著者 : 庭植奈穂子
ジュエルは楽園のようなリゾートのホテルで、幸運にもオーナーのアシスタントの職を得た。その夜、バーの前で見知らぬゴージャスな男性に誘惑され、心を奪われて、普段ならありえないことだが、彼と熱い夜を共にしてしまう。出勤初日、オーナーのギリシア富豪ピアズと顔を合わせた瞬間、ジュエルは凍りついた。なぜ彼がここにいるの?まさか一夜の夢の恋人が、ピアズ・アネタキスだったなんて。しかもなんの説明もなく、彼女は即刻解雇されてしまった。冷淡な仕打ちに傷つき、逃げるように去ったジュエルの身に、さらなる試練が振りかかるーピアズの子を妊娠していたのだ!
ルテニア国王ジェイクの秘書として働くアンディは、3年分の恋心を胸に隠し、辞表を提出したー今、辞めなきゃ。彼が結婚してしまう前に。華やかな美貌の令嬢たちの誰かを、彼は花嫁に選ぶ…。いったい、どうなってるんだ?ジェイクはいぶかった。秘書がいきなり辞表を出したと思ったら、転んで頭を打った衝撃でまさかぼくを恋人だと思い込むとは!優秀な秘書を失うのは国家にとっての損失。ならばこれを利用しようか。宮殿で開いた記者会見の席上で、ジェイクは高らかに宣言した。「ぼくが選んだ花嫁は…秘書のアンディだ」
クリュザンダーの子が、わたしのおなかの中にいる。その事実を知ったマーリーは、彼に打ち明けるべきか悩んだ。同棲しているものの、セクシーなギリシア大富豪の彼は、いまだにふたりの関係をはっきりさせようとしないのだ。マーリーはさっそく、仕事から戻ったクリュザンダーに問いかけた。「僕は“関係”なんて結ばない。わかってるだろう、きみは愛人だ」返ってきた辛辣すぎるその言葉にマーリーが失望する暇もなく、クリュザンダーは30分以内にこの家を出ていけと彼女に命じた。訳もわからず放り出された彼女は、ほどなく何者かに誘拐されてしまう。3カ月後、ようやく解放されたマーリーは、記憶を失っていた…。病院からマーリーを引き取るため、クリュザンダーは彼女の婚約者と名乗る。けれども、彼との“関係”を望んでいたはずのマーリーは皮肉にも、彼の顔を忘れているのだった。この人が私の恋人。赤ちゃんの父親。でも心が乱れるのはなぜ?そう不安になり…。
アシュリーは幼なじみとの結婚式を数時間後に控えていた。だが身支度を整えながらも、悲劇的な結末を迎えた10代の頃の初恋相手ー新郎の兄であるジェイクの姿を心から消せずにいた。そのときアシュリーのもとに、ずっと音信不通だったジェイクから、かつて彼女が愛の証として渡した、ハート形のロケットが届いて…(『借りもののハート』)。社交に明け暮れる母の企みで、ジェニーは有力な一族の子息と結婚させられようとしていた。だが式の直前、自分が本当に愛しているのは、幼い頃から見守ってくれた親族のブレーンだと気づく。でも、もう遅い…。引き渡し役のブレーンと腕を組んで教会に入った瞬間、ジェニーは絶望のあまり気を失い、愛しい彼の胸に倒れ込んだ(『たどりついた愛』)。ドレスショップで働くメアリーは眼鏡の内気な女の子。知的でハンサムな弁護士ジェームズに憧れているけれど、棚の陰からそっと見つめるだけで精いっぱい。すると、見かねた店主が彼女にドレスを贈り、ジェームズも出席する舞踏会へ行くよう説得した。メアリーは勇気を出して美しく盛装し、名前も変えて会場に向かった!(『シンデレラへの招待』)。夢の初恋短篇集!
病気になった母の代わりにずっと家事をしてきたエリーは、父の再婚後も、継母と義理の姉たちの分まで働かされてきた。今は父も亡くなり、その遺産を元手にケータリング業を始めた継母にこき使われながらも、いつかは自分のレストランを開く夢を抱いている。そんなある日、大富豪投資家の邸宅でパーティが開かれることになり、実の娘たちを裕福な男性と結婚させようともくろむ継母を尻目に、エリーはいつものように裏方として厨房で立ち働いていた。そこへ不意に、ダークスーツの長身の男性が現れ、エリーは息をのんだ。ジャック・マーティンー血も涙もない男が、ここの主人だったなんて。半月前、私の夢を、始める前に潰れると馬鹿にして投資を断った彼が!
