著者 : 岩元巌
刑務所の農場労働を逃れるため精神異常を装い、委託患者として精神病院にやってきた赤毛の男マックマーフィ。そこではラチェッド婦長が厳格な規則と薬物投与で患者たちの人間性を奪い、病棟を管理支配していた。マックマーフィは笑いと不屈の反抗心を武器に婦長に戦いを挑み、その姿に無気力状態にあった患者たちも自由の喜びと勇気を取り戻していくが…。体制への反逆と精神の自由を求める戦いを描いて鮮烈な感動を呼ぶ、20世紀アメリカ文学を代表する名作。
自分を書くことはアメリカを書くことだー本書は、アップダイク自身が新潮文庫のために14の短編を選んだ短編集。ボストンの小さな町にあるスーパーマーケットでの夏の日の出来事「A&P」、ハーヴァード大学の寮生活「キリスト教徒のルームメイトたち」、本邦初訳のベック氏の女性遍歴「オーストラリアとカナダ」、離婚歴の父娘の西部への旅「ネヴァダ」などを収録。自作解説付き。
見知らぬ男が私に「あなたに会ったことがある。デイジー・サマーズのお友達でしょう」としつこく言い寄って来た。その男との情事のあとで逃げるようにスイスからイタリアに静養の旅を続ける私は、南アフリカの女学校の寄宿生活と数学教師ミス・Bや妖艶な母を思いだしていた。そして私を慕う女性徒デイジーを。虚無的な女の性と愛憎と過去の秘密を描いたO・ヘンリー賞受賞作。
コヨーテに襲われた少年を助ける犬、戦闘中にやむなく殺された犬、家族に内緒で捨てられてしまった犬…。現代の英米文学を代表する作家たちによる、犬が登場する物語だけを集めた傑作選。ここに登場する犬は、チワワ、グレーハウンド、プードル、チャウチャウ、ゴールデン・レトリーヴァー、ブルテリア、グレートデーンetc.。犬に対する愛着と人間への愛情に満ち満ちたアンソロジー。
再婚した私に、ゴールデン・レトリーヴァーを連れて会いにきてくれた娘。自分の前世がコリー犬だったと信じている男。プードルのビンキーと暮らす101歳のグレタetc.。ジョーン・アップダイク、レイモンド・カーヴァー、アン・ビーティ、T・コラゲッサン・ボイル、マディソン・スマート・ベル、ドナルド・バーセルミなど、同時代の短編小説の名手たちによる、犬と人との物語。
離れては寄りそい、寄りそってはまた離れる男女の心の絆ー時には喧嘩し、時には和解し、結婚という長い道程を二人は歩んでいく。遥かな、遠い道程ー。メイプル夫妻という一組の夫婦を主人公に、新婚時代から始まって、20数年後に破局が訪れるまでの二人の心の揺れを繊細に描いた17編の短編集。著者アップダイク自身の結婚生活をもっとも忠実に反映した自伝的作品である。
僕たち結婚しよう。二人で新しい生活を始めるんだ…。お互いに家庭のあるジェリーとサリーは、人目をしのんで愛しあい、ついにそう決意する。それぞれの妻や夫との確執や対立を乗り越えて、彼らは晴れて夫婦になれることになるのだが…。アメリカ東海岸のロング・アイランド海峡に面した美しい町を舞台に、二組の若い夫婦がくりひろげる長い夏の日のラブ・ストーリー。