著者 : 布施由紀子
養父カエサルを継いで地中海世界を統一し、ローマ帝国初代皇帝となった男。世界史に名を刻む英傑ではなく、苦悩するひとりの人間としてのその生涯と、彼を取り巻いた人々の姿を稠密に描く歴史長篇。『ストーナー』で世界中に静かな熱狂を巻き起こした著者の遺作にして、全米図書賞受賞の最高傑作。
『ストーナー』で世界中に静かな熱狂を巻き起こした著者が描く、十九世紀アメリカ西部の大自然。バッファロー狩りに挑んだ四人の男は、峻厳な冬山に帰路を閉ざされる。彼らを待つのは生か、死か。人間への透徹した眼差しと精妙な描写が肺腑を衝く、巻措く能わざる傑作長篇小説。
七年の服役後、ピアスは最後のヤマを踏んだ。強盗嫁業の誇りを賭けて。襲撃には見事成功するが、最悪の訃報が待っていた。一人娘が、制服の女性を狙った連続快楽殺人の犠牲者になったのだ。ピアスは急いだ、フロリダへ。地元の娼婦を案内役に、灼けつく街をぎらつく執念で、彼は嗅ぎ回った。やがで、被害者の唯一の共通点から、犯人像が焦点を結んだ…。熱き魂が迸るアウトロー・サスペンス。
夫は仕事ひと筋のビジネスマンで、いつも出張しがち。息子は高校卒業という巣立ちのときを控え、さびしい日々を送る主婦キャサリン。ある日、退屈しのぎにパソコン通信の交流の場に参加するが、交際を求める異性からの電子メールが洪水のようになだれ込む。虚々実々のメールに戸惑う彼女。やがて一人の男性に魅了され、官能の世界に入り込むが…。
テキサス州の高地砂漠地帯にあるグアダルーペ山脈国立公園。初夏のある日、女性レンジャーのシェイラ・ドゥルアリーが、悲惨な遺体となって奥地で発見された。発見者はピューマの生態調査をしていた同僚のアンナ・ピジョン。遺体には、動物の爪跡と噛み跡が、現場周辺の地面には大型獣の足跡が残っていた。警察と公園管理局はピューマのしわざと断定し、狩猟チームを編成した。だが、アンナは不自然な足跡に疑問を抱き、犯人はピューマではないと主張する。手を下したのは人間だ。独自に捜査を進めるアンナは何者かに命を狙われた。なぜシェイラは死ななければならなかったのか。アンナは公園に隠された邪な真実にたどりつく。ピューマと自然と動物を愛する女性レンジャーが、雄大な国立公園を舞台に繰り広げる自然派ハードボイルド。