著者 : 山前譲
江戸川乱歩はミステリーを「犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐蕨に解かれて行く径路の面白さを主眼とする文学」と定義した。これはまさに相手の駒の動きを予測し、理詰めで解き明かす将棋の勝負と類似している。事実、推理作家には将棋好きが少なくなく、題材にした作品も数多い。本書は文壇の実力派たちによる白熱の名人戦九局を収めた傑作アンソロジー!
落語と推理小説は昔から深い縁があった。明治期、黒岩涙香が探偵小説を紹介する前に、かの大名跡、三遊亭円朝が、なんと翻訳ミステリーを高座にかけていたのだ。また、大乱歩は英人落語家、快楽亭ブラックの探偵小説に注目、以後多くのミステリー作家が落語を題材にさまざまな作品を発表してきた。本書は古典的名作から気鋭の秀作まで、ハズレなしの八編を収録!
中高年登山者や山ガールの増殖に加えて、今年二〇一六年から八月十一日が祝日の“山の日”となり、さらに加熱が予想される登山ブーム。だが、山は俗世間を離れた特殊な場所ー異界あるいは密室として、多くの物語の舞台になってきた。本書は厳しい大自然の中で繰り広げられる謎と殺意と愛憎に満ちた山岳ドラマを八編収録。どれも山の魅力溢れる傑作揃い!
「あの文豪にこんな探偵小説が!」と、読者を驚嘆させるアンソロジー。“プロパビリティーの犯罪”を初めて扱った谷崎。故殺か、事故かを追及した鴎外、志賀。静かに迫りくる恐怖を描いた三島…。「謎」は殺人事件にとどまらず、人の心の奥底にこそ存在する、と、信じる巨匠たちの生み出した探偵小説の傑作の数々。
「父さんを信じてくれ」という伝言だけを残して、牧野幸の父親・祐二は婦女暴行容疑で逮捕された。保釈後、さらに殺人、放火の容疑で、「世紀の悪党」として逃亡する身に…。幸の高校の先輩である夕里子は、国友刑事と事件の真相を追うが、綾子、珠美も巻き込まれ、大事件に発展!真実はどこにある。
国際生花シンポジウム開催中の京都で、雑誌記者が殺された。仕事を引き継いだ浅見光彦だが、目の前で第二の殺人が。五百年の伝統を持つ華道家元の封印された秘密とは。十五歳の娘・奈緒をめぐる後継争い、異端の天才華道家との確執も絡む華麗なる連続殺人に、浅見は挑む。記念すべき傑作長篇。第100作。
坊ちゃま、助けて。浅見家のお手伝い・須美子が殺人容疑で群馬の警察に連行された?助けに行った浅見光彦は温泉町・伊香保の夫婦怪死事件に巻き込まれる。会社重役の夫は焼死、妻は崖下に転落死。事件には、日本舞踊の後継者争い、晩年をこの地で過ごした竹久夢二の謎までが絡み…。傑作旅情ミステリー。
天才ピアニスト・高田恭二は、師であり愛人でもあった、深野須美子を捨て、若い恋人と駆け落ちした。須美子は恭二への恨みを綴った遺書を残して自殺した。須美子の呪詛に怯え、東京から逃れた二人は、雪深い温泉地で三姉妹と出会った。須美子の「呪い」は、三姉妹をも巻き込んでいく。殺人と怪異、果たしてその真相は。
佐々本家にかかってきた謎の電話。それは次女・夕里子を恋人にする、という不気味な宣言だった。謎の男は夕里子の恋人・国友刑事を卑劣な罠にかけ、長女・綾子を異様な病院に閉じこめ、三女の珠美も誘拐、監禁してしまう。やむをえず夕里子は犯人の待つホテルへ向かうがー。大ピンチの三姉妹は果して。
昭和27年、日航機「もく星」号は伊豆大島の三原山に激突、全37名の命が奪われた。その時、米人パイロットと米軍管制官の間にどんな交信がなされたのか。全員救助の報が絶望に変わる一夜の間に、米占領軍で何が画策されたのか。犠牲者のひとり、ダイヤ密売の美女は何者なのか。世を震撼させた事件の謎にせまり、「40年目の真実」を明らかにした、巨匠最後の渾身作。