著者 : 早乙女勝元
美しい橋美しい橋
戦争から七年。灰燼まだくすぶる東京下町で、 白鬚橋のボルトの穴をラブレターの隠し場所にした 純なふたりの物語。 映画、TVドラマにもなった著者二十歳の記念碑的純愛小説。 映画(水野久美)、TVドラマ(山口百恵)でも好評。 「あの橋の上で……」と、私は考えた。 失業中の青年は、ある日、健康そのものの娘と出会い、ふとしたきっかけから、ささいな会話が交わされたとしよう。 二人はたがいに好感を確認するのに、時間はかからなかった。彼女は彼の鉄工場とは隅田川をへだてた対岸の、石けん工場に働く娘で、そして、それから……と私の想像力は、一組の貧しい恋人たちの明日へとつながってゆく。 (「あとがき」より)
蛍の唄蛍の唄
戦後45年目の夏。高校2年生のゆかりの伯母は空襲で焦げた電柱の前で見失った我が子を待ち続けていた。夏休みの課題のため、ゆかりは伯母の戦争体験を聞こうとするが父の勇太から猛反対を受ける。昭和20年3月10日、あの炎の夜に何があったのか。伯母の交通事故をきっかけに父はようやく口を開くー。東京大空襲の語り部が戦禍の記憶を今に伝える長篇小説。
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