著者 : 木下古栗
あなたの心が滅んでしまわぬように。再生の予感に満ちた、失われゆくものの小説群。十人の人気作家による絶滅モチーフの新作短編集。
【概要】 どうぞどうぞ、短文の世界へ── 西崎憲がプロデュースする短文集シリーズ〈kaze no tanbun〉第二弾。現代最高の文章家16人が「移動図書館の子供たち」をテーマに、小説でもエッセイでも詩でもない「短文」を寄せました。作品同士が響き合う、まるで一篇の長編作品のようにも読める、絢爛の短文・書下ろしアンソロジー。(カバーイラスト:寺澤智恵子) 【著者】(五十音順) 我妻俊樹/円城塔/大前粟生/勝山海百合/木下古栗/古谷田奈月/斎藤真理子/西崎憲/乘金顕斗/伴名練/藤野可織/星野智幸/松永美穂/水原涼/宮内悠介/柳原孝敦 【kaze no tanbunとは】 「自分の生涯においてこれを作ったと自慢できる本を作りたい」。日本翻訳大賞の発起人であり、電子書籍レーベル「惑星と口笛ブックス」主催で、「BFC ブンゲイファイトクラブ」などを企画する西崎憲の発案からスタートした、全篇新作の「短文」アンソロジーシリーズ。「短文」とは「小説でもエッセイでも詩でもない、ただ短い文。しかし広い文」(西崎氏)。シリーズ通してブックデザインは奥定泰之。第一弾「特別ではない一日」は2019年に発売。第三弾は2021年初頭に刊行予定。 古谷田奈月「羽音」 宮内悠介「最後の役」 我妻俊樹「ダダダ」 斎藤真理子「あの本のどこかに、大事なことが書いてあったはず」 伴名練「墓師たち」 木下古栗「扶養」 大前粟生「呪い21選──特大荷物スペースつき座席」 水原涼「小罎」 星野智幸「おぼえ屋ふねす続々々々々」 柳原孝敦「高倉の書庫/砂の図書館」 勝山海百合「チョコラテ・ベルガ」 乘金顕斗「ケンちゃん」 斎藤真理子「はんかちをもたずにでんしゃにのる」 藤野可織「人から聞いた白の話3つ」 西崎憲「胡椒の舟」 松永美穂「亡命シミュレーション、もしくは国境を越える子どもたち 円城塔「固体状態」
身長、寿命、インターネット、XVideos-21世紀、ピークに達したかに見える人間の能力と文化。だが、それはまだ前戯にすぎなかった。画期的人類史観を打ち立てる表題作はじめ長編3編を1冊に収録。
「貴方今此処居、隣坊主居。貴方良香、結構美貌、出所出女体、官能刺激。坊主僧衣下、徐々陰茎充血開始。坊主常時淫猥、何時如何時臨戦態勢、率直申、暇有毎晩様姦淫、繰返女犯、時折複数相手、最高一晩十五発…」外国人に道案内をする僧侶を描く「道」をはじめ、稠密な描写、超文学的技巧で爆発的瞬間を描くー加速する現代に屹立する十二篇。初期短篇「犯罪捜査」の改作を加えた完全版。
謎に満ちた女・菱野時江とは何者なのかーー。 突如、連絡が取れなくなった時江の消息を追う二人の友人、渋崎咲子と古河内栗美は、携帯端末のSNSを頼りに彼女の居場所を突きとめた。 そこには「あの国は暮らすにはいいが、生きるのは窮屈すぎる」という一文が……。 「幻の淑女」より 作品の全貌は、読んでみてのお楽しみ。 文学界の異才・木下古栗が挑んだ、なんともトリッキーなエンタメ風小説! (菱野時江を取り巻く人びと) 稲松叶夢(集英社社員) 渋崎咲子(友人) 古河内栗美(友人) 早乙女アキラ(カリスマ全裸公然わいせつナンパ師) 平尾正樹(平日在宅が多く、何をしているのか分からない男) バラク(前大統領) 城之内健作(経営者兼精神科医) 山森正太郎(精神科看護師) 【著者略歴】 木下古栗(きのした・ふるくり) 1981年、埼玉県生まれ。神奈川県在住。2006年「無限のしもべ」で第49回群像新人賞を受賞。著書に『ポジティヴシンキングの末裔』『いい女vsいい女』『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』(第5回ツイッター文学賞第1位)『グローバライズ』『生成不純文学』がある。独特の言語センスを持ち、異色の作風で知られる覆面作家。
崇高なまでに昇華した下ネタ、導入から想像もつかない結末。孤高の異才が放つ、マニア垂涎の未発表作品を含む、計四篇の短篇集。読者の予想の遥か斜め上を行く、古栗ワールド。のっけから飛ばします。