著者 : 平谷美樹
時は幕末、陸奥国八戸藩と南部藩に挟まれた小さな国、外館藩西根通大平村が舞台。大平村には、60歳になると全ての役割を解かれ、御山参りをする習わしがあった。それは食い扶持を減らす為の姥捨ての旅とも囁かれていた。一方、代官所は、どんな飢饉の年でも、きちんと年貢米を納める大平村に不審を抱く。老人の口減らしだけで、重い年貢を納めることができるのか、もしや「隠田」を開墾しているのではないか…。隠田は死罪に当たる時代、真実を暴きたい代官所と村人との攻防戦が始まる。老人達の知恵と勇気が、役人達を翻弄、果たして大平村の運命やいかに…?痛快!幕末老人エンタテインメント。
大工の娘・庸は“棟梁のお嬢さん”だが自分を「おいら」と呼ぶほどの男勝り。不自由ない生活を送っていたが、ある夜、家に賊が押し入ったことで生活が一変する。庸はある決意をして、貸し物屋の若き店主の元を訪れる…。江戸のレンタル業・貸し物屋に持ち込まれる摩訶不思議な注文を解決する庸。江戸を駆ける痛快キャラクター誕生!文庫書き下ろし。
天正十八年、豊臣秀吉から減封処分を受けた伊達政宗を陥れようと、徳川家康は配下の伊賀忍者を奥州へと差し向けた。家康の動きを察知した政宗は、精鋭忍者部隊・黒脛巾組に企ての阻止を命じる。伊達藩の伝説の忍者集団“黒脛巾組”対徳川家康“伊賀忍軍”の東北忍者戦争、ここに開幕!
徳川家康の仕掛けた罠に嵌り、伊達政宗は豊臣秀吉から、上洛して偽造密書の釈明をするよう命じられた。黒脛巾組の活躍もあって、何とかこの危地を脱した政宗だったが、秀吉から改めて葛西大崎一揆の鎮圧を命じられる。家康は政宗を葬るべく、伊賀忍軍を使って更なる罠を仕掛けるが…。第一次東北忍者戦争、ここに決着!
津軽でイタコの修業を積み、江戸へやってきた百夜。修法師として、怨念を抱え蠢く物の怪や付喪神たちを次々と鮮やかに調伏する怪奇譚。夜な夜な、なをの枕元に現れる火消半纏を着た鯔背な男。この男に会えることを楽しみにしていたなをだったが、男の正体は…(『鯉と富士』)。一月の寒さ厳しい夜、江戸は京橋を歩いていた弥五郎が、突然左足を何かに取られる。そこには真っ黒い壷が。よく見ると、辺り一面に何百個という壷が転がっている。その不気味な光景に隠された悲しい歴史とは…(『壺幽霊』)。亡鬼たちの怪異物語全七篇。大人気百夜シリーズ第三弾。
遠く津軽からやってきた盲目の美少女修法師・百夜が、江戸の町で物の怪たちを次々と調伏する怪奇譚。腕のいい修法師と大評判になった百夜のもとには、ひっきりなしに物の怪退治の依頼が舞い込むようになる。糸問屋に、突然現れた伐折羅大将。その男の正体は…(『神将の怒り』)。大工の庄七の店に大きなオニヤンマが現れる。父と嫁ぐ娘の涙と感動の物語。(『勝虫』)。東北から江戸の酒蔵に出てきた杜氏の死。孤独な日々と、家族への思いが、悲しくも切なく染みる。(『慚愧の赤鬼』)。笑って泣ける物語が八篇収録。大人気『修法師百夜まじない帖』シリーズ待望の第二弾。
時は幕末、夜深まった横浜外国人居留地の一角・小倫敦。空き家から女の叫び声が響き、幽霊出没の噂が瞬く間に広まる。悲鳴のカラクリを鮮やかに解明する外国奉行所の若き同心・凌之介。しかし居留地の紛争の火種はくすぶり、日本人がピストルで殺害される。ミステリ仕掛け満載のエンタメ時代小説。
電子書店で圧倒的人気を誇る「百夜・百鬼夜行帖」が遂に文庫化。津軽からやってきた盲目の美少女修法師が、江戸の町で物の怪たちを次々と調伏してゆく怪奇譚。冬だというのに現れる蝶の正体は?なんと百年前の恋文が化けて出た物で…(『冬の蝶』)。指物師の家に出てくる「深紅の大目玉」。物の怪の正体を知り、忘れかけていた親の愛情を思い出す(『魔物の目玉』)。博打に負けた左吉を助ける為、一肌脱いだ百夜。由井正雪の宝探しを始めた二人に意外な結末が…(『化人の剣客』)。笑って泣ける短編が全部で九篇。読み出したら止まらない修法師百夜シリーズ第一弾。
吉原で、御大尽の肥前屋が亡くなった。持病などはなかったが、なぜか遺体の側には、宝相華の模様がはいった薬包が落ちていた。同心の省吾は、薬屋を調べ始めるが、薬包の中身の正体は分からない。そこで、植物に詳しい採薬使・佐平次の所へ相談を持ち込む。佐平次は、その頃花街で流行っていた、惚れ薬や性欲剤などではないかと推測して、花街にある薬屋などに、話を聞きに行くことに。そして、吉宗へ報告しに行った佐平次は、花街での四十〜五十代男性の“病死”が多発していることを知る。薬包の中身を調べていくうちに、「抜荷」の存在に気付いた佐平次が追うと、それは長崎奉行と繋がっていきー!?植物学のスペシャリスト、正体不明の『薬』に挑む!!新解釈時代ミステリ!!シリーズ最新作!
「黄金郷ヒライズミ」の地図を入手したシュリーマンは、一攫千金と名声獲得の野望を抱き来日。髭を伸ばして蝦夷に変装し、偽者を横浜に置いて平泉に上る。それを阻む修験者と謎の黒装束集団の争いが勃発。険しい山中をさらに分け入るシュリーマンは、秘宝を目前にしてついに短筒を構えた。
渓流釣りに来た片倉は一瞬の目眩ののち、一緒に来たはずの上嶋を見失い、手首の生えた岩を発見する。その手首には上嶋と同じ傷が。そこへ持ち物までそっくりの「もう一人の自分」が現れた!混乱し、現場から逃走する片倉。携帯電話も機能しない。おれはこの世界に適合していないのか!?片倉に生じたゆがみが次々と広がっていく…。気鋭が描く幻惑の意欲作。