著者 : 斉木香津
刑事の麦子は、幼少期の「相手の気持ちになって考えなさい」という母の教え通りに人の意識に入り込む能力を身につけていた。その力が原因の一つとなり、田舎の村でしばらく休養することに。村では、行方不明だったある一家の長男の骨が沼で見つかり騒ぎになっていた。自殺と考えられていたが何か不自然に感じる麦子。事件を調べるうちに複雑に絡み合う村の人々の思いに気づきー。予測不可能なラストが待ち受ける長編ミステリー。
同棲している彼女・桃里から、無差別殺傷事件を起こした犯人に似ていると言われた蒼太は、どこが似ているのか気になり、殺人犯との類似点を探っていく…。-蒼太と桃里が交互に語る二人の日常は、一見平穏。だが物語が進むにつれ、日常は不穏なものになり、蒼太の違う一面が見えてくる。果たして桃里は?巧みな心理描写に、一気読み必至の長編ミステリー。
その朝、双子の老姉妹が手に手をとり、崖から飛んだ。疎遠だった子らが葬儀に集い、やがて武家屋敷の床下に隠された四体の遺骨を見つけ出す。これは誰?いつからここに?金貸し一族の淫靡で切ない歴史と、“乙女”のゆがんだ欲望を描き出した、背徳のミステリー。
「あげなクソ婆、弔ってやらんでもいい、とか言うんで」東京の生活に行き詰まった私は、曽祖母の三十三回忌を口実に、大分の実家に帰郷した。曽祖母・匹田サダは、臼杵の裕福な家に生まれながら、昭和二年、数え歳二十のときに野津市村の農家に嫁いできたという。豊臣秀吉似のサル顔と歯に衣着せぬ物言いが災いして、実家を追い出されたらしい。しかし嫁いでからは次々と男の子ばかりを産み落とし、精米所を大繁盛させ女太閤様と呼ばれた。人に嫌われても決して家族を飢えさせず、懸命に働き続けた熱すぎる女の一生とはー。悩みも悲しみも癒えてゆく、人間賛歌!
同窓会の幹事、久保健一、40歳。谷口香織、藤井哲也、青木久美子ほか、出席の返事をくれたみんなに会えるのを楽しみにしていたのに、時間になっても誰も来ない。みんな、どうしたんだろう。そのころ“みんな”は、のっぴきならない事態に直面していた。ある者は逃げ、ある者は窮地に立たされ、決断を迫られていたのだった。人生の分かれ道にいるあなたの背中を力強く押してくれる、人生応援小説。
兄は穀物商の跡取り、美人の妹は老舗旅館に玉の輿!豊臣秀吉似のサル顔が災いして、片田舎の農家に嫁がされたサダ。口も悪くて金払いも最悪のこの女に、それでもなぜ人は吸い寄せられるのか?悩みも悲しみも笑い飛ばす、最強女の一代記!
蒼太は、川崎の倉庫で派遣アルバイトとして働いていた。本来ならグラフィックデザインの会社に就職するはずだったが、人員に空きが出るまで待たなければならなかった。桃里は、川崎の倉庫へ派遣アルバイトとして働きにきた。洋服屋のショップ店員だったが厳しい販売ノルマや人間関係がうまくいかず、どこのショップも長続きしなかった。蒼太と桃里は出会い、一緒に暮らし始めた。ある日、ニュースで流れた無差別殺傷事件の映像を見て、桃里はその犯人と蒼太が似ていると言う。思いがけない桃里の言葉に動揺する蒼太。自分と犯人の類似点を見出そうとする蒼太に、桃里は違和感を抱いていく…。
真砂代は一九歳になったが、見栄えのしない容姿であることは自分でも分かっていた。近所のおばさんの仲介で見合いをしたけれど、相手の男性はほとんど話もしないうちに席を立ってしまう。みんな自分のことを傷つけても踏んづけても構わないと思っているのだ。見合いをした男性には、ずっと思い続けている貴子という年上の女性がいるらしい。その貴子と偶然知り合った真砂代は、日中限定で家事を手伝うようになる。働いている様子もないのに豊かな暮らしを続け、絵ばかり描いている貴子とは何者なのか。時空を超え真砂代が辿り着いた真相に、あなたは必ず驚愕する!