著者 : 山崎洋
山の花環 小宇宙の光山の花環 小宇宙の光
イスラム教改宗者の討伐という歴史的事件を材に、民衆の『哀しき人間の運命』を綴った、セルビア『第二の聖書』と目される一大詩篇『山の花環』。宇宙創造、人間の堕落と魂の救済を詠う『小宇宙の光』。セルビア文学の金字塔となった、ニェゴシュを代表する二大叙事詩。
イェレナ、いない女 他十三篇イェレナ、いない女 他十三篇
目にするものはすべて詩であり、手に触れるものはすべて痛みである。 不正義、不条理に満ちた世界で人びとはいかに生きるか。 歴史に翻弄される民族を見つめ、人類の希望を「橋」の 詩学として語り続けたノーベル文学賞作家アンドリッチ── 「橋」、短編小説八篇、散文詩『エクス・ポント(黒海より)』 と「不安」、エッセイ三篇を収録した精選作品集。 歴史の不条理を、若きアンドリッチは身をもって体験した。第一次大戦中の思想犯としての獄中生活は、戦争という外的世界を凝視させると同時に、「幽閉された者」の精神的な内的世界へと作家を招き入れる。歴史と魂の問題は、作家の生涯を通じて、詩学を支える二本の柱となった。この詩学の魅力は、新現実主義と形而上主義の両面を持ちあわせ、見える世界と見えない世界を結び合わせる力にある。集団と自我、天と地、魂と肉体、異なる二つのものを引き裂くもの、繫ぎ合わせるものに、作家は光をあてる。アンドリッチの問いかけは、人はどう生きるべきかではなく、人々はどう生きるかという人類的な問題である。──「訳者解題」より
小宇宙の光小宇宙の光
人間はなぜ天から堕ちたのか。なぜこの地上で、苦しみの日々を送らねばならないのか。その謎を解くために詩人は魂に導かれ、宇宙へ、天国へと旅立つ。水晶の岸辺に神の御使の出迎えを受けた詩人は、天上の原と神の御座の偉観に心を奪われる。勧められるままに「記憶の泉」の水を飲む。そこで詩人のみたものは…。
PREV1NEXT