著者 : 戸梶圭太
雲印乳業西日本支社のお客様相談センターに一本の電話がかかってきた。低脂肪牛乳を飲んで食中毒をおこしたという。やがてその数は一気に増え対応に追われるセンターだが、会社の上層部は真剣に取り合わない。開いた記者会見では社長と工場長が真っ向から対立し大混乱に陥る。こんな会社に未来はあるのか?そのとき、無責任な俗物経営陣を倒すため、立ち上がった社員がいた!痛快無比の企業エンターテインメント。
股間に激痛を感じた赤石宣夫は、病院へ向かった。警察に誤認逮捕され人間不信に陥った彼はその後何年も引きこもり生活だったが、背にタマは変えられない。ところが、病院への道中で殺人現場に遭遇してしまう!「警察なんか行きたくない!」と現場を後にするが、警察の捜査の手は赤石を徐々に追いつめてゆき…。運に恵まれない男が奈落の底へ落ちていく、究極の不幸スパイラル事件小説!
東京のエリートヤクザ桜井は、組の金一千万円とともに消えた部下を捜すため、北関東の田舎町を訪れた。彼を待っていたのは田舎ヤンキー、リストラ親父、引きこもり少年との死闘!物語の速すぎる展開、クールで乾きすぎたユーモアは、まさに現代版「仁義なき戦い」だ。トカジ史上燦然と輝くベスト1エンターテインメント。
5歳で引き金を引いて数十年。香港闇社会の工作員トニーは、組織を裏切った元相棒を始末すべくアメリカに渡るが、行方はまったく掴めない。13歳の時「少女に糞を食らわせつつ殺す異常者」と感覚がシンクロしたニーナは、以来、殺人鬼の脳に同調して犯人を特定しろとFBIに強要され続けた。その頃、全米で謎の大量失踪が同時多発的に発生。人々は意味不明の言葉を喚き、奇怪な行動を取って姿を消し…。
テレビ業界の花形・報道番組。だが、日があたるのはごく一部。孫請け制作会社という業界ピラミッドの底辺にしがみつく彼らは、今日も「ニュース」という名の、くだらない虚構を送り出す…。そしてある日、取材中に非常に危険で残酷な「ありえない真実」が爆発。暗い憎悪の奔流が、彼らを襲い始めた-。現代社会の縮図をリアルに描く、書き下ろし長篇小説。
あたしみたいにピーチセクシーな女っていないよね?滑らか素肌にギャラクシーXガールラメTシャツとタイトパンツ。トラブルシューター、ミミ、21歳。700もの種族-ダキツキ族、外側族、ドテチン族などなど-が入り乱れ、6つの社会階層を成す世界で、スラム育ちのあたしはしたたかに生きてる。違法コントチャンネルを潰す依頼をこなしたり、コンビニ老婆殺害事件に挑んだり。でも世界を揺るがす予測不能な大事件に巻き込まれてゆくなんて。
東西新聞芸能スポーツ部特別記者・金剛地厳太郎。テレビの二時間ドラマ試写評に全身全霊をかける狂気の男。わずか数百字の囲み記事で自らを文豪ならぬ評豪と称するトンデモナイ勘違い野郎。彼の行くところ必ず波瀾アリ。狂瀾怒涛のツーカイ人生。
炭鉱労働、安保闘争、『ノストラダムスの大予言』や『エクソシスト』の大流行、某ヨットスクール事件に、バブル崩壊と援助交際…。戦後日本を象徴するチープな事件をモデルに、運命に翻弄され、転落の一途をたどる主人公・沼田永吉の人生を描く。日本の昭和は、これでよかったのか?霞っ子クラブと著者との座談会を収録。
複合型超高級マンション・ソナーレを巡る構図。新入居者は貧乏地元住民など一顧だにしないスノッブなハイソ&セレブ。そのハイソを警護する貧乏アルバイト警備員。マンション専用バスの小心な運転手。破滅的家庭環境からギャング化する中学生。宅配ピザのアルバイトで糧を得るカメラマン志望の若者。誰にも邪魔されずひっそりと暮らすことだけが願いの近隣ホームレス。そのホームレスを喰いものにして保険料を掠めとる暴力団。スラム化する街をテーマにミュージッククリップを制作する教祖的ミュージシャンとデザイナー。彼らの私利私欲が恐るべき大暴動へと繋がってゆく…。
ルックスだけはいい奴らが集まる峯尾学園芸能科。一方のパンジン科(普通科)で女にもてずサイテーの日々を送る二人の男子が、街で誘われた怪しげなパーティー。寒風吹きすさぶ土曜の夜の六本木、17歳の高校生たちがそこに結集した時、運命が動いた…。
元ヤンキーの美穂と女遊びに余念がない知弘。二人の夫婦仲は冷え切り、息子も登校を嫌がっている。一方、殺人で服役した和也は出所して前科者の父の家に戻るが、なぜか保護観察官が付き添い、和也らと家族のように暮らす。そんなある日、美穂にマン拓FAXや電波系コミックが届いた。一体誰が、何のためにー。二組の“不道徳家族”の狂気と復讐を描く、超破格の犯罪小説。
特異な才能だけが突出した「天才」たちが社会生活に適応するため、船上セミナーに参加する。しかし、海上で彼らを待ち受けていたのは、トンデモナイ事態だった。ハリウッド顔負けのエンターテインメントを放ち続けるトカジの海洋エンターテンメント。
同僚をケチな窃盗犯に射殺され、追跡中に犯人を誤って殺してしまった井川刑事。窃盗犯の上着から、三千万円の情報価値を持つメモリーカードが出てきたとき、彼は警察官であることをやめた。死体を始末し、三千万円を頂く人生を選んだのだ。しかしメモリーカード情報の現金交換可能期限は当日午後七時まで。隅田川の花火大会がまさに始まろうという狂騒の東京向島で、警察とギャングを相手に灼熱狂気の数時間がスタートした。
マイラインの営業に力の入らぬ青柳敏郎は、町おこしのアイディア募集を見て「お化け屋敷のテーマパーク」を思いつき、応募すると見事採用に。だが、その町では反対運動が起きて、住民投票で決着をつける事態へ。敏郎たちが反対派の素性を探ると、謎の集団に行き当たった。あるカルト教団が町に道場建設を目論んでいたのだ。破天荒な犯罪をポップなノリで描く著者の衝撃的デビュー作。新潮ミステリー倶楽部賞受賞作を加筆・補強した決定版。
家族という名のこの連中から、一刻も早く自由になりたい。でも、でも、海はまだ遠い…。一見ごく平凡な、一組の若夫婦。通勤地獄での痴漢行為に日々の喜びを見出す知弘と、ジム通いとテレクラに精を出す美穂。ところが、美穂の昔の男友達の和也が出所したことで、彼らの日々はゆっくりと変質を始める…。戸梶ワールドが炸裂するクライム・ノヴェル。
謹慎中の二人の不良刑事が、罪のもみ消しと引き換えに、監察から公安刑事の内偵を命じられた。その刑事は、ある企業から脅迫事件の犯人割り出しを依頼されていたのだ。脅迫は、幹部社員に珍奇な格好で繁華街を歩かせろという、前代未聞の内容だった。いったい犯人の真意とは?意表を衝く人物設定とスピード感あふれるストーリー展開が評価された快作。宍戸錠氏の特別エッセイを収録。