著者 : 日下三蔵
検察が押収したわいせつ図画販売罪の証拠品、その中のフィルムの映像に妻と似た女性の姿を見つけた検察官の笹田は独自調査に乗り出すが、たどり着いたのは思いもよらない残酷な真相だった(表題作)。普通の人々が歪んだ事件を引き起こす恐ろしさと悲しみを巧みに描き、読者の予想を裏切る驚愕の結末を鮮やかに提示する。昭和の名手の妙技を堪能できる、文庫オリジナルの短篇傑作選。
「ゴジラ」原作者としても有名な、異色の探偵作家・香山滋の代表的な傑作を厳選した作品集。後に「ゴジラ」に結実する空想科学ものの原点にしてデビュー作「オラン・ペンデクの復讐」、第一回探偵作家クラブ賞新人賞を受賞した極彩色の妖夢譚「海鰻荘奇談」他、幻想怪奇、秘境のロマン、エロティシズムに彩られた全十編。
現代日本SF誕生から60周年を記念して、第一世代作家6人の傑作選を日下三蔵の編集により刊行するシリーズ。第2弾は、日本SFの巨大なる父、小松左京。デビュー短篇にして直木賞候補作「地には平和を」、小松自身が最も好きな自作と語る中篇「神への長い道」、そして半世紀前にネットワーク社会の弱点を予見した長篇『継ぐのは誰か?』ほか、人類進化を生涯のテーマとした小松SF傑作中の傑作8篇を収録。
戦後最初の長編SF作家として知られた著者の、高名にして入手困難な短編集二冊を合冊し、単行本初収録の連作「浮間の桜」と短編「笑わぬ目」を加えた。巻末エッセイ=山田正紀/『縹渺譚』あとがき=今日泊亜蘭/解説=日下三蔵
2016年の日本SF短編の精華を収録。今年度版には秋永真琴、上田早夕里、円城塔、北野勇作、倉田タカシ、小林泰三、諏訪哲史、高山羽根子、谷甲州、飛浩隆、酉島伝法、藤井太洋、牧野修、眉村卓、宮内悠介、山本弘らの小説16編をはじめ、石黒正数、弐瓶勉、山田胡瓜のコミック3編を収録。巻末には第8回創元SF短編賞の受賞作と選評を掲載。編者二人による各作品解説や年間日本SF概況、短編推薦作リストなど解説記事も充実した、2016年の日本SFが一望できる年刊ベスト・アンソロジー。
鳥羽の山田奉行を務める大岡忠相は密貿易に頭を悩ませていた。伝説の海賊・先生金右衛門が多くの手下を従え、親船・巽丸を操り傍若無人に海を駆けていたのだ。忠相は信頼厚い部下を使い、密貿易の実態を探らせる。一方、金右衛門の手下である鯨太郎は、幼馴染みで庄屋の娘・八重と駆け落ちを約束していたが、忠相の罠により、逃亡を余儀なくされてしまった…。やがて徳川吉宗の将軍就任と共に江戸へ導かれた彼らの運命は?
