著者 : 岡聖子
最愛の夫だったーー 陰で裏切られていたと知るまでは。 3年前、ジョアンナの幸せだったはずの結婚生活は、 夫の浮気相手が現れ、妊娠したと告げたことで破綻した。 心の片隅に居座る彼の影が消えなくて、それからずっと胸が苦しかった。 そして今、彼女は元夫のロリーが社長を務める会社を訪れた。 もし彼と再会しても冷静でいられたら、私はつらい過去を乗り越え、 新しい未来に向かって歩きだせると思えるはずだから。 けれど、事業に成功して確かな自信をまとったロリーを見たとたん、 ジョアンナの胸は情けないほど高鳴り、頬も赤く染まった。 だが、ロリーはかつての別れ際を思い起こし、蔑むように言い放った! 「あのとき、あれほど誇り高く拒んだ金を、今さら欲しくなったのか?」 お金のために結婚したのでも、離婚したのでもないと答えたジョアンナが、別の人と再婚すると知らせたとたん、ロリーの顔色が一変。「ぼくをもう愛していないかどうか知りたいなら、はっきりさせてあげるよ」そう言って、彼は巧みに元妻の唇と理性を奪って……。
キャサリンは1年前、父を破産から救うために形だけの結婚に応じた。 相手は有能な実業家ジョーダン。別居同然の夫は世界中を飛び回り、 彼女はともにパーティに出席するときだけ妻としてふるまっていた。 だが今度は兄が借金を作り、またもジョーダンが救いの手をさしのべる。 ただし、彼が出した条件に、キャサリンは茫然とした。 実際に夫婦として暮らし、子供を作らなければならない、と。 彼女の脳裏に、結婚式の夜ーー忘れられない夜のことが浮かんだ。 ジョーダンに抱きすくめられたあのとき、彼が手を離さなければ、 身を任せていたかもしれない。キャサリンは奔放な母の血を怖れていた。 いま夫の提案を受け入れた場合、私はどうなってしまうの……? 〈妻として、夫として〉と題して、夫婦の愛がテーマのロマンスをお届けします。結婚していながら別居するふたりが、冷えた関係を乗り越えて名実ともに夫婦となる物語です。HQイマージュで人気を博し、感動作を多く残したジェニファー・テイラーの珠玉の名作!
終わりなき記憶の闇のなか、 愛だけが光をくれたのに……。 病室で目覚めたとき、クレアはいっさいの記憶を失っていた。 手首の名札で自分の名前だけはわかったものの、 夫と名乗る実業家マットの顔を見ても、何も思い出せない。 強盗に襲われて頭にけがをしたのが原因のようだが、 マットの広大な屋敷に移って看護を受けるうち、順調に快復していった。 魅力的な夫に、快適な生活。けれど、なぜか不安がぬぐえないーー 彼の発言や態度につじつまが合わないところがあるのだ。 それでもクレアはやがて、自分がマットを愛していることに気づく。 正直に愛を告げた彼女に、マットは重い口調で残酷な事実を告げた。 「結婚生活はとっくに破綻して、僕たちは別居していたんだ」 じつは家族を知らずに施設で育ったクレアですが、その記憶さえも失った今、すべてを知るのは夫であるマットだけで……。作者自身、ヒロインと似た境遇の少女時代を過ごしてきただけあって、その分物語に深みが与えられています。切ないすれ違いに涙する大傑作!
結婚式の夜、二十歳の花嫁ルーシーは年上の夫に宣言した。 “結婚しても絶対にベッドは共にしない”と。 愛し合っての結果ではなかった。選択の余地などなかった。 父親の死後、莫大な借金があるとわかり、投資の条件として、 幼なじみの大富豪ジャスティンに結婚を申し込まれたのだ。 それにルーシーは傷ついてもいるのだ。そのむかし、 ジャスティンには、叶わなかった恋人がいたと知った日から。 ほかに好きな人がいるのに、どうして幾度も愛をささやくの? 誰よりも甘やかしてくれるジャスティン。心から慕っていたのに。
何度も求人広告に応募しているが、地味で冴えないソフィは、 いまだ一度も面接までこぎつけたことがない。 最後の頼みの綱だった秘書の仕事も、案の定だめだった。 落ち込んだソフィは、思い切って美容院のモデルをすることに。 結果、だれもが振り返る奇抜な赤髪にされてしまい……。 そんなときに、折あしく面接通知が舞い込んできたのだ。 面談に挑んだ彼女を待っていたのは、敏腕弁護士のジェイソン。 冗談も通じないほど堅物の男は、髪に目をあてたまま言い放った。 「きみを雇うかどうかは、ダーツで占って決めさせてもらう」