著者 : 平谷美樹
徳川家康から南部藩が拝領し、盛岡城内で飼われていた虎二頭、乱菊丸と牡丹丸が檻から飛び出した。徒目付の米内平四郎は城下町に逃げた乱菊丸を見事に生け捕りするが、牡丹丸は傍若無人の若殿・南部利直に鉄砲で撃ち殺されてしまう。檻の見張りをしていた番人の自刃には不審な点が、さらに檻の中にいるはずの囚人の死体は消えていた!若殿の乱心か、領内のキリシタンの仕業か、それともー!?密命を受けた平四郎が藩を揺るがす大騒動の謎に挑む!
嘉永六年五月。圧政を強いる盛岡藩に抗して民百姓が立ち上がった。彼らを導いた首謀者の一人、三浦命助は、一揆に初めて参加したにもかかわらず数々の策を練って武士を翻弄。藩政への怒り、騒ぎに乗じた憂さ晴らし、取るものもとりあえずー膨れ上がる群衆をも巧みにまとめあげた。時を同じくして浦賀に異国船が渡来する。そのことが交渉の行方にも影響して…。果たして、一揆衆の要求は通るのか?時代の流れに翻弄される百姓たちのドラマを描く、熱き歴史長編!
主殺しの罪で蝋燭屋の手代が捕らえられた。現場の状況を不審に思った南町奉行所定廻同心の左馬之介は、冤罪に泣く人のため詮議に横槍を入れて真実を追う牢屋同心「よこやり清左衛門」と助役の政之輔に相談を持ち掛ける。まもなく、殺された勝右衛門はかつて山賊との諍いに巻き込まれていたこと、素性の怪しい飯炊き女が店から忽然と消えていることが判明。罪の償い、母子の想いー過去の因縁がもたらす悲しき運命の結末は!?
「次の百物語では必ず怪異が起こるー」時は文政。推当物が評判の女戯作者・鉢野金魚は、武家の女・只野真葛、貧乏戯作者・本能寺無念らとともに、怪異の謎を解き明かすべく、亡魂が現れるという百物語に参加するが…江戸の本屋を舞台に戯作者=作家が謎を解く!人情と謎、嘘と真実、諦め難い切なき恋情ー読み心地抜群の大人気時代小説シリーズ、待望の第五弾!
小伝馬町の牢屋同心、清左衛門は、冤罪と思われる者を見つけだして町方の詮議に疑義を唱え、独自探索を行うことから「よこやり清左衛門」と呼ばれていた。そんな清左衛門の助役となった政之輔は、初出仕日に火付けの罪で入牢している昌造と面会する。無実を訴える昌造を助けるため真相究明に乗り出す2人だったが、やがて事件は幕閣の政争にまでたどり着き…。罪なき者を救うべく奔走する男たちの姿を描いた、感動時代小説!
麻布谷町の山吹屋。そこは主の賢之丞の差配で、様々な求めに応じて人を斡旋する口入屋だ。武家や商家、普請場など斡旋先は多岐に亙るが、時に怪しげな依頼も混じってくる。花火師と猟師と鉄砲鍛冶を揃えてくれという浪人にきな臭さを感じた賢之丞は、読売屋や女郎、忍など多彩な仲間たちとともに、幕末の江戸を揺るがす陰謀に立ち向かう!痛快時代活劇。
多霧たち歩き筋踏鞴衆の橘一党は、踏鞴場を求めて出雲にいた。その山中で唐金(青銅)の鎧に身を包んだ猪の集団が、山廻りの侍たちを全滅させるのを目撃。猪を操っているのは何者なのか?戦いに巻き込まれた多霧たちは、夷月の強力な霊力を以てしても調伏できない恐るべき呪いと対峙することになる。やがて出雲神話に隠された真実が明らかになる時、恐怖の王が解放される…。
「見えないかい?月明かりの中の妖しく美しい狐の舞が…」時は文政。ある雨の日、江戸の本屋・草紙屋薬楽堂に持ち込まれたありふれた人情噺の裏には、禍々しくも哀れな狐憑きの噂がー。推当物を得意とする女戯作者・鉢野金魚と貧乏戯作者・本能寺無念、武家の女・只野真葛、高名な父を持つ女絵師・葛飾応為ことお栄は、切ない出口なしの物語を「一番の結び」に導く大芝居を計画するが…。江戸の本屋を舞台に戯作者=作家が謎を解く!謎と人情、嘘と本心、運命に抗う決意と逡巡ー戯作者=作家が謎を解く大人気時代小説シリーズ、待望の第四弾!書き下ろし時代小説。
砂鉄を探しに入った山中で、歩き踏鞴衆の娘・多霧は大量の惨殺死体に遭遇する。唯一の生き残りらしい瀕死の若者を発見、手当の後、目を離したすきに彼は消えた。「逃げろ、俺に関わるな」という一言を残して…。一方、多霧の属する橘衆は覆面武家集団の襲撃を受けていた。彼らの目的は「不死の者」を探すことだった。鉄の民の誇りをかけた死闘のゆくえは?そして謎の若者の正体とは?
