著者 : 山田太一
夢をあきらめるのは、よくないことですか? 古今東西から「夢のあきらめ方」にまつわる物語を集めたアンソロジー。 夢をあきらめた人へ、夢をあきらめようとしている人へ、そして夢をもつことさえできなかった人へ……。 「絶望書店」書店主からのご挨拶 書店にぶらりと立ち寄って、そこで思いがけない本と出会う。 それこそ、書店の楽しみではないでしょうか。 うちも、そういう書店でありたいと思っています。 ただ、小さな書店ですから、どんな本でも置いてあるわけではありません。 うちに並んでいるのは、「夢のあきらめ方」に関する本だけです。 「なぜそんな本を?」と思われるかもしれません。 でも、「夢をかなえる本」や「夢をあきらめない本」なら、他の書店さんにたくさんあります。 ですから、一軒くらい、こういう書店があってもいいのではないでしょうか? 夢がかなわなかったとき、夢をあきらめなければならないとき、この書店をぶらりと訪れてみてください。 本なんか読む気になれないかもしれません。でも、ひとつの物語との出会いが、もしかすると、あなたにとって、とても大切なものになるかもしれません。
昭和ホームドラマの金字塔、その原作小説 1977年夏にTBS系列で放送され、「辛口ホームドラマ」として放送史に燦然と輝く名作。その原作小説は1976〜77年にかけて東京新聞ほかで連載された。 高度成長期の大企業に勤めるモーレツサラリーマンの夫・田島謙作。傍目には恵まれた貞淑な妻・則子。才気煥発な女子大生の娘・律子と気弱な高校三年生の息子・繁。一見すると、郊外の戸建て住宅に暮らす幸福そうな一家が、ある1本の電話から破綻に向かって走り出す。主婦の浮気、レイプなど当時は斬新なテーマを意欲的に描いた、脚本家・山田太一の代表作。
27歳のヘルパーの草介と、彼に淡い恋心を抱く46歳の女性ケアマネの重光さん、そして彼女に不思議な欲望を覚える81歳の吉崎老人。それぞれの秘密が静かな日々の中でふと泡立ち、奇妙な恋が動き出す。彼らの心の痛みに寄り添ってくれる空也上人とは?
大腿骨を骨折して入院中の孤独な中年男・田浦は、二人だけの病室の衝立越しに出会った女性患者と不思議な一夜を過ごす。「私を犯して下さいますか」男と女の“声”だけの情交から、信じられない物語が始まる。再会した老女・睦子は「若返って」いたのだ。逢瀬を重ねるたびに、若い女性から少女へ、そして…。時間を逆行して生きる女性と中年男の、激しい愛と快楽の日々、やがて訪れるであろう別離の予感ー。男と女は残された短い日々を感動的な終末に向かって走りつづける。リアルな描写と驚くべきストーリーが奇跡のように溶けあう名作。