著者 : 岡本さとる
正体不明の大悪党・千住の市蔵は、争闘の場で見たお夏への復讐心を滾らせていた。お夏とて母を殺めた市蔵との決戦は望むところだが、表の顔はあくまでも居酒屋の毒舌女将。同心の濱名茂十郎は、お夏抜きで市蔵捕縛に向かう。正義と悪が激突する白山権現。そこで運命の悪戯ともいうべき事態が判明!お夏の運命は?人気シリーズ、堂々の決着。
武田軍に攻め込まれ落城寸前の長篠城を救うため、鳥居強右衛門は城を抜け出した。その強石衛門の口から語られたのは、京の町で出会ったある女の話で…。(「長篠の蒼空」)宣教師ヴァリニャーニから織田信長に献上された弥助。信長に気に入られた弥助は、武士として信長に仕えることになるが…。(表題作)その他、感動必至の二編を収録。歴史に埋もれた愛を描く、傑作短編集。
「宮本武蔵?-知りません」。新たに仲間に加わったお光のひょんな言葉から、公儀武芸帖編纂所頭取の新宮鷹之介たちは二刀流を調べることに。かつて二刀流を極めんとして道場を開いていた大八に、一同は伝手を求めるが、実はそこに大八の悲しい過去が隠されていた。明るい男の陰に、一体何があったのか?爽やかな鷹之介が滅びゆく武術を追う大人気シリーズ第五弾!
秋月栄三郎は気楽流岸裏道場の稽古に釘付けとなっている若者が気になっていた。取次屋の好奇心から調べてみて仰天した。彼の父は、松田新兵衛が好敵手と認めた、神道無念流の達人だったのだ。その後、騙し討ちに遭い命を絶たれたという。息子は道場を継がず医学を志すが、父を冒涜する父の元弟子を成敗するため、なんと新兵衛に弟子入りを望み…。感涙の最終話。
名将・真田幸村の忘れ形見、吉利支丹武将、豊臣の血筋が共に立ち上がった。大坂の陣で幸村と共に戦い、落ち延びた明石掃部。熱烈な吉利支丹である掃部は、禁教令を敷き年々迫害を強めている徳川に対し、再び旗を揚げる機をうかがっていた。落ち延びた命ー戦国の荒野に忘れてきた夢を取り返すべく、男たちは再び戦いはじめる。歴史上の様々な伝説を贅沢に織り込んだ、一気読み必至の戦国エンターテインメント!
公儀武芸帖編纂所頭取の新宮鷹之介は支配役の若年寄・京極周防守に呼び出される。提案されたのは、なんと水術。数多の武芸に通暁する鷹之介も、この水術だけは…。とはいえ、調べを進めた鷹之介だったが、その前に暗雲が立ち込める。そして、新たに下された命とはー。人気急上昇のシリーズ、爽やかさ抜群の第四弾。
人間よりも生類を憐れむ世にあって、藩主が江戸城内で刃傷沙汰を起こした赤穂・浅野家には改易の時が迫っていた。その裁きに注目した現将軍・徳川綱吉の次を狙う甲府宰相・綱豊は、懐刀の新井白石を、浅野家筆頭家老・大石内蔵助に接触させる。綱豊らは、士民を困窮から救う仁の心を持つ武士を求めていたのだ。内蔵助に会い、その人品に惹かれた白石は、紀伊国屋文左衛門らを巻き込み、浅野家再興に尽力する。だが、綱吉とその側近・柳沢吉保に阻まれ、大石たちの運命は討ち入りへと転がり始めるが…。時代劇を知り尽くした著者が、「忠臣蔵」に新たな息吹を与える瞠目の野心作!
