著者 : 岸上つね子
シャーロットはロンドンの大企業で働く社長秘書。だれからも親しまれ、だれからも愛されて、だれの目にも幸せな二十歳だった。けれど、彼女の真実の心を知る者はいなかった。カリブ海へと休暇旅行に旅だつ前の日、シャーロットは親友に心の秘密をうちあけた。そこには初恋の男性がーシャーロットを子ども扱いして、相手にしてくれなかった年上の富豪、リーアムがいるのだと。4年が経った今、彼との再会のときを前に、シャーロットは胸を締めつけられていた…。
ブルックはコンピューター会社の受付嬢。きわめて平凡な毎日だが、黒髪のハンサムな社長、ジャロッドのそばにいられるだけで幸せだったー美しい人妻と愛人関係にあるという噂の彼に、どんなに恋い焦がれても、報われないとわかっていたけれど。ところが、挨拶を交わすだけだった二人の関係が、ある日の新聞記事で大発展する。なぜか、ジャロッドとブルックの婚約が発表されたのだ。すると体面を重んじるジャロッドはブルックに迫った。当分の間、本当に婚約したように見せかけるしかない、と。
19歳のシャナンは、姉の忘れ形見、姪のケリーとともに、豪奢な屋敷の片隅にある古い家を借りて、つましく暮らしていた。だが、主が亡くなり、若き後継者ニックが移り住んでくると、彼が保護者のように、ケリーとシャナンにつきまとい始めたのだ。ある夜、眠ってしまったケリーを寝室まで運んでくれたニックは、子供を寝台に下ろすと身を屈め、すばやくシャナンの唇を盗んだ。「さあ、これでぼくを嫌う理由ができたね」男らしい美貌に、皮肉めいた笑みを浮かべながら。真意が読めないシャナンは、あわてて彼から身を離したが…。
アーモレルー海の住人という意味の名を持つ彼女は、3歳で伯母に引き取られ、南太平洋の孤島で育った。あるとき伯母と乗ったボートで嵐に遭い、伯母は死亡。彼女は6週間も漂流したあげく、無人島の渚に打ち上げられた。アーモレルを救ったのは、近くをヨットで航海していた、イギリス人実業家のショルト・ランサムだった。彼はアーモレルを連れ帰って静養させた後も、学校に通わせ、彼女の“後見人”として、卒業後も何かと面倒を見てくれた。美しいアーモレルの周辺に、やがて若い男性が集まるようになる。だが彼女は、命の恩人であるショルトを愛し始めていた。