戦に生きた男、焦がれる女ー。二人の小さな恋のつぼみ激動の時代に大輪の花は咲かせられるのかー。時代の転換点ともなる戊辰戦争の一連の戦いの中で明治2年3月25日に盛岡藩宮古村で新政府軍と旧幕府軍の戦闘が繰り広げられた。志ある若者と時代に翻弄される女の感涙必至の人間ドラマ。最後に待ち受ける二人の運命が、ただただ眩しく神々しい。
百年の平和と栄華を誇る奥州平泉にとって、落ちのびてきた源義経はまるで疫病神であった。新たに覇権を握った源頼朝が、追討令が出ている義経を口実に、奥州藤原氏を潰しにかかるは必定ー。対応を巡って意見が対立する中、突如として義経は死んだ。あたかも妻子を伴っての自害に見えるが…。平泉の天才文官・清原実俊が、従者の葛丸らとともに真相解明に乗り出す。運命に翻弄される者たちの熱誠が胸を打ち、恐るべき真実が結末に待ち受ける、歴史ミステリーの傑作がここに誕生!
江戸城御掃除之者の組頭・山野小左衛門は、またも上司から極秘任務を命じられた。紅葉山の御文庫からなくなった本を捜せというのだ。消えたのは蘭語の洋書1冊と漢書2冊。漢書の方はどうやら艶本らしい…。将軍の御蔵書が消えたとなれば一大事。疑わしき人物を御風干に乗じて誘い出そうとするが、同時に黒鍬者との掃除合戦も始まってー。個性豊かな7人の掃除侍に降りかかる無理難題。大江戸お掃除戦線、今回も異状アリ!
時は幕末、陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国・外館藩西根通大平村。大平村には、六十歳になると村での役割を全て解かれ、御山参りをする習わしがあった。それは食い扶持を減らすための姥捨ての旅とも囁かれていた…。そんな大平村は、どんな厳しい飢饉の年も、きちんと年貢米を納めている。代官所は、そこに目を付け、食い扶持を減らすだけでなく、もしや「隠田」を開墾しているのではないかと疑い始める。隠田を持つことは死罪にあたる。真実を悟られまいとする農民と、それを暴こうとする代官の知恵比べが始まる。痛快!幕末老人エンターテインメント。
六十歳になった太平村の人々は姥捨山の奥に老人達の桃源郷でんでら国を作っていた。大平村の真実を暴こうとする代官たちが、その存在に気づき始める。でんでら国に迫り来る代官たちを、あの手この手で翻弄し、行く手を阻む老人たち。老人たちは、でんでら国を守り通せるのか。それとも代官に知られてしまうのか…。老人たちと武士たちの手に汗握る攻防戦が始まる。農民たちの、知恵と経験と勇気が、あっと驚く結末をもたらす。現代の高齢化社会の問題を解くヒントがたくさんつまった物語。
江戸城の掃除を担当する御掃除之者の組頭・山野小左衛門は、上司から極秘の任務を命じられる。それは男子禁制の大奥の掃除。7代将軍徳川家継の生母である月光院付きの御年寄・音羽が何年も局に籠もり、部屋を芥溜めにしているらしい。精鋭の配下6人を集め、大奥へと乗り込むが、そこには大奥女中による防衛線が築かれていた…。掃除に命を懸ける7人の侍に降りかかる無理難題。大江戸お掃除戦線、異状アリ!
「萱草の花をあしらった簪」を借りにきた美しい女ー本店の主、清五郎となにやら関係を持つ女らしい。お庸が疼く気持ちを抑えながらも、機知を働かせ要望に応えようと奮闘する「萱草の簪」。手代の松之助に忍び寄る影、隠された過去がお庸を巻き込む「秋時雨の矢立」など。貸し物屋・湊屋出店を舞台に、口は悪いが情に厚い、店主お庸の活躍を描く五編。文庫書き下ろし。
採薬御用の旅から戻った佐平次は、蝉の声を聞きながら、駒場薬園にある自宅でくつろいでいた。そこへ、同心の省吾から相談事を持ち込まれる。吉原で死亡した男のいた部屋にあった薬包の中身を、調べて欲しいというのだ。出所を突き止めるため、薬屋などに聴取を重ねるうちに、日本には存在しない薬の成分が含まれていることが判る。吉宗の協力を仰いだ佐平次は、やがて大きな陰謀にたどり着くが…。人気シリーズ第3弾。
享保13年。吉宗の配下にいる採薬使の佐平次は、長崎から2頭の象を運ぶことを命じられた。その後、象を乗せる予定の船の船長が死亡し一旦白紙になった契約がなぜか復活したのだ。船長の代理の清国人と会見した佐平次は、裏に老中をはじめとした各藩の将軍失脚を狙う企みを嗅ぎ取る。だが「献上品」である以上、象は将軍のもとに届けなれければならない。江戸への途上、象と左平次に魔の手が迫る!好評シリーズ第2弾!
貸し物屋・湊屋を切り盛りする娘、お庸は、器量は良いのに口が悪いと評判。行李を借りにきた侍の態度を不審に思い、持ち前の好奇心とおせっかいで世話を焼く「行李」。知り合いの大工の息子が誘拐されたと聞き、知恵を働かせて解決に走る「拐かし」など、べらんめえでも心根が真っ直ぐなお庸の活躍が爽快!江戸を舞台に不思議だがホロリとくる四編収録。