小説むすび | 著者 : 山崎佳代子

著者 : 山崎佳代子

イェレナ、いない女 他十三篇イェレナ、いない女 他十三篇

目にするものはすべて詩であり、手に触れるものはすべて痛みである。 不正義、不条理に満ちた世界で人びとはいかに生きるか。 歴史に翻弄される民族を見つめ、人類の希望を「橋」の 詩学として語り続けたノーベル文学賞作家アンドリッチ── 「橋」、短編小説八篇、散文詩『エクス・ポント(黒海より)』 と「不安」、エッセイ三篇を収録した精選作品集。 歴史の不条理を、若きアンドリッチは身をもって体験した。第一次大戦中の思想犯としての獄中生活は、戦争という外的世界を凝視させると同時に、「幽閉された者」の精神的な内的世界へと作家を招き入れる。歴史と魂の問題は、作家の生涯を通じて、詩学を支える二本の柱となった。この詩学の魅力は、新現実主義と形而上主義の両面を持ちあわせ、見える世界と見えない世界を結び合わせる力にある。集団と自我、天と地、魂と肉体、異なる二つのものを引き裂くもの、繫ぎ合わせるものに、作家は光をあてる。アンドリッチの問いかけは、人はどう生きるべきかではなく、人々はどう生きるかという人類的な問題である。──「訳者解題」より

パンと野いちごパンと野いちご

出版社

勁草書房

発売日

2018年5月15日 発売

ジャンル

戦時下で、難民状況の中で、人びとは何を食べていたのか。セルビアに住む著者が友から聞きとった食べ物と戦争の記憶。レシピつき。 卵と生クリームなしのマーブル戦争ケーキ。停電で溶けだした冷凍庫の肉で銃弾に怯えながら催すバーベキュー大会。第一次、第二次大戦、ユーゴスラビア内戦、コソボ紛争……戦争の絶えないバルカン半島に長年住む著者が戦下のレシピを集めた。食べ物とは思い出のこと。そして甦りのこと。繰り返される歴史のなかの、繰り返しのない一人ひとりの人生の記憶と記録。 2019年9月 第29回紫式部文学賞受賞 はじめに  小さな歴史手帖 語りの声に耳をすますまえに  ジェネリカの青い実 1 第二次世界大戦の子供たち  パンの話─ユディッタ・ティモティエビッチ  僕はスマートだった─ゴイコ・スボティッチ  トランク一つの旅─アレクサンドラ=セーカ・ミトロビッチ  橋と子供─ラドミラ 2 料理とは、甦りのこと  ジャガイモと薬─ドラゴスラバ・ラタイ  母の手紙─ブラード・オバド  魚と野獣─ダルコ・ラドゥーロビッチ  パンと牛乳─リュビツァ・ミリチェビッチ 3 嵐の記憶  私は市場に─ゴルダナ・ボギーチェビッチ  僕は元気だ─スラビツァ・ブルダシュ  小鳥が木の実をついばむように─ゴルダナ=ゴガ・ケツマノビッチ  マルメロとイラクサ─ベリスラブ・ブラゴエビッチ 4 馬の涙 コソボ・メトヒヤの女声たち  五月のある晴れた日に  小さな家、大きな食卓─ドゥシカ・ヤーショビッチ  火酒とピストル─ラトカ  逃げていく日─ミーラ、リーリャ、ビリャナ、ドゥシカ  赤く染めた卵─スターナ  雨、雨、雨だった─ふたたび、リーリャ  パンを焼く、生きていく─スラビツァ  魂の香り─コソボ・メトヒヤの女声たち  人生でいちばん大切なこと─ふたたびコソボ・メトヒヤの女声たち  右の手、左の手─ミルカ、スラビツァ、スネジャナ 5 野いちごの森へ  梨と猫  時刻表にない列車─ソフィア・ヤクシッチ  山羊と子供─ペタル・マラビッチ  チーズとジャガイモ─デサンカ・ラブナイッチ  見えないパン─ナランチャ・マラビッチ  朝の牛乳─スミリャ・エデル  ああ、あの子たち─イェレナ・スタルツ=ヤンチッチ  手紙を書いてくれ─シェキッチ村ピオニールの少年たち  パルチザン第七病院─ペタル・ラドイチッチ  大きな胡桃の木の下で─ミルカ・ラドゥーロビッチ  花と爆弾─スルジャン・ブケリッチ  サンドイッチと空き瓶─ジュルジッツァ・オストイッチ  雪と少年─シーモ・トミッチ 6 飢餓ゆえの戦争、戦争ゆえの飢餓  小さなパン─バネ・カラノビッチ  鳩と白い花─ドラガナ・ゴレタ  食べ物という喜び─ベドラ・アルシッチ 7 小さな料理手帖  グーラッシュ  玉ねぎしきつめ肉団子  イラクサのスープ  肉詰めパプリカ  ジャガイモ詰めパプリカ  豆スープ  肉のサルマ  セルビア・サラダ  バニラ・クッキー  マーブル戦争ケーキ  ラミザ風ユーロクリーム  セルビア料理の道具 結びにかえて 旅は終わらない

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