替えた実業家ヒーロー。ギリシア神のごとき容姿と自信満々な態度は、ロマンス・ヒーローの王道です。
長年、シレナは実業家ラウルの優秀な秘書だった。そして数カ月前、夢がかなって彼の恋人になれたと思った。だがその翌日、ラウルはシレナを警察に突き出したーー彼の口座からお金を盗んだと、一方的に決めつけて。優しかった彼が、法廷では別人のように憎しみを露わにした。判決が言い渡され、安堵したシレナはその場で気を失ってしまう。意外にも、駆けよって抱きとめたのはラウルだった。朦朧とする意識のなかで、シレナは無言の叫びをあげていた。だめよ、彼に妊娠していると知られては。絶対にだめ……!