著者 : 山ノ内文枝
サラは実業家アレックス・ロッシーニの秘書を務めて丸1年で、プレイボーイであるボスの交際相手の調整が仕事のようなもの。しなやかな長身に、日焼けした顔に輝く黄金色の瞳。女性たちが彼を夢中で追いかけるのも無理はない。ある日、サラは婚約者を性悪ないとこに奪われ、衝撃のあまり、優しい言葉で慰めてくれたアレックスの胸に飛び込んだ。さらに一夜限りと知りながら、守り通してきた純潔も捧げた。その後、予期せずボスからプロポーズされ、サラは承諾してしまう。まさかアレックスが用意周到に仕組んだ罠だとも知らず。
貧しい祖父母の家で育ち、身分違いの地主の息子ジェイクの子を宿したキティ。だが初めての一夜のあと、彼に言われたのだ。妊娠しても子供は諦めてほしいと。妊娠を告げる前に、彼は別の女性と結婚。キティは打ちのめされ家を出た。8年後、祖母が亡くなり帰郷すると、長身の男性が現れた。彫りの深い顔立ちージェイク?-『飽くなき情熱』エミリーは結婚して3年経った今も大富豪の夫フィンに夢中。だが彼は前妻といまだに親しく、毎晩帰宅も遅いので不安でならない。今日は3度目の結婚記念日なのに、腕によりをかけて作った食事はすっかり冷めてしまった。思い余って夫の会社に行ってみると…そこには、一緒にシャンパンを飲む夫と前妻の睦まじい姿が!-『悲しい嫉妬』田舎町の診療所で看護師として働くララ。今年のクリスマスにはドクターの息子ニックが帰ってくるという。7年前のイブの日にダンスパーティでニックに恋したララは、次の日からダイエットに励んだ。今はもう太って未熟な少女ではないわたしを、彼はどう思うかしら?ララは期待に胸を高鳴らせるが、現実は残酷でー。-『始まりはラストダンス』
まだ幼い愛娘を誘拐され、打ちひしがれていたサラは、シチリア大富豪の夫ニコラスとの3年ぶりの再会に動揺した。出会った瞬間に恋に落ち、結婚したときは幸せの絶頂だった。けれど、頑固な義父はイギリスから来た花嫁をよそ者として嫌い、息子の目を盗んでは、周囲も巻き込んでサラにつらく当たった。そして事実無根の浮気の罪を着せ、ついに彼女をいびり出したのだ。ニコラスの子を身ごもったとサラが知ったのは、別居してからのこと。今、夫は黄金の瞳に、なおも妻への不信と怒りの念を浮かべている。彼にとって、あの子は屈辱の印。邪魔だったから、さらったんだわ!そう疑う妻に、彼は告げた。「“きみの”子をさらってなどいない」
ベサニーがラズルと出会ったのは学生時代。そのエキゾチックで危険な魅力に一目で惹かれたが、彼から激しく求められても、二人が結ばれることはなかった。砂漠の国の皇太子である彼との未来なんてありえないから…。数年後、ベサニーは仕事でラズルの国へ派遣される。一国の権力者がベサニーの入国を知ることなどないはずなのに、なんと彼女は空港で拘束され、まっすぐ宮殿へ連れていかれた。再会したラズルは端整な顔に不敵な笑みを浮かべ、言った。「あのとき僕を拒んだ君に、女の悦びを教えてやろう」
メリは枕に顔をうずめて泣きじゃくった。なんて最悪な誕生日なの…。今日で17歳になったメリは、兄の親友であるジャックに、長いあいだ秘めてきた恋心を思いきって打ち明けたのだ。それなのに、ジャックは困惑したような表情を浮かべ、恋愛対象としては見られないと言い残し、振り返りもせず去っていった。ひどいわ。確かに私は太っていて魅力的じゃないけれど…あんまりよ。いつか綺麗になって見返すと胸に誓った11年後、ついに機会が訪れる。実業家となったジャックが、メリの兄が建てた別荘に滞在するという。見違えるほど美しくセクシーに変身したメリは、別荘へ向かった。彼と一つ屋根の下で過ごし、叶わなかった初恋に終止符を打つために。
カルロが亡き姉の忘れ形見を引き取ると言い出して、1年。カサンドラは姪を連れ、あてどなく街から街へと移り住んでいた。あの日、妊娠を伝えた姉に、中絶費用を送りつけてきたカルロ。無言の侮辱に耐え、姉は出産したが、そのときの非情な仕打ちを思い返すだけで腸が煮え返る。そんな男に姪を渡す気はない。海から少し離れたところに宿をとっていたカサンドラは、浜辺から戻ってくるなり、フェラーリに気づいてふと足をとめた。車から、一分の隙もない身のこなしの男性が降りてきたからだ。それは、冷酷な人でなしー大富豪カルロ・バレンティだった。