公儀武芸修練所の師範を請われるまでになった剣客・峡竜蔵。引き受けるかどうか悩みながら過ごしていたある日、路地で揉めごとに遭遇し、渦中の人が竹馬の友・助七だと気づいて声をかけた。助七の娘が行方知れずで、不安からむきになり、若い連中に絡んでしまったという。道場の師範として立派に暮らす幼馴染みの助けを遠慮する助七だったが、正義漢の血が騒いだ竜蔵は居ても立ってもいられず…。亡き父の放浪癖と暴れ者気質を持ち合わせた竜蔵が、真の剣客として求める生きざまとはー。大人気シリーズ、爽快に完結!(特別対談収録)
いぶし銀の働きでお夏を支える料理人の清次が、哀しき母子との交流を人知れず深めていた。女の亭主は理由あって旅に出ているのだという。やがて旅帰りした亭主と対面した清次は、その男に好感を抱く。だが彼の眼差しには、修羅場を潜った者特有の鋭さが含まれていた。男の過去に一体何が?脛に傷持つ者は幸せになれないのか?感涙の第九弾。
「薙刀を見事に遣える女子を捜すのじゃ」-。将軍徳川家斉から公儀武芸帖編纂所頭取・新宮鷹之介に命が下る。しかし、男の武芸者には通じていても、女子で薙刀の名手には心当たりのない鷹之介。編纂方の武芸者二人の助で調べ始め、苦難の末に薙刀を遣う女武芸者に辿り着いたところ、鷹之介が事件に巻き込まれる。笑いあり涙あり、爽快な待望の人気シリーズ第三弾。
運命的な恋に落ちた千七とおゆきは、御家人崩れの悪漢を心ならずも殺してしまい、裏社会の大立者・鬼政一家に追われる身となった。二人は明日をも知れぬ逃避行を続けるうちに、おゆきが知らぬ間に持たされていた書付が大金の在処を示すものだと気付く。やがて二人を追う鬼政達や、金の横取りを企む与力らも、その場所を探り当て、これに大金を隠した盗賊も絡み、瀬戸弁財天に悪党たちが集うが…。時代恋物語、大興奮の完結巻!
将軍家斉から武芸帖編纂所頭取を命じられた新宮鷹之介。そこへ幼なじみの大沢要之助が訪ねてくる。火付盗賊改を務める要之助の上司が、不審な死を遂げたのだという。さっそく編纂所の仲間と調べ始めた鷹之介の前に明らかになった真相とはー。武芸帖編纂所の変わった“同僚たち”と繰り広げられる笑いあり涙あり、爽快感抜群の作品。待望のシリーズ第二弾。
不幸な生い立ちから悪事に手を染めるも、親切な絵草紙屋の主人に拾われ店番として更生した千七。物語を楽しむささやかな生活を送っていたある時、茶立女のおゆきと運命的な恋に落ちた!だが直後、おゆきに懸想する御家人崩れの久蔵が、ある裏仕事で入った大金で彼女を落籍してしまった。救出に向かった千七は、諍いの末に久蔵を殺してしまう…。追われる身となった二人の逃避行の行方は?著者新境地の時代恋物語、開幕!
小姓組番衆を務める若き旗本、新宮鷹之介に、将軍家斉から「滅びゆく武芸流派を調べよ」と、武芸帖編纂所の頭取につくよう命が下る。鷹之介には助っ人がつけられたが、飲んだくれの柳生新陰流の遣い手に、不器用すぎる円明流の達人と、癖のある剣客ばかり。武芸帖編纂手始めの流派は幻の手裏剣術。その遣い手に辿り着けるのか。笑いあり涙ありの傑作シリーズ開幕!
お夏が再会したその男は、親に捨てられ泥棒稼業に身をやつした過去の持ち主だった。一時期はまっとうな道を歩もうとした彼だが、世間の風は容赦ない。「生まれてこなければよかった」。捨て鉢な気持ちで喧嘩を起こした彼を救ったある浪人。その恩人が窮地に陥った時、男は一度だけ泥棒に戻る決意を固めるのだが…。心に優しい風が吹く第七弾。
生まれ故郷の大坂からの帰途、秋月栄三郎は平塚に“喧嘩屋”の異名を持つ力士くずれの用心棒を訪ねた。五年前、栄三も無為な生活をおくっていた頃の親友で、怖いもの知らずの好漢だった。ともに足を洗っての再会を誓っていたのだ。旧交を温めるのも束の間、終始、笑顔を絶やさない喧嘩屋の変貌ぶりに驚いた栄三は…男伊達が胸を打ち涙を誘う、痛快長編時代小説!
母の仇を討ったことにより、闇の勢力との激闘に巻きこまれたお夏。だが彼女は、居酒屋の女将としての穏やかな日常を守ろうとしていた。そんなある日、お夏は婀娜な女に呼び止められ、殺しを依頼される。馬鹿な願いと一蹴したお夏だが、その女が続けて口にした名前に胸騒ぎを覚え…。願えば願うほど安息の日々は遠ざかるのか?波乱の第五弾。
黒田官兵衛麾下の勇将堀平右衛門の晩年。出奔した平右衛門を待つ妻の胸中は?息子同然の手代を自殺に追い込んだ矢場の女に入れ揚げた、大店の主の欲望と顛末。不仲の妻と離縁も考えた商人は、妻が病に倒れて初めて夫婦の関係を見つめ直し…。人の心に降る雨はいずれ止み、希望に満ちた空を見せる。すれ違う江戸の男女を丁寧に描く三人の、時代競作第三弾。