著者 : 新保博久
古くから娯楽の中心として発展してきた映画は推理小説と相性が抜群で、『第三の男』『オリエント急行殺人事件』『薔薇の名前』『犬神家の一族』『砂の器』など、ミステリー小説が原作の名画は枚挙にいとまがない。そんな映画の世界を題材に描かれた短編を集めたミステリー・アンソロジー。十二人の名手たちによる映像を超える傑作ドラマが開幕!
緻密な伏線と論理展開の妙、愛すべきキャラクターなどで読者を魅了する、ミステリ界の魔術師・泡坂妻夫。著者の生前、単行本に収録されなかった短編小説などを収めた作品集を、二分冊に文庫化してお届けする。『絡繰篇』には、大胆不敵な盗賊・隼小僧の正体を追う「大奥の七不思議」ほか、江戸の雲見番番頭・亜智一郎が活躍する時代ミステリシリーズなど、傑作17編を収めた。
ミステリ界の魔術師・泡坂妻夫。その最後の贈り物である作品集を、二分冊に文庫化してお届けする。『手妻篇』には、辛辣な料理評論家を巡る事件の謎を解く「カルダモンの匂い」ほか、ヨーガの達人にして謎の名探偵・ヨギガンジーが活躍するミステリシリーズや、酔象将棋の名人戦が行われた宿で殺人が起こる、新たに発見された書籍初収録短編「酔象秘曲」など名品13編を収録する。
大観衆に湧く競馬レースの最中、男が刺殺された。偶然居合わせた警視庁特犯課の新米刑事・小湊進介はベテラン刑事・海方惣稔とともに捜査を開始。鮮やかな手口からすぐに容疑者の名前が挙がるが、この殺人を皮切りに容疑者が次から次へと殺されていく殺人リレーがはじまり…果たして真犯人が仕組んだ謎を、二人は解けるのか?
日本探偵小説史上に燦然と輝く大作の「新青年」連載版を初めて単行本化!「新青年の顔」として知られた松野一夫による初出時の挿絵もすべて収録!2000項目に及ぶ語註により、衒学趣味に彩られた全貌を精緻に読み解く!世田谷文学館所蔵の虫太郎自身の手稿と雑誌掲載時の異同も綿密に調査!
「殺しは仕事にしたことがない。殺しをしなかったとはいわないが」。あらゆるトラブルを請け負う男、ジョーカー。着手金は百万円、唯一の連絡場所は六本木のバー。噂を聞いた男と女が今宵も厄介事を持ち込んでくる。ジョーカーを動かすのはプライドだけー。待望のハードボイルド新シリーズ第一弾の連作短編。
美希は過去の辛い思い出に縛られ、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で和紙を漉く日々を送ってきた。それが幸せなのだと自ら言い聞かせて…。時の流れから取り残された小さな山村で、美希の一族は人々から「狗神筋」と忌み嫌われながらも平穏な日々が坦々と続いてゆくはずだった。そんな時、一陣の風の様に現れた青年・晃。互いの心の中に同じ孤独を見出し、惹かれ合った二人が結ばれた時、「血」の悲劇が幕をあける。不気味な胎動を始める狗神。村人を襲う漆黒の闇と悪夢。土佐の犬神伝承をもとに、人の心の深淵に忍び込む恐怖を嫋やかな筆致で描き切った、傑作伝奇小説。
映画界の鬼才・大柳登志蔵が映画の撮影中に謎の失踪をとげた。すでにラッシュも完成し、予告篇も流れている。しかし、結末がどうなるのか監督自身しか知らないのだ。残されたスタッフは、撮影済みのシーンからスクリーン上の犯人を推理していく…。『探偵映画』というタイトルの映画をめぐる本格推理小説。