著者 : 早坂どあ
容疑者の心を読み、現場の空気から真犯人につながる臭いを感知するーそんな携帯を手に入れた捜査一課の刑事。辿り着いた先は事件の真相か、それとも…?(『携帯エアリー』)。人生に行き詰まり、あてもなく訪れた某県の山中。偶然出会った女性とともに古いつり橋を渡った元也だが、渡りきると彼女の姿はおろか、橋さえもが消えていたー!(『運命橋』)。ゲストの思い出の人を探す番組の司会者に抜擢された元アイドルの柴田。実は彼自身も、幼い頃に唯一愛情をくれたあしながおじさんを探していてー(『救世主の逃亡』)。ほんのわずかな選択の差で数奇な運命の扉が開く!奇と人情が織りなす異彩の短編小説3篇。
そこは、「常識」という名の数多のルールに縛られた世界。いつだって真面目に、謙虚に、礼儀正しく、愛と思いやりの心をもたなければならないーそんな面倒な「人間の世界」に誤って生まれてしまった、不運な受精卵。人として生きるものの、的外れで常識がなく、型にはまらない彼らは、「大人」になりきれず、そもそも「こども」の域にも達することができない、「受精卵」レベルの未熟な人間ー。そんな彼らの奇妙な巡り合わせを、アイロニックに鮮やかなタッチで描き出す痛快ドラマ。
「因果」は連鎖し、「狂気」は増殖する。日常に潜む非日常への扉を開く奇妙でシュールな短編小説3篇。-あの時のお金だ!実家の古いタンスの裏から手に入れた大金をきっかけに、小さな善意が思わぬ運命をもたらしていく。(『ホースディアーだけのチケット』)毎日どこかで、「だれか」が「だれか」に殺されるー。「悪意」がもたらす不幸の連鎖。(『間接殺人』)とある寂れた町のレストラン。だれもが絶賛する味の秘密が明かされるや、町中が戦慄するーあなたの周り、最近妙に穏やかではありませんか?(『ホシのレストラン』)