昼とは別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。ある晩の殺人事件をきっかけに、数々の怪事件を解決すべく暗躍する“深夜の市長”の存在を知った僕。果たして彼の正体は?傑作都市ミステリ「深夜の市長」、人間の興奮を測定した“興奮曲線”をめぐる悲劇を描く「キド効果」など11編を収録。日本SFの先駆者の真髄を示す、唯一無二の奇想で彩られた珠玉のミステリ短編集を贈る。
木星に探査に向かったきり帰らぬ友人を追って火星から天空船で飛び立った青年は、彼の星で驚くべき事態に遭遇する(「空族館」)。第一短篇集『最終戦争』に、未発表作「空族館」と1960年代から70年代にかけて雑誌に掲載された単行本未収録短篇14作を増補。日本SFに多大な影響を与えた伝説的作家の想像力を堪能できる、文庫オリジナルのアンソロジー。
名探偵帆村荘六、再び帰還!科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描いた、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が生み出した名探偵が活躍する推理譚から、傑作集第二弾を精選して贈る。密室を自由に出入りし残虐な殺人を繰り返す、稀代の怪人との対決を描く代表作「蝿男」。在原業平の句にちなんだ奇妙な館に潜む恐るべき秘密を暴く「千早館の迷路」など、五編を収録。
現実の凍土に震える者よ。六花の結晶よりも儚げな、肉の器を持つ者よ。皆川博子の祝福を受け入れるがよい。彼女の吐息は、夢幻の精霊。夜の帷にも似た抱擁と、甘やかな痛みとともに、色の無い世界も染まりゆく。唇は情念よりも朱く、血は薔薇よりも青く、死は詩のように色づいて…。儚げな、肉の器を持つ朋よ。やがて知ることになるだろう。自分の内側に注ぎ込まれたものの真の意味を。著者初の時代小説「十五歳の掟」を含む表題作、江戸民衆の情念を炙り出した「朱紋様」の2冊に加えて、単行本初収録の連作短篇を併録。
奇才・筒井康隆の狂気とユーモアが凝縮! 文庫未収録の百科事典パロディが復活。 アからンまで独自の解釈で描いた筒井版悪魔の辞典「欠陥大百科」、こちらも文庫化されなかった幻の初期作品集「発作的作品群」、さらに単行本未収録のショートショートや「NULL」の復刻、加納一朗による日本SF界黎明期の貴重な証言も併録。 豪華コレクション、第3弾!
銭湯で起きた殺人の謎を解くデビュー作の本格ミステリ「電気風呂の怪死事件」。男が死んだはずの友人とすれ違ったことに端を発する、幻想的な冒険譚「火葬国風景」。国民を洗脳・支配する独裁国が辿った、皮肉な末路を描く歴史的名作「十八時の音楽浴」など11編に、エッセイを収録。日本SFの先駆者にして、唯一無二の科学的奇想に満ちた作品を描いた著者の真髄を示す、傑作短編集。
わらべ唄をモチーフに幻想的な8つの世界を描いた表題作、艶やかで妖しい10篇を収めた「妖笛」、単行本初収録の短篇「あやかし幻想奇譚」シリーズも収録。 そのほか、著者の貴重なエッセイも併録した充実のシリーズ8巻! PART1 妖笛 PART2 あの紫は わらべ唄幻想 PART3 あやかし幻想奇譚 黒縄 悪い絵 カンナあの紅 歪んだ扉 アリス PART4 エッセイコレクション 深夜の長電話 古城 飲まずに酔う 出無精の旅 嫌ひなものは嫌ひなり 最新設備 エジソンは唄う 藍の夏
科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描き、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が生み出した名探偵・帆村荘六が活躍する推理譚から、精選した傑作を贈る。異様な研究に没頭する夫の殺害を企てた、妻とその愛人に降りかかる悲劇を綴る怪作「俘囚」。密書の断片に記された暗号と、金満家の財産を巡って発生した殺人事件の謎を解く「獏鸚」など、10編を収録した決定版。
2014年の日本SF短編から、星野之宣、諸星大二郎、長谷敏司、三崎亜記、円城塔、堀晃、宮内悠介、酉島伝法、草上仁、オキシタケヒコ、矢部嵩、理山貞二、田丸雅智、高島雄哉、下永聖高、遠藤慎一、伴名練の傑作17編を収録。巻末には第6回創元SF短編賞受賞作と選評を掲載。編者による各作品解説や年間日本SF概況、短編推薦作リストなど解説記事も充実した、2014年の日本SFがすべてわかる年刊ベストアンソロジー。
ねえ、四号室の山本さんって、何者なの…アパート、演芸場、深夜の山奥、ドーナッツショップ、学校、警察病院、喫茶店、裏路地、K駅にある村…いつかあなたは「それ」に出会う。モダン・ホラーの鬼才が描く、9つの恐怖ー
最終核戦争が勃発…人類の狂乱を描いた傑作「霊長類 南へ」。世界からの脱走をもくろむ男の奮闘「脱走と追跡のサンバ」。単行本初収録のドタバタ劇「マッド社員」シリーズ。ほか小松左京による筒井康隆論や「NULL」の復刻も併録した充実のラインナップ!