著者 : 平沼正樹
「週刊文倫」の新米記者・糸川瑠花(イルカ)は、敏腕ではあるが曲者の特派員記者・戌井のアシスタントとして、二ヶ月前に都内で起きた殺人事件を追っていた。何者かに女児が連れ去られ、遺体で発見されたという事件だった。「なぜ二ヶ月も前の事件を?」と訝しがるイルカだが、戌井はその理由を明らかにしない。-女児殺害事件から遡ること半年前、とある死刑囚の刑が執行された。するとそれが号砲であるかのように、各地で児童殺害事件が起き始めていたのだった。被害者遺族たちが口々に唱える「バチ」の意味とは…。
臨床心理士・悠木文月はクライエントであり、恋人でもあった掛井沙耶が自殺したという過去をもつ。沙耶の死後から10年。文月は沙耶の妹から、沙耶が残したという1通の封書を受け取った。時を同じくして、大学院時代の同級生で同業者の桐谷から、沙耶の叔父が死んだという連絡が入る。奇しくも叔父の死により、沙耶の死の真相が明らかにされるが、それは、悠木、桐谷にとってあまりに残酷で許しがたい事実だった…。「人を殺してはならない」という正義は、誰のものか…。圧倒的共感と切なさを生む、心理学×ミステリー登場。
大崎署の刑事・安西京香は警視庁への昇進が決まっていたが、薬科大生を中心とした服毒自殺事案が発端となり、1年間の休職を余儀なくされた。彼女が密かに行なっていた独自捜査に上層部が目をつけたのだった。京香の復帰は、女子高生の自殺現場への臨場となった。高校生の名前は新崎芽衣奈、現場は自宅寝室。壁には人気アイドルグループ「アリスエイジ」の中心人物・三笠ほのかのポスターが貼られていた。半年前に自殺したほのかを追って、世間では彼女のファンと思われる若者たちの自死が続いていた。解決済みであるはずのかつての事件が、再び京香の中で頭をもたげ始めた…。メビウスの輪の始まりはどこに?真実と心理に迫るアイドル×警察×ミステリー!
10年の浪人期間を経て薬科大に入学した数納薫と、12年もの浪人生活をまるで青春を謳歌するかのように過ごした芹澤ノエル。田舎の内科開業医の息子と大病院理事長の孫とではそのライフスタイルや考え方はまるで違っていたが、二人は互いに心許せる関係を築いていた。しかしそんな日々は、ある日突然、終わることに。芹澤が自殺したのだ。芹澤の死が受け入れられない薫は、ある時、彼が残した薬の存在を知った。それは、たった一錠で痛みも苦しみもなく確実に死ぬことができるという薬だった。時を同じくしてSNSでは不可解な死の連鎖の噂が広まり始め…。第6回「暮らしの小説大賞」受賞作。
仙堂、間山たちの調査が功を奏し、ようやく霧の正体が明らかになりはじめる。なんと長年東京を覆い続けるこの霧は、ある目的のための準備段階に過ぎなかったのだ!計画の中心人物であるゼロは、最終段階へ向けて都内地下に隠された巨大兵器を動かそうとしていた。そしてそれは、4年前の大惨事を再現することだったのだー仙堂と切り札であるミアは未来への道を拓けるのか!?話題騒然のオーディオシマネ小説化、完結!