著者 : 木村由利子
一九四八年、フランス。五ヵ月後の七十二歳の誕生日で引退することを決めた精神科医のもとに、最後の新患がやってくる。希死念慮や自傷の衝動に苦しむ彼女の名前は、アガッツ。カウンセリングを重ね、彼女に問いかけるなかで、精神科医は、患者の苦しみから目をそらし他者とのかかわりを避けてきたみずからの人生と、近づいてくる老いや死に対する恐怖を見つめなおす。デンマーク人臨床心理士による、孤独な魂の交流を描いた小説。
眠るようにベッドに横たわる母と二人の幼い子ども。だが喉の傷と大量の血が、彼らが殺されたことを物語っていた。母親は失業中だが夫とは別居し、女手一つで子どもたちを育てていた。一家と親しかったらしい謎の男性の存在。母子が住む高級アパートを買ったのはその男なのか。やがてハンマルビー署、ショーベリ警視以下捜査陣は信じがたい事実にたどりつく。好評シリーズ第三弾。
離婚して学生時代を過ごした町に戻った新聞記者ディクテ。彼女の誕生日を祝いオープンカフェで盛り上がっていた時、目の前の川に桶に入った赤ん坊が流れてきた。一方親友の一人が勤める病院では新生児が額にいたずら書きをされ、さらにそこで出産した別の親友の赤ん坊が誘拐された。ディクテは赤ん坊を巡る三つの事件の取材に奔走する。デンマークを舞台にしたライトミステリ。
ハンマルビー署の刑事ペトラは、公園で凍えきった赤ん坊を発見した。近くにはひき逃げの被害にあったらしい、母親と思われる女性の死体が。警察が捜査を開始しようとした矢先、一本の電話が入った。フィンランドフェリーの船内で十六歳の少女が絞殺体で見つかったという。犯人は恋人か、行きずりの男か。子供をめぐる二つの事件は、意外な展開を見せる。ショーベリ警視シリーズ。
裕福ではあるが厳しく威圧的な祖母の屋敷で、母と暮らすジェーン。父に似た自分を祖母が疎んじていることを感じながら孤独な日々を送っていた彼女に、ある日、衝撃のニュースがもたらされる。死んだと思っていた父が生きていると…。戸惑いながら父に会うために訪れたプリンス・エドワード島には、まったく新しい輝ける世界への扉が待っていた。エゴや誤解に打ち克つ究極の愛を描くモンゴメリの人気作を新訳でおくる決定版。
父の仕事の関係で、トロントからプリンス・エドワード島にやってきたベバリーとフェリックスの兄弟。キング農場で個性豊かないとこたちと一緒に暮らすことになった彼らが出会った、すらりと背の高い大人びた少女。虹のような声音でお話を語る不思議な魅力のストーリー・ガールと過ごした多感な10代の日々を、夢のように美しい島の四季と重ね合わせて描く、もうひとつの『赤毛のアン』と呼ばれ愛されるモンゴメリの傑作。
「狼」と呼ばれるダイヤモンドを手にした瞬間、美貌の青年ダニエルの運命は変わった。満月が昇るたびに狼に変身し、殺戮を繰り返すようになったのだ。人間たちを血祭にあげながら、ダニエルはダイヤに導かれるように故郷の村へと舞い戻る。懐かしい地で出会ったのは焔のごとく赤い髪の美しい女。ダニエルと女はダイヤの魔力の命ずるままに激しい恋に落ちた…ファンタジイ界の女王が贈る華麗なるロマンティック・ホラー。
騎士の娘マリアンが十字軍帰りのロバートから聞かされたのは、代官ドレイシーと結婚せよという父の遺志だった。だが、代官は酷薄な男。彼に嫌悪を覚えたマリアンは、しだいにロバートに惹かれていった。そんなある日、マリアンが逃亡死刑囚にさらわれ、無法者が徘徊するシャーウッドの森に連れこまれた。ロバートは彼女を救うべく森に足を踏み入れた…ロビン・フッド伝説を鮮やかに甦らせるシリーズ第2弾。
12世紀英国。ハンティントン伯爵家では、十字軍遠征から生還した嫡子ロバートを囲む祝賀会が開かれていた。領主の娘マリアンは一縷の望みを胸にこの祝賀会に駆けつけた。ロバートなら、同じ十字軍で死んだ父の最期を語ってくれるはずだ。かくしてマリアンは出会った、後のロビン・フッド、己の恋人となる運命の男と…。伝説の人物たちの姿を生き生きと甦らせた新たなるロビン・フッドの物語、ここに登場。
ある夏の日、カールとレギッツェの老夫婦は家族や旧友たちを招きパーティーを開く。にぎやかな宴の中、二人の心に去来する様々な想い。家族、友人、夫婦、愛とは-。人生の真実を淡々と描く、デンマークの国民的ベストセラー小説。