著者 : 山本瑠美子
彼は私の夢を現実にしたような人。 でも私は、彼には必要のない存在……。 赴任先のイタリアの病院で上司となる男性を見て、ケリーは絶句した。 ルカ・フェレーロ! 2年前、彼は恋人だった私のもとを突然去った。 ただ一言、別の女性と結婚することになった、とだけ告げて。 ケリーは深く傷つき、やっとその痛手から立ち直って、 今まさに、新しい人生の一歩を踏み出そうとしたところだった。 まさかこんな形で再会するなんて……。もう忘れたつもりでいたのに! いいえ、彼はただの上司。距離をおいて冷静にふるまわなくちゃ。 どう転んでも、ルカはもう、別の女性の夫になったのだから。 だが、ケリーはまだ知らなかったーールカが今は独身であることも、 彼の結婚には、彼女が想像もしなかった理由が隠されていたことも。 ルカがケリーを捨てたのには、やむをえない深い理由がありました。道ならぬ恋の末に妊娠し、病で残り少ない余命を賭して産もうとしている幼なじみとおなかの子のために、便宜結婚を選んだのでした。しかし、故人との約束により、彼は今なおすべてを話せず……。
シーリアの母は20年ものあいだ、さる大富豪の愛人だった。幼いころ、シーリアは優しい彼を本当の父にように慕っていたが、大人になった今、彼女にとってそれは恥ずべきことだった。だから、その人物が亡くなり、彼の息子リュークが訪ねてきたとき、まさか恋に落ちてしまうなんて、思いもしなかった。リュークは決して互いの親の不義の関係を蔑んだりせず、母に相応な遺産を渡そうとしてくれ、シーリアはひどく心打たれた。出会った理由がどうあれ、これは本物の愛。そう確信したとき、残酷な真実が明らかになるーリュークには、婚約者がいたのだ。私のことも、愛人候補として見ていたの?母と同じように…。
ベスは、男性と一夜限りの情事を楽しんだことなどなかった。 ただの一度も。ゲイブ・ファロンに出会ったあの夜までは。 ときに優しく、ときに激しく、彼は繰り返し愛してくれた。 ベスも、生まれて初めて、男性に対して奔放に応えた。 翌週、ベスは思いもよらない場所でゲイブと再会する。 なんと彼は、世界的に有名な脳神経外科医として、 ベスの働く病院に招かれていたのだ。ベスは心の底から動揺した。 あの夜のできごとは、忘れようと心に決めていたのに……! それは不可能だと、ベスはすぐに思い知ることになる。 彼女は、ゲイブの子を宿していたのだ。 医師と看護師として、ともに働くだけでも胸が激しく高鳴るのに、いまやその男性の子を宿しているーーこんなにドキドキするシチュエーションはありません。医療現場で働く男女をスリリングに描くA・アンドルーズのロマンスは、まるで海外ドラマのよう!