著者 : 斎藤純
百万ドルの幻聴(メロディ)百万ドルの幻聴(メロディ)
そのフレーズを耳にした瞬間、誰もが息をのんだ。リオの片隅で歌う黒人少年=ルーシオ。奇跡の歌声を、ビデオが捉えていた。新人女性ディレクターは、歴戦の音の狩人たちと闘いつつ、少年のデビューに向けて動く。だが、ルーシオは忽然と足跡を絶った…。次第に明らかになる音楽業界の闇。すべての答えは、セナの待つF1グランプリに。ノンストップ・ミュージック・サスペンス。
海へ、そして土曜日海へ、そして土曜日
70年代に作られたという“幻の映画”が、蒸発した夫の部屋から出てきたので見てくれないかと、人妻から誘われたぼくは、一夜を共にしてしまった。それが彼女との最後になった。ぼくは幻のフィルムを作った男たちを、女子大生・初美と共にバイクを駆って探し回り、一人の美女を巡る深い疑惑の渕に飛び込んだ。
ダ-クネス、ダ-クネスダ-クネス、ダ-クネス
その人妻はバーボンに似ていた。甘さに気を許すと手ひどい目に合う。彼女は涙を見せたあとで死んだ。女子大生はバイクの風切り音を思わせる。興奮のるつぼの中で、勝手に歌を口ずさむ。彼女は一緒に探偵をしてくれた。男は60年代の映画だ。泣き虫のくせに他人を傷つける。そいつは殺人者という名前だった。-ウィットあふれる会話と繊細な構成、哀しいジャズの旋律に乗せて、新感覚ハードボイルドの世界が拓ける!
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