著者 : 木村二郎
40年以上にわたり「価値のないもの、誰も盗もうとは思わないもの」ばかり盗み続けてきた天下無双の大泥棒の活躍譚も、ついに最終巻。巨大な石像の首、結婚式で飛ばす鳩などを意外な方法と思わぬ理由により盗み出す通常営業の短編から、恋人との出会いやライバル“白の女王”との共演などファン必読のエピソードまで、本邦初訳8編を含む全14編を収録。文庫版全集、堂々の完結!
価値のないもの専門の怪盗ニックに、まさかのライバル登場!?“白の女王”ことサンドラ・パリスは、“不可能を朝食前に”をモットーに、早朝にだけ仕事をする美女だ。二人はときに競い、ときに協力しながら盗みに挑む。サンドラ初登場短編「白の女王のメニューを盗め」を巻頭に、「ハロウィーンのかぼちゃを盗め」「枯れた鉢植えを盗め」など、本邦初訳の6編を含む全15編を収録。
映画の没フィルム、サーカスのポスター、アパートのゴミ…誰も盗もうと思わないものだけを、依頼により盗むユニークな怪盗ニック・ヴェルヴェット。本書にはお馴染みの奇妙な依頼のほか、何を盗むのか不明な話、ニック自身が盗まれる話、何も盗まないよう頼まれる話など、シリーズ屈指の変化球をそろえた。短編の名手ホックが生み出した、比類なき怪盗の文庫版全集第2弾。
人から依頼されて動くプロの泥棒、怪盗ニックが盗むのは「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」だけ。そんな奇妙な条件にもかかわらず、彼のもとには依頼が次々舞い込んでくる。ターゲットはプールの水、プロ野球チーム、恐竜の尾…それらをいったいどうやって盗む?短編の名手ホックが創造したユニークな怪盗の全仕事を発表順に収録した文庫版全集第1弾。
風変わりな人々や事物が関わる奇妙な事件の起こるとき、謎の男サイモン・アークは現れる。あるときは超常現象研究者、またあるときは私立探偵として。警官が監視する中、焼死したはずの男が遂げた不可能犯罪、現代ニューヨークに住まう魔女の呪いが生む回転ドアの密室…暗黒の事象と犯罪が交差する怪事件を、オカルト探偵が明晰な推理力で解いていく8編を収録した第五短編集。
ジョー・ヴェニス。男。ニューヨーク在住。職業、私立探偵。依頼の件は、オフィスで聞こう。気負わず、たゆまず、ゆるがない。ニューヨークを行く自然体の私立探偵が、9・11を経た街で出会う、数々の事件と忘れがたき人々。書き下ろしを含む全七編を収録した連作短編集。
1921年、コンチネンタル探偵社を辞めたサム・スペードは、サンフランシスコに自身の探偵事務所を構えた。さっそく持ち込まれた依頼は、密航を企てている息子を止めてほしいという銀行家からのもので、調査するうちにスペードは、折しも発生した金貨盗難事件に巻き込まれていく。さらにスペードのもとには、プールで変死した男に絡む黒い噂、美しい中国人女性からの謎めいた依頼など、いわくありげな事件が次々と舞い込んでくる。そんなある日、スペードは旧知の同業者で汚れ仕事を得意とするマイルズ・アーチャーと再会。二人はパートナーを組むこととなり、かくして“スペード&アーチャー探偵事務所”が誕生することとなった!ハメットの研究家としても知られるゴアズが、文体、雰囲気、時代背景にいたるまで原作の世界を見事に再現。ハードボイルドの金字塔『マルタの鷹』のルーツを描く話題作。
スタート合図のピストルの音が響き、六人の選手がいっせいにプールに飛び込んだ。と、みるまに第二コースの女性のまわりに赤い輸が広がっていった…そこは、スタート直前のコース変更までは友人のアリシアが泳ぐはずのコースだった。命を狙われるどんな秘密が、アリシアにはあるのだろうか?友人の窮地を救うため、わたしは航空会社のエンジニアである彼女の身辺を洗いはじめた…女探偵V・I・ウォーショースキーの心暖まる活躍を描く「むかし泳いだ場所で」はじめ、今もっとも注目を浴びる私立探偵が登場する書き下ろし12篇を収録。
著名な映画監督が自分の夫だと証明してほしい-奇妙な依頼を私立探偵ジェイコブ・アッシュに持ち込んだロリーの話では、彼女の夫ウィリアムは13年前、忽然と姿を消していた。だが、彼女は最近、夫が映画監督ケアンズとして紹介されているのを目にし、本人に直接否定されたものの、夫だと確信したという。アッシュは、映画撮影中のケアンズに接近して巧みに指紋を採り、彼がウィリアムスと同一人物であることを突き止めた。ところが、その直後、ケアンズの変死体が彼の自宅で発見された。他殺の疑いは濃厚だった。気まぐれな独裁者のような監督は、脚本家をはじめ、映画に関わっていた者の多くに恨まれていたことが判明するが…。二つの人生を生きた男の死を探るアッシュが、歳月の彼方に見出した事件の意外な真相とは?ウェストコースト派ハードボイルドの寵児が自らの体験をもとに映画界の殺人を描く話題作。
相変らず中年の危険から脱せない私立探偵モウゼズ・ワインは精神分析医を訪ねた。が、そこで出された特効薬は新しい“仕事”だった-紹介された依頼人の名はエミリー・プタック。その夫マイクは人気コメディアンで相棒オティス・キングのツッコミ役だったが、ホテルで謎の転落死を遂げていた。警察の自殺説に納得しない彼女から調査を頼まれたワインは、探偵志願の女コメディアンを従えて、聞き込みを始めた。
何人もの血を吸い、手から手へと渡っていったひとつの壷ーその行方を追って雇われ探偵ナイツブリッジは、ワイオミングのさびれた炭鉱町にたどりついた。だが、探りあてた壷の持ち主フリールはすでに死亡、壷には彼の遺灰がおさめられていた。町では、不審火、死亡事故など奇怪な出来事が続き、やがて、死者たちが町をさまよっているという噂が流れはじめた。ナイツブリッジはそこに陰謀の匂いを嗅いだが…雇われ探偵が巻き込まれた血みどろの抗争を型破りな設定で描く、アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞候補のハードボイルド。
ニューヨーク北郊にあるモネコワ空軍基地。5000人の訓練兵が詰め、武装哨兵が門を固める。マーティー・フスコがパーカーに持ち込んだ計画は、そこから兵士の給料をいただこうという途方もないものだった。後に『掠奪軍団』『殺戮の月』で活躍するディヴァーズとパーカーとの出会いを絡め、アメリカ空軍を相手に回した困難な給料奪取作戦の意外な展開を描く好篇。