著者 : 山形浩生
不朽の名作『1984』 画期的新訳愛蔵版! 山形浩生(『21世紀の資本』訳者)×つくみず(『少女終末旅行』) 解説 木澤佐登志「現実に対峙する一つの武器として『一九八四』は今こそ読まれる必要がある」 主人公ウィンストンは、ビッグ・ブラザーと党が支配する、どこが相手かもはっきりしない戦時下の超管理社会オセアニアの真実省で、公式の歴史改変を担当している。だがふとしたきっかけで禁断の日記を書き始め、そして若いジュリアとの禁断の逢瀬にふける中で、次第に自分の暮らす社会に対する疑問と反発を強める。しかし反政府組織に参加したと思った瞬間、彼は国家に捕らえられーー現在のハイテク監視社会、情報操作とフェイクニュースによる大衆支配、戦争やテロを口実にした社会的自由の制約、密告と労働改造所や矯正収容所の思考操作、社会階級の固定化と格差社会、その他現代管理社会のありとあらゆる側面が恐ろしいほどの密度で詰め込まれた、不世出の傑作。
許可なく野蛮人にケタンを教えたというテンピに対する汚名をそそぐため、480キロを走破したクォートたちは、ついにヘルトへと到着した。「剣の木の道」の学校長であり、テンピの師匠でもあるシェヒンは、クォートにケタンを学ぶ資格があるかどうかは学校の入学試験に合格するかどうかで判断するという。不合格ならテンピは追放されてしまう。かくて、女傭兵ヴァシェットの指導のもと、クォートの凄絶なる修行が始まる!
アルヴェロン大公の命を受け、徴税人を襲う盗賊団を追って森林地帯へと分け入ったクォート一行。追跡人のマーテン、傭兵のデダンとヘスペ、そしてアデム人傭兵のテンピとともに、辛く困難な捜索活動を続けるが見つからない。だが捜索29日め、ついに盗賊団を発見した一行は、嵐の中その野営地を襲撃するがこちらは5人、相手は30人以上。絶望的な状況の中、盗賊団を殱滅すべく、クォートはその秘術を駆使して立ち向かう!
セヴェレンに到着し大公の宮廷になんなく入りこんだクォートは、病気に苦しむ大公の様子から、何者かが毒を盛っているのではないかと疑う。ペットの小鳥に大公の薬を飲ませることで、お抱えの秘術士コーディカスこそが、薬に毒を入れている犯人であることを証明した。毒殺の危機から救ったことで大公に重用されるようになったクォートは、さらに大公とラックレス家の美しい令嬢との婚約を成功させるべく奮闘するが…。
最愛のデナが宿敵アンブローズと談笑しているところを目撃したクォートは、デナを忘れようと苦悩する。そんな彼を心配したシモンとウィレムに連れられて訪れた酒場でクォートはデナと偶然再会し、アンブローズとは知人に紹介されただけの関係だとわかる。ただそのとき、大事な指輪をアンブローズに預けたが返してくれないのだとも。クォートは指輪を取り返すため、アンブローズが宿泊する金の仔馬亭の部屋に忍びこむが!?
魔物にとりつかれた傭兵による惨劇から一夜明けた翌朝、道の石亭では、クォートが紀伝家に大学での日々を再び語りはじめた。鯨場でランプを造り、酒場でリュートを奏で、必死で学費を稼ぐクォート。だがそんな努力も、宿敵アンブローズの陥穽により、すべてがふいになるところだった。試験の直前、考えることすべてを口に出さずにはいられなくなる秘薬を飲まされてしまったが…人気沸騰の大河ファンタジイ第2部開幕!
チャンドリアンのしわざと思われる殺戮の調査のため、トレボンの町へと急行したクォートは、ただひとり生き残ったという目撃者から状況を聞き出そうとした。だがその目撃者とは、なんと麗しのデナであった!惨劇の現場へ調査に赴いた二人は、そこで怖るべき竜のドラッカスと遭遇する。狂乱し町を襲うドラッカスに、クォートは秘術を駆使して敢然と立ち向かうが…話題沸騰の正統派本格ファンタジイ第1部、堂々完結!
イムリの音楽堂エオリアンで、リュートの演奏により才能パイプを手に入れたクォートは、評判の旅館、馬四亭での豪華な暮らしを手に入れた。一旬間に三晩演奏するだけで、部屋と食事を無料で提供してもらえるのだ。イムリへと向かう荷馬車で乗り合わせた美しい少女デナとも再会し、秘術校の学業も順調だ。キルヴィン師匠の鯨場にて、三カ月で見習いから工芸術士となったのだ。だが、すべてが好転したかと思えたとき…!?
両親をはじめとする旅一座全員をチャンドリアンに惨殺されながらも、ただひとり生き残り、港町タルビアンへと流れ着いたクォート。だが、そこでの生活は悲惨をきわめた。父の遺品のリュートは無残にも壊され、絶えまない暴力に身をさらされながら、ごみ箱をあさって食べ物を探す毎日。そんなある日、酒場で語り部の老人スカルピに出会ったことがきっかけで、秘術士ベンの言葉を思い出し、大学に行くことを決意するが…。
寂れた宿屋「道の石亭」の主人コートは炎のような赤い髪を持ち、「無血のクォート」「王殺しのクォート」など多くの異名で知られる伝説の秘術士の世を忍ぶ仮の姿だった。その正体を看破した紀伝家に促され、みずからにまつわる「本当の物語」を語りはじめる。それは美しく、残酷で、凄惨な子供時代の記憶からはじまって…発表されるやたちまち全米を熱狂の渦に巻きこみ、映画化も進行中の正統派本格ファンタジイ開幕!
一九四四年八月。舞台は第二次世界大戦終結直前の、ニューヨーク。「ビートを生み出した殺人事件」として知られるルシアン・カーとデヴィッド・カラマーの事件を軸に、「作家以前」のケルアックとバロウズが、ふたりで章ごとに書きつないだ幻の共作。
バロウズの遺作長編。本書は、断片的に書かれてきたものを、とりまきたちが集めて編集したものである。これまで、ノスタルジックな形以外ではあまり触れられなかった家族との関係(特に老いてからの父母や兄との関係)、先立たれた息子に対する感情が、かなりストレートに出ているし、昔の恋人たちに関する記述も無防備なまでにはっきりしている。その意味で、本書はバロウズの諸作の中でもっとも内省的かつ自伝的要素の強いものとなっている。