著者 : 府川由美恵
一六一九年、アルサは魔女裁判にかけられていた。一九四二年、ヴァイオレットは望まぬ妊娠と婚約に人生を奪われていた。二〇一九年、ケイトは恋人のDVから逃れ、大伯母の遺した屋敷に隠れていたー。身体を、運命を、自由を、取り戻せ。「魔女」と呼ばれた一族の女たち。暴力と不条理からの解放を求めた彼女たちの戦いが、今始まるー。
1888年ロンドン。『緋色の研究』を発表したばかりの若き医師コナン・ドイルは、前首相から、巷を賑わす連続殺人事件を、シャーロック・ホームズの推理法を用いて解決に導いてほしいと依頼された。ドイルは、ホームズのモデルでもある恩師ベル博士と、現場の下町に詳しい男装の女流作家マーガレット・ハークネスの協力を得て、のちに切り裂きジャックと呼ばれる殺人鬼との知恵比べに挑む。貧しい労働者階級の街イーストエンドで三人が見いだす恐るべき真相とは?長年軍医を務めた著者のデビューを飾る痛快冒険推理。
テキサス州ダラス市警麻薬捜査課のタフな赤毛の刑事ベティ。彼女が追うメキシコ系麻薬カルテルの重要参考人が殺された。口封じなのか、カルテル同士の抗争なのか。捜査線上に浮かぶのは、元警察官のゴロツキやアジア系ギャング。さらには南軍に心酔する武装集団まで現れた。増える犠牲者、混乱する捜査…やがて彼女が直面する国境地帯の犯罪の真相とは?過去と現在の傷を乗り越えてゆくベティの闘いを描いた犯罪小説。
独立を目前にしたモロッコのタンジール。夫とともにアメリカから移住していたアリスの家に、突然大学時代のルームメイトのルーシーが現われる。ある「事故」以来、離れていた二人だったが、彼女はアリスの家に滞在し、友情を復活させようとする。だがアリスは疑念にとらわれてゆく。ルーシーの真の狙いは何なのか?…異国の地を舞台に二人の女性の心理が織りなす強烈なサスペンス。
二〇〇三年、かつてない経済成長に沸くロシア。故郷スウェーデンを離れてモスクワの投資銀行に勤めるトムは、大手石油企業の買収プロジェクトに携わるチャンスを得る。しかしトムが斡旋した富豪が何者かに殺され、さらには買収先企業と関係のあった弁護士が爆弾テロで命を落としてしまう。立て続けに起こる事件との関連を検察に疑われたトムは、しだいに厄介な立場へと追い込まれ…。巨大国家の裏面を暴くサスペンス!