著者 : 岡本かの子
越年 岡本かの子恋愛小説集越年 岡本かの子恋愛小説集
年末のボーナスが出た日の帰り、加奈江は同僚の男性・堂島から突然平手打ちを食わされる。しかも、男はそのまま退職して行方知れずになってしまった。加奈江は悔しさのあまり、連日、堂島を探して師走の銀座を歩き回るのだった…(「越年」)。男女の複雑な心理を繊細に描いた表題作をはじめ、「金魚撩乱」「夏の夜の夢」「過去世」「老妓抄」「家霊」など、恋愛にまつわる傑作8篇を選りすぐって収録。
生々流転生々流転
素封家ながらも実は貧民窟に出自を持つ男と、その妾の間に生まれ落ちた美しい娘・蝶子。第一部では蝶子が女体育教師・安宅と園芸手・葛岡という男との三角関係に巻き込まれる展開を中心に、そこから逃れる目的で選んだ裕福な青年・池上との奇妙な同居生活が描かれる。第二部では乞食に落ちぶれた蝶子が市井の人々を観察しながら自らの半生を振り返る流浪の月日を描く。芸術家・岡本太郎の母親であり、歌人としても名高い岡本かの子の耽美妖艶な大巨編。
食魔 岡本かの子食文学傑作選食魔 岡本かの子食文学傑作選
毎晩どじょう汁をねだりに来る老彫金師とどじょう屋の先代の女将の秘められた情念を描いた「家霊」。北大路魯山人をモデルにしたといわれる、食という魔物に憑かれた男の鬼気迫る物語「食魔」ほか、昭和の初めに一家で渡欧した折の体験談、食の精髄を追求してやまないフランス人の執念に驚嘆した食随筆など、かの子の仏教思想に裏打ちされた「命の意味」を問う、食にまつわる小説、随筆を精選した究極の食文学。
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