ブライズは2年前に親友の婚約パーティで出会ったアダムが嫌いだ。男の色香漂うこの大富豪は、会うたびに違う美女を連れている。今日だって、ブライズが親友の娘のために練ったパーティの計画を、彼は傲慢にもことごとく自分色に染め変えてしまった。口惜しい思いでアダムを見つめるブライズの瞳が、涙で曇る。彼なんか大嫌い…いいえ、本当はすごく惹かれているけれど、女を支配しようとする彼のような男性には近づかないほうがいいのだ。けれども、パーティ終了後に二人きりになり、この2年で初めて誘惑のサインを見せたアダムに、彼女はたまらず純潔を捧げてしまうー2カ月後、予期せぬ結果が我が身に訪れるとは、つゆも思わずに。
楽園のような島でホテルオーナーのアシスタントの職を得たジュエルは、出勤日を控えたある夜、一人の男に声をかけられた。黒髪で端整な顔つきに堂々とした物腰ー甘く誘われ、柄にもなく素性のわからぬ相手と一夜を過ごしてしまったジュエル。互いに名前も告げずに別れたが、出勤初日、オーナーのオフィスで待っていたのはその彼、ギリシア人富豪ピアズだった。しかもジュエルに気づいた彼は、なんの説明もないまま彼女を即刻解雇する。そんな冷淡な仕打ちに追い打ちをかけるように、ピアズの子がお腹にいるとわかり…。
ある雨の朝、ブルックは勤務先の病院で思わぬ人物と再会した。6年前にパーティで出会い、お互い名前さえ知ることなく、熱い一夜をともにして別れた男性…。どうして彼がここに?上司によれば、彼はジェド・マシューズという優秀な医師で、この病院の診療部長に就任したばかりだという。とっさにブルックは初対面のふりをしたものの、鋭い目に威厳を浮かべたジェドの命令で彼のオフィスに呼び出された。おびえながらジェドの前に立ったとき、彼女は最悪の事態を覚悟した。きっと彼は、自分には5歳の息子がいることを調べ上げ、わたしの手から奪い去るつもりなんだわ!
彼の子供を妊娠しているーその事実を知ったマーリーは一人物思いにふけっていた。子供の父親であるクリュザンダーは世界を股にかけるギリシア人富豪で、二人はいま一つ屋根の下に暮らしている。妊娠したと打ち明けたら彼はどんな反応をするだろう?クリュザンダーが二人の関係をどう考えているのか確かめようと、マーリーは仕事から戻った彼にさっそく問いかけた。「ぼくらのあいだに関係などない。きみは“愛人”だ」返ってきた辛辣すぎるその言葉に、マーリーは凍りつく。だが運命は、さらなる悲劇を彼女に用意していた。
秘書のリタは、妹を故郷に呼び戻すため、偽りの結婚式を仕組んだ。憧れのボス、サキールには秘密で、彼が花婿ということにして。式にかかる費用も、招待客に嘘を謝罪するのも、愛する妹のためを思えばたいしたことではない。しかし、バージンロードへ向かったリタは、目の前の光景に頭が真っ白になった。砂漠の国の王のようなカフタンをまとったサキールが祭壇に立ち、余裕の表情で彼女を待っていたのだ。顔面蒼白のリタを見据え、彼は驚くべき言葉を口にした。「妻として我が祖国エマンドに来てもらおうービジネスのために」
シーラは大きなお腹を抱え、9カ月前の運命の夜に思いを馳せていた。とあるパーティで、高級なタキシードを着こなす男性と出会った。スレイドと名乗る彼は世界を股にかけて仕事をしており、ハンサムな容姿もさることながら、知性とユーモアで彼女を魅了した。たちまち惹かれ合い、月明かりの下で情熱的に結ばれたのもつかの間、夜明けとともに彼は旅立っていったー彼女の身に、小さな命を残して。でも、スレイドは永遠の関係や子どもを望むタイプじゃないわ。シーラは彼に妊娠を知らせず、独りで産み育てる決意をした。それなのに今、なんの前触れもなく突然、彼が帰ってくるなんて!動揺のあまり追い返すシーラだったが、そのときお腹に激痛が走り…。
ジュエルは楽園のような島のホテルで、臨時雇いの仕事を得た。その夜、彼女はバーの前でひとりの男性に声をかけられる。ハスキーな声、ゴージャスで尊大なたたずまい…。柄にもなく、ジュエルは名も知らぬ彼と熱い一夜を過ごす。出勤初日、ジュエルがホテルオーナーのオフィスへ出向くと、そこにいたのは、彼女を官能の極みへと押し上げた、あの男性!彼がギリシア人大富豪、ピアズ・アネタキスだったなんて。ジュエルは翌日、なんの説明もないまま解雇された。セクシーだが冷酷なピアズの子を身ごもっていると知ったのは、それから5カ月後のことだった。