著者 : 島田一男
公安調査官・加下千里が、羽田空港入管ゲートで知りあった中国服の美女に誘われて入った中華料理店に、すでにこと切れた男が転がっていた。加下を嘲笑うかのように、口紅で書かれた「李大福死刑」の五文字が、男の胸で躍っていた。香港・東京を結ぶ麻薬密輸ルートを求め組織に潜りこんだ加下の前で、次々と消される男たち…非情の世界を軽快なタッチで描く好評シリーズ。長篇推理。
国際都市ヨコハマーそこには汚れたカネを求めてアウトローたちが集まる。その黒い港を背景に頻発する船舶密売事件。船・密輸品そして船員もろとも売り飛ばしてしまう国際シンジケートが深く静かに動き出した。公安調査官・加下千里は、組織に潜入すべく、うだつのあがらぬ失業中の二等航海士に変装する。帰らざる船の秘密を暴くため港を徘徊していると…。表題作ほか三篇の公安調査官シリーズ。
新聞社の熱海支局長をしていた北原は、“週刊熱海”を創刊した。名探偵ホームズのベーカー街イレギュラーズもどきに、客引き、観光写真屋、渡り芸者とネタ元も多彩。仲秋の名月の歌会の翌日、伊豆山子恋の森で、女性の全裸死体が発見された。顔には塩酸がかけられ身元確認は困難を窮めた…。好評湯の街ミステリー第2弾!
新宿ネオン街の近くで起った夜の女・やす子殺しに続いて、旅客機爆発墜落事件…その乗客の中にもコールガールの名が。捜査本部の必死の裏付け捜査は以外な人物の名を割り出して…興味の推理長編!
私は公安調査官、加下千里。言うまでもなく仮の名だ。加下は影である。麻薬組織の捜査を始めたところ、思わぬことからニセ札偽造団のシッポをつかんだ。この半年あまり、米ドルのニセ札が出回り、一味の正体がつかめずにいたのだ。私はなんとか偽造団に潜り込むことに成功した。そして組織の女たちを巧みに操りながら、次々に密輸ルートをあばいていく…。長篇サスペンス。
関東芸術スタジオのチーフ・プロデューサー車田は、ミュージカル「尼将軍政子の恋」を企画した車田は、北条政子の足跡を辿ろうと、役者、演出家、脚本家らを引き連れて総勢8名のロケ・ハンを組んで伊豆半島を回っていた。途中大沢温泉で、「静御前」役の瀬尾早美が突然消え、全裸死体で発見された。そして、第二、第三の殺人が…!