著者 : 岸上つね子
彼は私を覚えているだろうか? あの日より、大人になった私を。 シャーロットはロンドンの大企業で働く社長秘書。 だれからも親しまれ、だれからも愛されて、 だれの目にも幸せな二十歳だった。 けれど、彼女の真実の心を知る者はいなかった。 カリブ海へと休暇旅行に旅だつ前の日、 シャーロットは親友に心の秘密をうちあけた。 そこには初恋の男性がーーシャーロットを子ども扱いして、 相手にしてくれなかった年上の富豪、リーアムがいるのだと。 4年が経った今、彼との再会のときを前に、 シャーロットは胸を締めつけられていた……。 ロマンス界の大御所アン・ウィールが1970年に書いた作品。年を経ても色褪せぬ、都会的な作風と古典的なバージンヒロインのコントラストをご堪能ください。
ブルックはコンピューター会社の受付嬢。 きわめて平凡な毎日だが、黒髪のハンサムな社長、 ジャロッドのそばにいられるだけで幸せだったーー 美しい人妻と愛人関係にあるという噂の彼に、 どんなに恋い焦がれても、報われないとわかっていたけれど。 ところが、挨拶を交わすだけだった二人の関係が、 ある日の新聞記事で大発展する。 なぜか、ジャロッドとブルックの婚約が発表されたのだ。 すると体面を重んじるジャロッドはブルックに迫った。 当分の間、本当に婚約したように見せかけるしかない、と。 憧れのボスのフィアンセを演じるーー夢のような状況にとまどうヒロインに、彼はまるで本当の恋人のような言動をとって……。変幻自在の話巧者C・モーティマーが描く、オフィスのシンデレラ物語。
19歳のシャナンは、姉の忘れ形見、姪のケリーとともに、 豪奢な屋敷の片隅にある古い家を借りて、つましく暮らしていた。 だが、主が亡くなり、若き後継者ニックが移り住んでくると、 彼が保護者のように、ケリーとシャナンにつきまとい始めたのだ。 ある夜、眠ってしまったケリーを寝室まで運んでくれたニックは、 子供を寝台に下ろすと身を屈め、すばやくシャナンの唇を盗んだ。 「さあ、これでぼくを嫌う理由ができたね」 男らしい美貌に、皮肉めいた笑みを浮かべながら。 真意が読めないシャナンは、あわてて彼から身を離したが……。
アーモレルーー海の住人という意味の名を持つ彼女は、3歳で伯母に引き取られ、南太平洋の孤島で育った。あるとき伯母と乗ったボートで嵐に遭い、伯母は死亡。彼女は6週間も漂流したあげく、無人島の渚に打ち上げられた。アーモレルを救ったのは、近くをヨットで航海していた、イギリス人実業家のショルト・ランサムだった。彼はアーモレルを連れ帰って静養させた後も、学校に通わせ、彼女の“後見人”として、卒業後も何かと面倒を見てくれた。美しいアーモレルの周辺に、やがて若い男性が集まるようになる。だが彼女は、命の恩人であるショルトを